政治を斬る!

中学3年生から「職業観」の取材を受けた!鮫島タイムスをどこで知ったのか!? 政治メディアが子どもたちへ浸透していく試み(YouTubeサブチャンネル「講演対談編」に明治大学での講演)

東京都内の中学3年生の取材をオンラインで受けた。2月4日土曜日の午前のことだ。

鮫島タイムスの「講演・執筆」依頼欄に「はじめまして。突然のメッセージ失礼します。ご無礼お許しください」ではじまる問い合わせが舞い込んだ。社会科総合学習で「職業」について調査・考察するレポートを作成するにあたり、ジャーナリストを取材することにしたという。「鮫島様の職業観などについて伺いたいと思います」と書いてある。

すぐに返答した。彼は対面取材を希望したが、まとまった時間が取れず、ZOOMで顔合わせすることになった。

ジャーナリストとして1日のスケジュールは?これまでの取材で緊張したことはありますか?どの取材でも必ず質問することはありますか?記事を書いて喜びを感じたことは?新聞社をやめるにあたって不安だったことは?いつ辞めようと思ったのですか?

質問を入念に準備してきたようだ。ひととおりお答えした後、こちらから逆質問させてもらった。「鮫島タイムスをどうして知ったのですか?」

彼はすこし表情を緩めて「最初はABEMAです」と言った。インターネットテレビ局である。アニメなどを見ていたら、私がゲスト出演した討論番組が流れてきて「ジャーナリスト 鮫島浩」を知ったのだという。

ABEMA恐るべし。中学生の間ではテレビよりもインターネットのほうが身近な存在だ。

彼曰く、学校の授業で「社会人へのインタビューをもとに、どんな人間になりたいかを考察するレポート」を提出するにあたって、ジャーナリストを取り扱うことに決めた時、私の名前が思い浮かんだという。ありがたいことだ。そこからネット検索で鮫島タイムスのウェブサイトにたどり着き、お問い合わせフォームから取材を申し込んだということだった。

「父親が開業医なんです。あとを受け継ぐかどうかは決めていませんが、組織から抜け出した人の話を聞いてみたいと思いました」

医師とジャーナリスト。どちらも「強者」より「庶民」の目線に立つべき職業である。いろいろ悩みながら進路を決めていくのだろう。将来が楽しみだ。

若年層に政治への興味をどう持ってもらうかは政治ジャーナリストとして大きな課題である。そのために昨年から鮫島タイムスはYouTubeに本格進出し、楽しみながら政治を知ってもらう動画制作にエネルギーを傾注してきた。

政治家の顔をほとんど知らない人でも笑って見られるエンタメ性を重視しながら、政治の本筋は外さないように(政治に詳しい視聴者にも満足していただけるように)バランスをとっているつもりだ。

政界の一週間を振り返り、政治家のダメダメぶりをランキング形式で紹介しながらテンポよく解説していく『ダメダメTOP10』は日曜夜の恒例番組で、「親子で毎週みています」「小学生の子のほうが政治に詳しくなってきた」などとうれしいお便りも届くようになった。

先日、福岡県北九州市で講演した際も「ユーチューブ、毎週みてます」という母と娘が会場から質問してくれて、少しずつではあるものの、新しい層に浸透していることに手応えを感じている。

最近はYouTubeで鮫島タイムスを知ったという東京都内の大学生から「ジャーナリズムについて近くで学びたいので、アルバイトさせてほしい」という問い合わせが立て続けに届いた。うれしいことだ。

新聞はじめ既存メディアは若年層に記事を届ける努力を怠ってきた。上から目線で「これが事実だ」「これが正しい」と一方的に押し付けるばかりで、「読者を楽しませる」という視点が決定的に欠けていたと私は思っている。

私自身、恥ずかしながら新聞を読まない学生だった。それから約30年の時が流れ、インターネット全盛時代に学生が新聞を読まないのはごく自然なことだと思う。

新聞の購読者の平均年齢は70歳を超えたといわれる。テレビも視聴者の高齢化が急速に進んでいる。若者は既存メディアから離れ、既存メディアも「数字」をとるため高齢者目線の報道が増えている。政治家や官僚は既存メディアの論調を「世論」と受け止め、政治はますます若者から遠い存在となる。

日本経済が30年にわたるデフレに沈んでいる原因はここにあると私はみている。デフレはすでにお金を蓄えている人々(高齢世代が多い)に有利で、これから稼いでいく人々(主に若年層)に不利だ。与党も野党も人口が多く投票率も高い高齢世代の声に耳を傾けて若年層を二の次にしてきた結果が、世界でも突出しているデフレの長期化ではないかと思う。

昨年夏、明治大学の和泉キャンパスで学生向けに講演する機会をいただいた。拙著『朝日新聞政治部』を紹介しながら政治やメディアの最前線を伝え、学生の進路選択の参考にしてもらうことを目的としたものだったが、私の講演以上に、その後の学生との質疑が面白かった。

鮫島タイムスYouTubeは「楽しくわかりやすい政治解説」を売りに番組を作り込むことにしているが、それとは別に今年からサブチャンネル『講演対談編』を開設し、私の講演や対談、インタビューのエッセンスを紹介することにした。講演内容をそのまま流してほしいという要望がかなりあったためだ。

明治大学での講演の質疑応答を紹介したのが以下の動画である。「①記者会見②オフレコ懇談取材③サシ取材のうち最も信頼できるのはどれか」というテーマに始まり、「れいわ新選組を支持する理由」まで多岐にわたる内容になった。ぜひご覧いただきたい。

講演・対談を紹介していくサブチャンネルも登録して時々のぞいていただけると幸いです。今後の私の講演活動もできる限りここで紹介していきたいと思っています。

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