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立憲野党私設応援団(74)ロスジェネとれいわ新選組の未来は明るい〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

0.はじめに

1.衆議院解散後にSNS上で起きた「#就職氷河期世代」のトレンド

2.ロスジェネ・就職氷河期世代の不幸と未婚率の上昇

3.それでも、ロスジェネとれいわ新選組の未来は明るい

4.おわりに:「令和の非自民連立政権」待望論


0.はじめに

今回の記事は衆院選の投開票が行われた3日後に掲載されるのですが、いま実際に原稿を執筆しているのは投票日前で選挙結果が分からない段階です。

衆院選の選挙結果の総括については、次回の「第75回」の連載記事で論じる予定にしています。

あらかじめご了承ください。

1.衆議院解散後にSNS上で起きた「#就職氷河期世代」のトレンド

10月9日に衆議院が解散された後、「X」(旧twitter)上で断続的に「#就職氷河期世代」がトレンドに上がりました。

2.ロスジェネ・就職氷河期世代の不幸と未婚率の上昇

中央大学文学部人文社会学科教授の山田昌弘さんは、『パラサイト難婚社会』(朝日新聞出版、2024年)において、ロスジェネ・就職氷河期世代の不幸と未婚率の上昇について次のように論じています。

大学卒業時が就職氷河期に重なってしまった2000年前後、日本には膨大な非正規雇用者が生まれました。間の悪いことに、彼らはちょうど人口の多い「団塊の世代ジュニア」でもありました。本来ならば、この世代が結婚適齢期になったら、大量に結婚し、大量に出産するはずでした。当時の未婚者の結婚希望率は90%以上だったのです。少なくとも彼らが結婚し、それぞれ、2人ほどの子どもを生み育てていれば、日本の少子化はまだしもスピードを緩めることができたはずです。

ところが、彼らのかなりの部分が大学卒業時から10年を経ても、正社員になることは難しかったのです。非正規雇用は、その雇用形態が不安定なだけではなく、継続したキャリアアップが望めないという弱点とセットになっています。コールセンターで非正規雇用として採用された人は、1年後も3年後も同じ仕事をしていますし、事務職員として採用された派遣社員は、3年後も事務職員として変化のない仕事に従事し、任期が終わると別の会社に派遣され、またイチから同種の仕事をさせられるのです。コンビニやスーパーマーケット、居酒屋でサービス業に従事しているアルバイトも10円単位の昇給が精一杯、しかも勤続日数を重ねたところで正社員になれるわけでもありません。

新たなスキルアップをする機会を得られない非正規雇用者は、当然昇給とも昇進とも無縁です。日本社会が「格差社会」になったのは、このように昨年も今年も来年も、上昇していくことができない非正規雇用者を大量に生み出したことに、原因の一つがあるのです。

(中略)

生活にも、人生にも、キャリアにも、楽観的な夢や向上への期待をいだけなくなっていった日本人が、結婚生活にだけ夢を見いだせるわけがありません。むしろ「自分ひとりならどうにか生きていけるが、妻子を養うまでの給料は望めない」と多くの男性は冷静に見極めるようになり、女性も「結婚で一発逆転を狙えないなら、別に結婚しなくてもいい」と判断するようになります。

(中略)

本来なら、近代社会になり、仕事を持つ女性が増えることで、日本でも「親や夫に依存しない人生」を選ぶ女性が増えるはずでした。しかし、日本経済の停滞と同時に広がったこの非正規雇用という“新しい雇用形態”が多くの若者の人生設計を狂わした、と述べたら言いすぎでしょうか。

欧米でも「職の二極化」が起こり収入格差が広がりましたが、欧米ではそれ以前からすでに女性の社会進出が当然のこととなっていました。しかし日本では、男女雇用機会均等法で正社員で働き続ける道が開けたのと同時に非正規雇用化が進んだのは、皮肉としかいいようがありません。

男性の非正規雇用者は、「自分の所得では妻子を養うことはできない」と自信と希望を失い、女性の非正規雇用者は、「やはり夫は正社員でないと、将来において生活がままならない」実感を強め、より人生が豊かになる「結婚」でなければ、しない方がマシだと思うようになりました。結果として、「未婚」状態に置かれる若者が増大していったのです。

3.それでも、ロスジェネとれいわ新選組の未来は明るい

30代半ばから50代前半の世代「ロスジェネ・就職氷河期世代」は、就職時に正社員の採用枠が絞られたため、非正規雇用者の立場で働くことを余儀なくされた人々が数多くいます。

れいわ新選組代表の山本太郎さんの言葉を借りるなら、「泥水をすすりながら生きてきた」人たちがたくさんいるのです。

結果として、多くのロスジェネが「結婚」や「子どものいる幸せな家庭」という夢をあきらめ、社会全体としては「少子化問題の深刻化」と「第3次ベビーブームの消失」という現象を引き起こすこととなりました。

このように苦しみを背負ってきたロスジェネ世代が、救われる可能性はあるのか?

