※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。
<目次>
0.安倍元総理狙撃事件について
1.参院選の総括は7月27日の記事で
2.日本が抱える3つの問題
3.大阪遷都構想
4.大日本合州国憲法制定構想
0.安倍元総理狙撃事件について
7月8日(金曜日)に、安倍晋三元総理が奈良市の近鉄大和西大寺駅付近で参院選の応援演説中に銃を持った男に狙撃されて亡くなるという痛ましい事件が起きました。
総理大臣経験者が暗殺されたのは、1936(昭和11)年に起きた二・二六事件以来で、86年ぶりの出来事ということになります。
この事件が今後の日本の政治に与える影響について、私たちは深く考えていく必要があります。
安倍元総理のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
1.参院選の総括は7月27日の記事で
7月10日(日曜日)に参院選の投開票が行われました。次回7月27日(水曜日)の記事で、「参院選2022立憲野党私設応援団反省会」(仮題)と題し、参院選の総括について私見を述べたいと考えております。「反省会」といっても、参加者が複数いるわけではなく、私一人の意見をだらだらと述べるだけなのですが、テレビや新聞の論調、ネット上の専門家や一般の方々の意見、そしてSAMEJIMA TIMESのコメント欄に寄せられたみなさまの投稿をできるだけ幅広く拝見させていただいたうえで、「後出しジャンケン」で参院選の総括をしたいと考えております。
今日は、今後の日本が進んでいく道に思いを致し、日本が抱える3つの問題を指摘したうえで、そうした問題を長期的に解決するためアイデアとして、「大日本合州国憲法制定構想」と「大阪遷都構想」という2つの構想について考えていきたいと思います。
2.日本が抱える3つの問題
今の日本が抱える問題を、私の独断と偏見に基づく視点で3つにまとめさせてもらうと、10年スパンの問題である「ポスト55年体制としての2012年体制」と、100年スパンの問題である「明治維新以来の近代化の失敗」と、1000年スパンの問題である「人口減少の果ての日本消滅」に集約できるのではないかと考えています。
まず、「ポスト55年体制としての2012年体制」という話ですが、上智大学教授の中野晃一さんと京都精華大学准教授の白井聡さんが日本の政治に関する分析を進めていくためのキーワードとして提唱されている「2012年体制」という概念について、白井聡さんが「終わらない『安倍政権』という悪夢」というインタビュー記事で詳しく述べられています。
要点をまとめると、万年与党の自民党と万年野党の社会党による「55年体制」を打破して「政権交代可能な二大政党制」を作ろうという試みは新進党と民主党の失敗によって頓挫し、永久与党の自民党と有効な政権批判すらできない弱小野党による「2012年体制」というものが生まれてしまって、劣化した官僚機構による独裁政治が続いている、というのが日本の現在の状況だというのです。
「政権」と「体制」は、概念が異なります。
江戸幕府は初代将軍の徳川家康が亡くなった後も永続し、1603(慶長8)年から1867(慶応3)年まで「幕藩体制」は実に260年以上も続きました。
「2012年体制」は、安倍氏個人の手を離れ、むしろ安倍元首相が亡くなったことで、かえって体制が強固になり、永続化していく可能性さえ考えられます。
自民党と社会党による「55年体制」は1955(昭和30)年から1993(平成5)年まで38年間続きましたが、仮に「2012年体制」が同じように38年間続くと考えた場合には、なんと2050(令和34)年まで今の体制が続くことになるわけで、これはまさに「悪夢」としか言いようがありません。
次に、「明治維新以来の近代化の失敗」ですが、非常に大雑把な物の見方でいえば、1868(明治元)年から1945(昭和20)年までの77年間「富国強兵」を目指し、1945(昭和20)年から2022(令和4)年までの77年間「経済発展」を目指したという違いはあるものの、明治維新以来の日本の歴史は、「近代的中央集権国家」を作ろうとしてきた150年余りの歩みであると言えると思います。
しかしながら、結果として、中央省庁の官僚機構はガタガタになり、文書や統計資料を適切に残すことすらできず、「法の支配」ではなく「人の支配」を受け入れる前近代的な組織に堕してしまっています。
最後に、「人口減少の果ての日本消滅」ですが、これについては、イーロン・マスクさんが、2022年5月7日に次のようなツイートをしています。
At risk of stating the obvious, unless something changes to cause the birth rate to exceed the death rate, Japan will eventually cease to exist. This would be a great loss for the world.
