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立憲野党私設応援団(31)幸せになるための経済について考えてみる~憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

1.「幸せになるための経済」を構想する議論

2.「積極財政」は果たして上手くいくのか?

3.国民に「休日とお金」を!

4.「生産性」に関する議論

5.やはり「競争力」は必要なのか?

6.トピックス:「カルト校則」の山が動いた?

7.おまけ:奥田芙美代さんモノマネ

1.「幸せになるための経済」を構想する議論

日本がGDPで中国に抜かれて世界2位から世界3位になったのは、2010年の出来事でした。

そして、今年、2023年には、どうやらドイツに抜かれて世界3位から世界4位になりそうな状況です。

日本のプロサッカーリーグ「Jリーグ」が始まったのは1993年のことで、今年で30周年になります。「ドーハの悲劇」が起きたのも1993年のことですので、W杯出場が夢だったあの頃から30年で、サッカー日本代表はワールドカップでドイツと試合をして勝てるところまで成長しました。

バブル崩壊から30年以上経ち、サッカーではドイツに勝てるようになりましたが、経済ではドイツに負けそうなくらいすっかり弱くなりました。

このように日本経済の長期低迷が続く中で、『人新世の「資本論」』で有名な東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授の斎藤幸平さんは、格差社会に対する処方箋として「脱成長コミュニズム」を提唱しています。

いつの間にか大企業や富裕層のカモにされる「新しい資本主義」の正体

資本主義はあらゆるものを商品化してしまうシステムです。そのシステムが行きすぎて、私たちの生存に不可欠なものまで商品化されると、庶民が困る。例えば教育や医療・電気ガス水道などのインフラ。これらの公共財=コモンが商品になると、生活が不安定化し、不幸せになる人が増えます。だからコモンは市場で売買しないし、国営化もしない。自治体やNGO、市民たちで共同管理しようという考えが脱成長コミュニズムです。

「脱成長」を志向する斎藤幸平さんに対して、東京都立大学大学院人文科学研究科・人文社会学部教授の宮台真司さんは、「経世済民オイコノミア」という番組で、「ある程度、外部からお金を稼ぐということを考えないといけない」という見方を示しています。

こうした議論を参考にしながら、今日は「幸せになるための経済」について何らかの構想ができないものか、論考を進めていきたいと思います。

2.「積極財政」は果たして上手くいくのか?

日本の経済成長を志向するための手段として、「積極財政」のことが度々俎上に上りますが、その意味で、「ABEMA Prime」における成田悠輔さんと池戸万作さんの討論は非常に興味深いものでした。

イェール大学の成田悠輔さんに関して言えば、この回での発言ではありませんが、別の機会での発言で、「僕はもう、唯一の解決策は、はっきりしてると思っていて、結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなんじゃないんか」と述べたことが、日本のSNS上と海外のマスメディアにおいて大きく問題視されています。

高齢者に集団自殺を勧める成田悠輔さんの発言は決して許されるものではないと私も思いますが、今日の議論では、成田悠輔さんと池戸万作さんの討論の内容だけを見ていくこととしたいと思います。

成田悠輔さんと池戸万作さんの討論において論争となった論点のうち、特に重要だと思われるものを3つ取り出して整理してみます。

論点①:世界各国の経済成長率と政府支出の伸びの相関から言えることは、「政府支出を増やしたからGDPが増えた」のか、「GDPが増えたから政府支出を増やせたに過ぎない」のか?

→池戸万作さんは「政府支出を増やしたからGDPが増えた」という点を強調し、成田悠輔さんは「GDPが増えたから政府支出を増やせたに過ぎない」という可能性を強く示唆。

論点②:お金を刷ってみんなに配ったら、働かない人が出てきたり、インフレになったりして、かえって経済に悪影響が出てしまう可能性があるのではないか?

→池戸万作さんは「インフレになるようなことはない」と主張し、成田悠輔さんは「インフレになる可能性はある」と主張。

論点③:お金をみんな配る場合に、具体的な金額をどうするべきか?

→「さすがに月100万円だと多すぎる(インフレになる)」という点に関しては両者合意したものの、具体的な給付額について、池戸万作さんは「年間100万円くらいが妥当」だと主張するが、成田悠輔さんは「年間100万円という数字、特に根拠ないですよね」と反論。

これらの論点のうち、政府支出の増大とGDPの増大の因果関係に関しては、研究猫ともさんが詳しく論考しています。

結論だけ述べますと、「政府支出を増やしたからGDPが増えた」という点に関しても、「GDPが増えたから政府支出を増やせた」という点に関しても、どちらも一定の因果関係が存在している、ということが明らかにされています。

また、れいわ新選組の多ケ谷亮さんは、成田悠輔さんと池戸万作さんの討論に関して、次のように感想をまとめています。

3.国民に「休日とお金」を!