30代半ばから40代半ばくらいの人たちに関して言えば、今からでも「少子化対策」を充実させていけば、「子どものいる幸せな家庭」という夢を実現できるようになる可能性はあります。

40代後半から50代前半くらいの人たちに関して言えば、「子どものいる幸せな家庭」という夢はあきらめざるを得ないと思いますが、何らかの形での「自己実現」や、あるいは素敵なパートナーを見つけての「結婚」ということについては、まだ可能性はゼロではないと考えられると思います。

いずれにしても、「ロスジェネ・就職氷河期世代」が今からでも「質の高い雇用」に辿り着くことができることが極めて重要です。

「ロスジェネ・就職氷河期世代」の雇用の問題に関しては、公務員の雇用を増やして、ロスジェネを優先的に雇い入れるという考え方を、れいわ新選組が政策として示しています。

ここからは私個人の考えですが、「防災省職員」以外に、「学校の先生」(小学校、中学校、高校)の枠を増やして、優先的にロスジェネ世代を雇い入れるということをやってもよいのではないかと思います。

今の若い人たちに関して言えば、新卒の求人の状況が悪くないので、「学校の先生」は比較的敬遠される就職先になっており、いろいろなところで「学校の先生の人手不足」という話を聞きます。

それであれば、非正規雇用で働いているロスジェネ世代を、教員免許を取るところから国で支援し、地域の「学校の先生」として採用したうえで、(本人の希望があるなら特別に定年を大幅に延長するなどして)今から10年もしくは20年あるいは30年くらいにわたって長く働けるように、ロスジェネ向けの特別なプログラムを作ることを考えてもよいのではないでしょうか。

これは単に「ロスジェネを救う」ということだけではなく、社会の中で薄給だが内容的に厳しい仕事や難しい仕事に従事してきた社会経験を生かして子どもたちを指導していくということのメリットにも期待できるのではないかと考えています。

新卒で教員になった先生たちは、小学校・中学校・高校・大学という「学校の世界」しか知らず、ともすると世間知らずな人たちも少なくありません。

そういう意味で、本当に社会で経験を積んだ人たちが学校の現場で子どもたちを導いていくなら、今までとは違った教育効果が生まれることが期待できるのではないかと思います。

このように「若者世代およびロスジェネ世代向けの少子化対策」や「ロスジェネ世代向けの雇用対策」を進めていくためには、れいわ新選組の議席を伸ばしていく必要がありますが、「ロスジェネ・就職氷河期世代」は世代の人数としては多いので、大挙して政治の世界に本格参入するなら、今までの政党間のパワーバランスを一変させることができる可能性を秘めています。

実は、今回の衆院選で、私はれいわ新選組の候補者の選挙ボランティアに行ってきました。仕事が休みの日のみの参加のため、大した貢献ができたわけではありませんが、実際に参加してみて、選挙運動を進めていくためにたくさんの人手が必要なことはよく分かりました。

どうりで一般的な政治家が、業界団体や宗教団体や労働組合に頼りたくなるはずです(笑)

草の根のボランティアで国会議員を誕生させようとすれば、非常に多くのボランティアの参加が必要となります。

また、ボランティアだけではなく、選挙を回していくための「裏方」の養成が必要であることを、ブログ「反戦な家づくり」で山岸飛鳥さんが指摘しています。

反戦な家づくり れいわ新選組は「裏方」を真剣に養成せよ

今から10年後から15年後ぐらいのことを考えた場合には、仕事を持って働いている「ロスジェネ・就職氷河期世代」が退職して現役を引退することになるので、「選挙ボランティア」にしても「裏方」にしても、時間を割いて政治活動に参加できる人の数が飛躍的に増えてくることが予想されます。

現状で高齢の支持者に依存している既存の政党に対して、新興勢力であるれいわ新選組は、ロスジェネの圧倒的なマンパワーを上手く組織化することができれば、10年後から15年後ぐらいには「与党第一党」にまで成長できる可能性があるのではないでしょうか。

参加するロスジェネの側も、「選挙ボランティア」や「裏方」だけにとどまるのではなく、それが高じて地方議員や国会議員などになって「政治家・先生」と呼ばれるようになるなら、現役引退後に充実した「第二の人生」を送れるようになる可能性もあります。

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志さんは、中島岳志・雨宮処凛・杉田俊介・斎藤環・平野啓一郎(共著)『秋葉原事件を忘れない―この国はテロの連鎖へと向かうのか』(かもがわ出版、2023年)の中で、次のように述べています。

我々3人(筆者注:中島岳志・雨宮処凛・杉田俊介)はすごく近い誕生日で、1975年の1ヵ月以内に生まれたんですよね。山本太郎さんも1974年11月で近いんですが、自分を含めてずっと考えているのが「60歳の山本太郎」という問題なんです。我々はあと10年ちょっとで60代になる。これから10年間、山本太郎さんや僕たちが、ロスジェネ世代としてどのように闘い、そして老いていき、最後にどのような形を作ることができるのか、ということです。これは、ある種の政治的シンボルとして、山本太郎という人に仮託されているところがあると思っているんですね。

(中略)