要は、「出生率が死亡率を超えるようになる何らかの変化がもたらされない限り、最終的に日本は消滅してしまう」ということを言っているわけです。
ネット上を見てみると、「計算上、西暦3000年には日本の人口は2000人になる」(「2000万人」ではなく「2000人」です)みたいな話もあって、一体どのような計算上の仮定をおいているのかはっきりしないのでその話の当否については詳しく検討しませんが、とはいえ、それが西暦3000年ごろのことになるのか西暦4000年ごろのことになるのかといったことを別にすれば、「死亡率が出生率を上回り続けている限り、いつかは日本が消滅してしまう」という命題自体は、これは絶対的に正しいわけです。
人口減少の問題に関しては、1000年スパンの超長期の話ではなく、今から20年~30年くらいのスパンで現れる問題について、三春充希さんが「人口崩壊の全貌--今後、日本の少子高齢化は別次元の恐ろしい姿をとる」という論文を書いています。
論旨をまとめると、「このまま何も有効な手を打たなければ、2045年の日本は、地方の激しい過疎化と、東京などの大都市の一層の過密化が進んで、地方に住む人も、都会に住む人も、一層生き辛い生活を送るようになり、さらに日本全体の人口減少と生産力の低下に歯止めがかからなくなる」ということで、データを基にした恐ろしい未来予想図が論証されています。
3. 大阪遷都構想
日本が抱えるこうした問題を解決するための方策として、「大日本合州国憲法制定構想」と「大阪遷都構想」という2つの構想を提示したいと思います。
これらの構想の基本的な考え方は、「明治時代以降の東京一極集中に終止符を打ち、江戸時代あるいは戦国時代や室町時代といった明治以前の時代の日本の在り方を部分的に採り入れる」、そして、「大胆な地方分権を進め、日本の中に10個の『新しい国』を創る」という発想に基づいています。
2つの構想のうち、まずは「大阪遷都構想」について述べていきます。
「大阪遷都構想」(より正確には「関西分都構想」)
○国会:東京都千代田区永田町から大阪府に移す
○皇居:東京都千代田区千代田から京都府に移す
○中央官庁:東京都千代田区霞が関から兵庫県加古川市に移す
国権の最高機関である国会を大阪府に移すというのが「大阪遷都構想」の目玉です。明治時代に国会が開設される際には、1875(明治8)年に板垣退助らが大阪で愛国社を結成し、1880(明治13)年に国会期成同盟を結成する、といった動きがあり、そういう意味では、大阪は日本の国会にゆかりがある土地です。東京一極集中に斬り込む意味で、まず国会を東京から大阪に移転してはどうでしょうか。
そして、東京一極集中に終止符を打つための切り札として、皇居を東京から京都に移し、皇室の方々には江戸城から京都御所に御戻りいただくようにしてはどうかと考えています。日本の歴史を振り返った時に、帝が京都におられた時代は非常に長く、皇居を江戸城においたのは、明治以降の高々150年程度にしか過ぎません。明治以前の伝統的な在り方に戻ることが、我が国の安定に大いに資するのではないかというふうに考えます。
最後に、中央官庁についてですが、これは霞が関から加古川に移転してはどうでしょうか。兵庫県の「加古川」という土地は、大正時代に関東大震災が起きた際に、東京から遷都する場合の候補地として名前が挙がった場所です。国会と皇居と中央官庁が大阪府と京都府と兵庫県にあるくらいのバランスで、ちょうど良いのではないかというふうに思います。
4.大日本合州国憲法制定構想
戦後100年となる2045(令和27)年を目途に「大日本合州国憲法」(仮称)を制定するという構想について検討していきたいと思います。
道州制を導入して、次のような10個の「州」を創設してはどうかと考えています。
「大日本合州国」(仮称)
○北海道州(函館県・札幌県・根室県・稚内県)
○東北州(青森県・秋田県・岩手県・山形県・宮城県・福島県)
