2022年が幕を開けました。あけましておめでとうございます。
新しいはじまりは気持ちの良いものです。つらいこと、かなしいこと、くやしいこと、はらだたしいこと…不条理があふれるこの世の中。それらに負けないで一歩一歩前へ進んでいくには「節目」が必要です。
さまざまな困難に直面している多くの人々がきょうの日の「節目」に心機一転し、新しい一歩を踏み出すことを願ってやみません。
私にとって50歳を迎えた2021年はまさに「節目」の一年でした。
27年間勤めた朝日新聞社を去り、たった一人で小さなメディア「SAMEJIMA TIMES」を昨年2月末に創刊しました。連載「新聞記者やめます」を書き始めて以降、1日も欠かさず記事を発信してきました。サイトを訪問してくれる読者はどんどん増え、今では毎日数千人〜数万人の方が記事を読んでくれるようになりました。身の引き締まる思いです。
この国の政治やマスコミが機能不全に陥っていることがコロナ禍で白日の下となり、政治不信・マスコミ不信が膨らんだことも、SAMEJIMA TIMESへの期待感を後押ししました。
国家権力にすり寄るマスコミ政治報道とは一線を画して政治をバッサリ斬るコーナー「政治を読む」や、読者よりも政治家・官僚・経営者・専門家ら取材相手の顔色をうかがう新聞社の内情を明かすコーナー「マスコミ裏話」には多くの反響が寄せられました。
たった一人で立ち上げたサイトを応援してくださる人々も現れました。手弁当で馳せ参じてくれた「筆者同盟」の皆さん、毎朝校閲してくれる北海道在住のSさん、コメント投稿で参加してくれる「政治倶楽部」の皆さん(会員登録は年末時点で1375人となりました)、「ご寄付」のかたちで温かく心強いエールを送ってくださった多くの方々には感謝しかありません。
ひとりひとりの読者と直接つながる。情報を発信する者としていちばん大切なことが、新聞記者時代はおろそかになっていました。SAMEJIMA TIMESの創刊によって、ジャーナリストとして、メディア人として、原点に立ち返った思いです。くらし向きに余裕のない方を含めできるだけ多くの人々に読んでもらうことを願って全文無料公開を貫いたことが、多くの人々との出会いの幅を広げたと考えています。
50歳という人生の「節目」の年に新しい一歩を踏み出したことが、多くの出会いを私にもたらしました。生きる喜びとは何かを再認識した一年でした。
さて、2022年はどんな年になるのか。
コロナ禍の行方は見通せません。しかし、私はコロナ禍そのものよりも、コロナ禍が去った後のほうが、日本は正念場を迎えると思っています。
政治家や官僚のモラル崩壊、行政能力の著しい低下、マスコミの機能不全、急速な少子高齢化…コロナ禍は戦後日本が想像以上に傷んでいる実態をさらけだしました。なかでも深刻なのは、世界の動向への関心が薄れ、極めて内向な空気に支配されている日本社会の閉塞感だと思います。
アフターコロナの世界は、この2年間に蓄えてきたエネルギーを一気に放出し、急速に動き出すでしょう。そのとき私たちの日本は自分たちが気づかないうちに諸外国から大きく取り残されてしまうのではないか。とりわけ急成長を遂げているアジア諸国に追い越されていくのではないか。「ガラパゴス日本」はどこへ行くのか。
コロナ禍が引き起こしたもうひとつの問題は、経済格差の拡大です。
日本では円安株高に誘導する超金融緩和を推進したアベノミクスのもとで、大企業や株主・経営者はますます富み、非正規労働者ら立場の弱い者はますます痩せ細る「貧富の格差」が急拡大しました。コロナ禍を口実とした巨額の財政出動はこの格差を縮めるどころか、公的資金は最終的に金融市場へ吸い上げられ、大企業や資本家をいっそう富ませ、貧富の格差をさらに広げたのです。職や住まいを失う人々が続出する一方、株価が30年前のバブル経済以来の高水準に跳ね上がったことが「歪んだ社会」を映し出しています。
これらの問題に政治やマスコミはまったく対応できていません。政治家も官僚も経営者も記者も自分自身の既得権益を守ることに明け暮れています。実に不条理な世の中になってしまいました。このような不健全な社会が繁栄するはずはありません。
でも、あきらめてはいけません。IT技術の発展によるデジタル化は、経済格差や情報格差を埋め、一握りの「勝ち組」の既得権維持のための政治や報道を大きく変える可能性を秘めています。私はインターネットの世界に時代を変革させる力を強く感じています。
今年夏には参院選があります。最大の政治テーマは「富の再分配」による「格差の是正」です。過去を振り返ると、政治が激動するスタートは参院選です。夏にむけて何が仕掛けられるのか。政治ジャーナリストとして思案を巡らせているところです。
読者の皆さんに支えられるSAMEJIMA TIMES。新年も前へ進み続けます。
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《お知らせ》1月3日は新春特別企画として、同日公開記事のコメント欄にお寄せいただいたすべての投稿に私が徹底的に答えたいと思います。サメタイへのご意見から政治やマスコミに関するご質問・ご提言まで何でもありです。当日は午後3時から日付が変わるまでパソコンの前に陣取り、「政治倶楽部」会員登録とコメント投稿をお待ちしています!
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