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こちらアイスランド(181)日本の猛暑をアイスランドの秘境写真で解消!ロイジボトン火口湖&ホルムサルロン湖 〜小倉悠加

2024年アイスランドの夏休みスペシャルとして、前回に続き秘境のお裾分け。

今回はRauðibotn(ロイジボトン=赤い底の意)という火口湖を訪れた。ロイジボトンとは「赤い底」という意味で、土壌に酸化鉄が含まれることにより、クレーターに溜まった水の底や周囲が赤く見えるからだ。フャットラバック自然保護区の中にあり、周囲は景勝地で、滝や湖などが美しい。

あちこち訪れる度になるべくツイートをしているけれど、この時はこれを投稿しただけだった。ツイート内で名前を間違えたことは後日訂正した。

前回のように足元が悪いハイキング道を15キロも歩かされるのは避けたかったので、今回は事前に自分で調べた。毎回調べろよ!という話ではあるけれど、知らぬが仏で歩いてしまった方がいい場合もある。前回がそうだったような気がする。

で、私が見たサイトによれば、ロイジボトンへはF道(F210 Fjallabaksleið syðri)の大きな川は渡らなくていいらしいし、ハイキングも往復合計3キロ程度ということだった。サイトによっては「うっそ!」と思ういい加減な記事もあるけれど、他の記事を見て、「確かにそんな感じだ」と思える人だったので信じることにした。

行きたい場所は多々あれど、天候や道路状況により実際に行くのが数年後になることもある。ここは超特急気味で、ものの数日後には行くことになった。彼が休暇中につき、天候が許せばいつでも出ていけるからだ。

そしてやってきましたお馴染み(?)フャットラバック自然保護区。フャットラバックというのは山の背中という意味で、ざっくりとは南部の高地のことを指す。自然保護区なので、余計なものは一切ない。イコール、数百キロの区間トイレもなければガソリンスタンドやカフェもない。

ただただ、大自然がそこにあり、美しいこと限りない。

この写真の水のある場所はホルムサ川(Holmsa)で、小型車は絶対に渡ってはいけない。

こういう場所に魅せられると、いい意味で人生を棒にふる。二駆の自動車では行く場所がなくなり、四駆に切り替えて4年目になった。最初の一年こそわからないことだらけで学びの期間だったけれど、その後はびゅんびゅんと飛ばしてる、と思う。体力が伴う限りという条件はあるけれど。

ロイジボトン用の駐車場に到着した時、少し小雨が降っていた。けれど、降ったり止んだりだし、ほぼ無風なのでアイスランド的には上等な天気だった。

歩き始めは少しだけ急な坂で、その後はすぐに平坦な場所を歩けるようになった。空が暗いこともあり、あんまり面白くないなぁと思っていると太陽がパーっと顔を出してくれた。太陽が出るとなんと何もかもが輝くのだろう。湿地のような場所が輝いて見えてきた。

砂地でもなく、小さい石がゴロゴロしている場所に、かわいらしいピンクの花がコロニーになって点在していた。土壌と言えないような土地なのに、よくこんな花が咲くよなぁと、こういう光景を見るといつも思う。黒い、玄武岩の大地に咲くのも、可愛らしい花だ。ここも玄武岩なのかな?色が少し薄いけど。

1キロも歩かないところから、もう断然風光明媚になってきた。

ここがロイジボトン。蛍光色の植物はハイランドの水がある場所でよく見かける。

滝と山のコントラストが美しく、水が流れる場所はどこも優美だ。この時期は緑の苔が殺風景になりがちな山を覆い、太陽の光を受けると黄金のように輝く。この日は日が差したり引っ込んだりで、なかなか手強かったけれど、晴れ間が少しでも見えただけありがたかった。

小さな小川のような場所をひょいと飛び越えてこのロイジボトンに到達した。20分も歩かなかったのでは?それに、最初の2-300メートルの後は景色が素晴らしく、足を進めるにつれての景色の変化が面白く、時間を忘れ「きれいね〜、きれいね〜。ここすくいいね〜、素晴らしいね〜」と語彙力のなさを全開にしながら歩いた。

多くの人はここで満足して、引き返すのだという。

確かに、ここまでで一区切りの感じだし、道は続いていても山に遮られてどうなっているのかが見えない。

事前調査によれば、ここから先に少し進むだけで、もう一つ素晴らしい景色と出会えるという。なので、迷いなく行ってみた。どちらにしても、歩くのが本当に楽しくなる景色なのだ。

山肌の、ほとんど獣道のような狭いハイキングルートを辿っていくと、そこには素晴らしい湖が広がっていた!

その湖から滝のように水がながれている。私たちがそこにとうたつした時、ちょうどまた太陽が顔を出してくれた。風もないから、湖面がゆっくりとこの光景を楽しめる。湖は奥の方まで続いている。うわぁ〜。

この湖はホルムサゥルロゥンHolmsárlón(=ホルムサ川の湖)という名前の湖で、地図を見ると長さが2キロほどありそうな、細長い湖だった。

雲行きが怪しいのでこれ以上進まなかったけれど、天気がよければもう少し歩いてもよかったなぁと思っている。

それにしても起伏に富み、目に楽しい場所だ。満足して帰路についた。

そして、帰り道の最後の500メートルほどは結構雨に降られた。私たちが来るのを待って太陽が顔を見せ、「そろそろ帰るのか、それじゃもういいね」と雨を降らせてきた感じがするほど、タイミングがよかった。

前回の15キロは労多くして功少なしだったけれど、今回は労少なくして功超多しだった。道中もダイナミックで美しい景色だったし、一粒で2度美味しい感じのハイキングとなった。

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。