成田悠輔さんと池戸万作さんの討論は、一見すると物別れに終わったように見えながら、実は「インフレにならない程度の規模でお金を刷ってみんなに配ったら、一定の経済の底上げにつながる可能性がある」という点に関しては、討論を通じて両者の間で合意ができたのではないかと思います。

実際にお金を配る場合の規模感として、「年間100万円くらいが妥当」という池戸万作さんの主張は、金額的な規模が大きすぎるのではないかというふうに私は考えています。

「一人あたり年間100万円」の給付金だと、4人家族であれば、それだけで年間400万円のお金がもらえることになってしまいます。そうすると、その金額を当てにして、全く働かなくなってしまう人が一定の割合で現れてくることが想像されます。

全国民一律給付金の規模感としては、れいわ新選組が旗揚げ時の2019年参院選で掲げた政策「デフレ脱却給付金」ぐらいの規模がちょうど良いのではないかというふうに思っています。

お金配ります

~デフレ脱却給付金・デフレ時のみ時期をみて~

この政策ならば、確実にデフレ脱却は出来ます。

一人あたり月3万円給付。二人ならば月6万円、4人ならば月12万円。

インフレ率2%に到達した際には、給付金は終了、

次にデフレ期に入った際にまた再開します。

月3万円の給付額なら年間で36万円ですから、4人家族でも年間144万円ということになって、このくらいの金額であれば、「給付金を当てにして、全く働かない」という人はほとんどいなくなるのではないかと想像します。

この金額をもう少しコンパクトにしたうえで、次のような形で給付を実施することを検討してはどうかというのが私個人の主張です。

「全国民一律給付金」および「祝日法改正」(案)

4月10日:全国民を対象に一律8万円給付

4月29日:昭和の日

4月30日:国民の休日

5月1日:みどりの日(現行の「5月4日」から祝日を移動)

5月2日:国民の休日

5月3日:憲法記念日

5月4日:国民の休日

5月5日:こどもの日

8月10日:全国民を対象に一律8万円給付

8月11日:山の日

8月12日:国民の休日

8月13日:盆入りの日(祝日を新設)

8月14日:国民の休日

8月15日:平和の日(祝日を新設)

12月10日:全国民を対象に一律8万円給付

12月23日:平成の日(祝日を新設)

12月24日:国民の休日

12月25日:大正の日(祝日を新設)

まず、「祝日法改正」に関して説明をしますと、みどりの日を5月1日に移動させることで4月29日~5月5日に「春の7連休」を作り、8月13日と8月15日に祝日を新設することで8月11日~8月15日に「夏の5連休」を作り、12月23日と12月25日に祝日を新設することで「冬の3連休」を作ることが狙いです。

人によっては「夏の5連休など作らなくても、もともとお盆休みじゃないか」と思われるかもしれませんが、公務員や銀行員などの人にとっては、お盆に休めるようになるこの祝日スケジュールは、非常にありがたく感じられるのではないかと思います。

大型連休を作ったうえで、その前の4月10日と8月10日と12月10日に、いわば「国から国民全員にボーナス」のような形で全国民を対象に一律8万円を給付します。

これを生活費に充てる必要がある人は生活費に充てることでホッと一息つくことができますし、少し余裕がある人は連休にレジャーや買い物でお金を使いたくなるのではないかと思います。

人々の幸福感の増大と、日本経済の活性化のためには、「全国民一律給付金」プラス「祝日法改正」という政策が、かなり有効なのではないでしょうか。

年間の給付額を一人あたり年間24万円に抑えることで、1億2000万人の国民全員に給付する額の合計が、令和4年度第2次補正予算の29兆円という金額にほぼ見合う額で収まることになります。

野党が新しい政策を提案する度に「財源は確保できるのか?」とか「実現性がない!」といった批判が噴出しますが、与党の経済対策の規模と同額で使途を変えるだけの提案ならば、多くの有権者に納得してもらえるのではないでしょうか。

4.「生産性」に関する議論

経済に関する議論でいつも問題になる「生産性」に関しては、twitterの「小川製作所」のアカウントが、非常に有用なデータを人々に提供しています。

「労働生産性」は、「付加価値」の総額を労働者数で割ったり、労働時間数で割ったりして求めることになるため、労働者の就業実態の効率性以外に、要は「いくら売上(収益)があがったか」ということが大きく数値に影響するという側面があります。

これは経済学の教科書などに出てくる事例などではありませんが、私の個人的な体験として、消費税の税率が5%から8%に上がった時に起きていた現象を紹介したいと思います。

それは、主婦と思われる女性の方が近所のスーパーマーケットで買い物をする際に、一日のお買い物の予算の金額をオーバーしたのか、レジで金額の合計が計算された時に数点の商品を買い物カゴから取り出して返品し、購入金額を調整していたという現象です。