○関東州(群馬県・栃木県・埼玉県・茨城県・千葉県・東京都・神奈川県)
○甲信越州(山梨県・長野県・新潟県・富山県・石川県・福井県)
○東海州(静岡県・愛知県・岐阜県・三重県)
○関西州(滋賀県・奈良県・和歌山県・大阪府・京都府・兵庫県)
○中国州(岡山県・鳥取県・島根県・広島県・山口県)
○四国州(香川県・徳島県・高知県・愛媛県)
○九州州(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県)
○琉球州(沖縄県)
北海道は、例えば、函館県・札幌県・根室県・稚内県という4つの県に分けて、日本全体を10個の州と50個の都府県に組み直します。
そして、「北海道州」から「琉球州」までの10個の「州」を、それぞれ「日本の中にある小さな国」として捉え、人口維持、食料自給、エネルギー自給などに責任を持つ主体として、自律的な行政運営を行うのです。
交通インフラに関しても、例えば、今後の状況によっては、JR北海道を北海道州の州営企業にし、JR四国を四国州の州営企業にし、JR九州を九州州の州営企業にするような形で鉄道網を維持するといった方策が考えられます。
「2012年体制」が始まって根腐れしてしまった日本の「霞が関」の行政組織を立ち直らせることは、おそらく非常に難しいでしょう。
それであれば、日本の中に「新しい国」を創って、それぞれの地域でそれぞれの住民が「自分たちの国づくり」を進めていく方が、まだ未来に希望が持てるのではないかと思います。
また、北海道に4つの「県」を、そして他の地域に9つの「州」を新たに作ることで、大量に公務員の雇用を生み出すことができます。これを優先的にロスジェネ世代に割り当て、本人が希望すれば70代になっても働き続けることができることができるような形で処遇できれば、これによって救われる人も出てくるのではないでしょうか。
国会は、衆議院と参議院を廃止して、新たに上院と下院を開設します。
上院と下院の選挙制度は、次のような形で考えています。
上院:任期6年で3年おきに半数改選。全体の定数は200(100ずつ改選)で、州ごとに定数を20(10ずつ改選)とし、定数20(改選10)の大選挙区制で選挙を行う。
下院:任期4年で、解散あり。全体の定数は400で、200選挙区の小選挙区制と、全国を1区とする定数200の比例代表制で選挙を行う。
現在の参議院と衆議院の議員定数から大幅に削減されるように見えますが、新たに州議会ができることを考えると、政治家にとってもかなり就職先が増える結果になると思います。
下院の小選挙区は人口比例で各県に定数を割り振る形で選挙区を決めて「一票の格差」が広がらないようにするものとし、逆に、連邦制を採り入れることで、上院の大選挙区は各州の「一票の格差」を容認して人口が少ない地域の意見を大きく取り入れる仕組みにすることを構想しています。
最後に、「大日本合州国」という国号について、「大日本帝国」を想起させるというご指摘を以前にtwitterでいただいておりましたので、そのことについて述べたいと思います。
私個人の意見としましては、お隣の韓国の国号も「大韓民国」であるように、国号で「大~」と称するのはわりと普通のことなのではないかと捉えております。
ただし、過去の歴史的な経緯もふまえて、対外的な膨張主義を想起させる呼称を用いるべきではないというご意見があるようであれば、国号自体は現在の「日本国」をそのまま使用することが穏当であろうと思います。
本稿におきましては、現行の統治機構を大きく組み替えるという意味において「大日本合州国」という呼称を使用させていただいておりますので、その点、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
憲法9条変えさせないよ
プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。