私は闘技デモクラシーや制度の不審者であることの重要性を認めたうえで、これを次の段階に進めることが必要なのではと思っています。大きな包摂というか、その敵対性を超えてみんなが幸福へと向かうことができる次元の運動とはどのようなものだろうかと考えています。僕たちの運動や批評性、あるいは政治性を、次の段階に昇華させないといけない、そうした段階がこの10年で来ると思うんですね。これが僕のいう「60歳の山本太郎」問題なのです。

山本太郎さんが60歳~70歳の年齢で迎える2035年~2045年の10年間は、れいわ新選組が政権を獲って、「山本太郎総理」を実現し、ロスジェネ世代にとって「黄金の10年間」と呼べる時代にするべきです。

例えばですが、「65歳以上の高齢者全員に月5万円の給付金を一律給付する」といったような「高齢者生活安定化給付金」(仮称)を創設し、ロスジェネ世代やその上の世代の人たち全ての暮らしを救う、といった方策も考えられます。

これは決してロスジェネ世代だけを優遇するわけではなく、その下の世代の人たちも全てその年齢に達すれば現金給付を受給して安心の老後を送れるようになるわけで、平等に処遇することになります。

「ロスジェネを含む人々の生活を根底から底上げ」するというれいわ新選組の政策理念にも一致します。

政界を見渡してみて、今のところ、将来的に「圧倒的な総理候補」になれる可能性のある政治家は山本太郎しかいないと思いますので、その点では、逆にロスジェネ世代にアドバンテージがあると考えることができます。

戦国時代の加賀国は「百姓の持ちたる国」と呼ばれましたが、10年後の日本を「ロスジェネの持ちたる国」にすることによって、全ての世代の人々が幸せに暮らせる国を作ることができるのではないか、と私は夢見ています。

4.おわりに:「令和の非自民連立政権」待望論

第50回衆議院議員選挙の結果は、この原稿を執筆している時点では確定していませんが、自民党が単独過半数の議席を取るのはほぼ不可能で、自民党と公明党の議席を足した与党全体でも過半数の233議席にまで届くかどうか、予断を許さない情勢のようです。

日本国憲法の規定により、総選挙から30日以内に特別国会が召集されます。

問題は、特別国会での首班指名選挙がどうなるかです。

野党第一党の立憲民主党は、幹事長の小川淳也さんと、総合選挙対策本部本部長代行の小沢一郎さんを、2人ペアにして、各野党を行脚して、首班指名選挙の多数派工作を進めるべきです。

私個人の考えとしては、「政権交代」を実現するためには、このような感じの「オールスター内閣」構想を打ち出すべきだと思います。

「令和の非自民連立政権」構想

内閣総理大臣:玉木雄一郎(国民民主党)

国土交通大臣兼副総理:馬場伸幸(日本維新の会)

財務大臣:野田佳彦(立憲民主党)

外務大臣:山本太郎(れいわ新選組)

内閣官房長官:小川淳也(立憲民主党)

内閣官房副長官:矢田稚子(国民民主党)

衆議院議長:小沢一郎(立憲民主党)

参議院議長:福島瑞穂(社会民主党)

1993年に(平成の)「非自民連立政権」が誕生した際には、日本社会党の委員長であった山花貞夫さんは、政権首班の座を日本新党の細川護熙さんに譲りました。

今回、「令和の非自民連立政権」を誕生させるために、立憲民主党の代表である野田佳彦さんは、政権首班の座を国民民主党の玉木雄一郎さんに譲るべきです。

首班指名の1回目の投票で立憲民主党と国民民主党の全ての衆議院議員が「玉木雄一郎」と書けば、与党側の首班候補との決選投票に持ち込める可能性が高いものと思われます。

野田佳彦さんは、新政権でもし財務大臣になるなら、「内閣総理大臣を経験した財務大臣(大蔵大臣)」として、高橋是清、宮沢喜一、麻生太郎といった政治家と肩を並べて、歴史に名を残すことになります。

それで十分ではないでしょうか。

1994年に行われた首班指名選挙の際は、自民党の亀井静香さんが「1回目の投票で『不破哲三』と書くのは仕方がないが、2回目の投票では『村山富市』と書いていただきたい」と言って共産党に頭を下げたのだそうです。

今回は、立憲民主党幹事長の小川淳也さんと、立憲民主党総合選挙対策本部本部長代行の小沢一郎さんが、2人ペアで維新・共産・れいわ・社民などの各野党を回って、「1回目の投票で貴党の党首の名前を書くのは仕方がないが、2回目の投票では『玉木雄一郎』と書いていただきたい」と言って頭を下げるべきです。

もし仮に自公与党が過半数を確保したとしても、衆議院も参議院も自民党単独では過半数の議席を確保できない状況にありますので、公明党がこちら側につけば、「非自民連立政権」を誕生させることは、机上の計算としては可能です。

もし公明党の協力が必要な場合には、公明党には「平和福祉の党」として厚生労働大臣のポストを用意すればよいと思います。

今回もし「政権交代」が実現できないならば、立憲民主党はかつての日本社会党よりもひどい「万年野党体質」だと言うほかありません。

「政権交代」に向けた立憲民主党執行部の決断を期待して、今後の推移を見守りたいと思います。

憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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