そのような例があまりにも多いため、この時期はスーパーもレジの横に返品商品保管用のカゴを置いたりして対応していました。

消費税率が10%に上がって以降は暗算でも金額を計算しやすくなったためかそのような現象はほとんど見られなくなりましたが、スーパーの店側の立場としては、顧客が「この商品を買いたい」と思って買い物カゴに入れた時点で消費者の購買意欲を喚起する売り場作りが成功していたのに、「支払える金額に限りがある」という顧客側の予算の問題で実際の売上(収益)につながらなかったという、企業努力ではどうにもならない「売上の頭打ち」現象が起きてしまっていたわけです。

これは、個々のスーパーマーケットのミクロ経済的な企業努力の問題ではなく、国全体のマクロ経済的な総需要の問題で、売上が頭打ちになっていたということになります。

その意味では、「国民にお金を配る」ことが、国内市場における企業の生産性を高めることにつながる可能性があるのではないかというふうに私個人は考えております。

5.やはり「競争力」は必要なのか?

「国民にお金を配ることで企業の生産性が高まる可能性」について述べましたが、これとは逆に「国民にお金を配るだけでは解決策にはならず、企業の競争力を高めることが必要」という考え方があることについて見ていきたいと思います。

まずは、マクロ経済学の教科書に出てくる国民総生産の式を見てみましょう。

国民総生産(国民総支出)=個人消費+政府消費+総資本形成(総投資)+輸出-輸入

政府が行う財政政策で、減税や一律給付金によって国民の手元に残る現金を増やすのは「個人消費」を増やすための施策、政府調達を増やすのは「政府消費」を増やすための施策ということになります。

しかし、企業の競争力が高まらないことには、海外市場への「輸出」の額を増やすことができず、また、国内市場においても日本企業の製品が外国企業の製品との競争に負けてしまうならば「個人消費」ではなく「輸入」が増える結果になってしまいます。

「輸入」の金額が増えると、GDPの計算ではマイナスの要因になります。

せっかく一律給付金で国民にお金を配ったとしても、そのお金が日本企業の製品の購入ではなく、外国企業の製品の購入に向かってしまうとすれば、それは日本の国富の海外への流出を意味し、「お金を配っても政府の赤字が増えるだけで、GDPは増えない」という緊縮財政論者の主張が不幸にも当たってしまうことになるわけです。

そうした点も勘案すれば、単に「国民にお金を配る」ということだけではなく、企業の競争力を高めるような経済政策についても、さらに論究を深めていく必要があります。

今回の議論だけでは「設計図を描く」ことにまで至ることはできませんでしたし、また、私一人の力では「設計図を描く」ことなど到底できないと思います。

やはり、いろいろな人が知恵を絞って、みんなの知恵を集めて、時間をかけて議論をしていきながら、詳細な「設計図を描いて」いくことが必要なのではないでしょうか。

6.トピックス:「カルト校則」の山が動いた?

経済の話はここまでにして、今日のトピックスは、学校の「カルト校則」の問題を取り上げたいと思います。

修学旅行で子どもたちが入浴する際に、「大浴場で2人の教師がペアになって全裸の生徒をくるっと一回転させて体に水滴が残っていないかチェックする」という指導を行うことを計画していた学校があって、これを止めさせるように、れいわ新選組の奥田芙美代さんが教育委員会に掛け合ったのだそうです。

最終的には、そうしたおかしな「指導」は行わないことになったようで、相談した生徒からは、奥田芙美代さん宛てに感謝と喜びの報告があったとのことです。

そうした奥田芙美代さんの活動が影響を与えたのか、あるいは奥田芙美代さんの活動とは全く関係がないところで別に話が進んでいたのか、詳しい事情は分かりませんが、福岡市教育委員会では、市内の中学校で「合理的説明ができない校則を廃止する」ことを決めたのだそうです。

朝日新聞デジタル 2023年2月2日 ツーブロック禁止の中学、新年度ゼロへ 福岡市教委が校則見直し公表

また、兵庫県尼崎市では、当事者の中学生が立ち上がり、行政に働きかけて、「ブラック校則」の見直しにこぎつけたそうです。

朝日新聞デジタル 2023年2月26日 「なぁ 大人聞いてんか」校則に苦しむ中学生、ラップで行政動かした

果たして「カルト校則やブラック校則の一掃」にまでこぎつけることができたのかどうかは分かりませんが、少なくとも何らかのカルト校則やブラック校則に関して規定の見直しを行うようになったことは間違いないようで、この点に関しては、状況が良い方向に向かって進んでいるようです。

今後の更なる進展に期待したいと思います。

7.おまけ:奥田芙美代さんモノマネ

最後に「おまけ」で、れいわ界隈では今、奥田芙美代さんのモノマネが流行っているようなので、モノマネの画像を載せておきます。

憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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