※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。
<目次>
1.旗揚げから5年が経ったれいわ新選組
2.今年の衆院選の結果を分析する
3.来年の参院選が参議院単独選挙になる場合について考える
4.来年の参院選が衆参ダブル選挙になる場合について考える
5.年末ミニ情報:生活保護の受給申請について
1.旗揚げから5年が経ったれいわ新選組
2019年(令和元年)4月に山本太郎さんが一人で立ち上げた政治団体「れいわ新選組」は、旗揚げから5年が経って、衆議院議員9名・参議院議員5名を擁する立派な国政政党へと成長しました。
山本太郎さんが「れいわ新選組」を立ち上げる前から、長谷川羽衣子さん、ミサオ・レッドウルフさん、八幡愛さんは、「反原発」という志を共有して、山本太郎さんと「仲間」としてつながっていたのだということがよく分かります。
中でも「首都圏反原発連合」の運動を主導したミサオ・レッドウルフさんは、私が想像する勝手なイメージとしては、かなり過激な「急進派」的な感じの方なのではないかと思っていたのですが、れいわ新選組の衆院選候補者として政治の世界に本格参入してからの言動を拝見する限りでは、きわめて穏当な「漸進主義」的な考えの持ち主であるという印象を受けました。
「焦りは禁物」と語るミサオ・レッドウルフさんに対し、タコスキッドさんは衆院選の際に焦ってれいわ新選組を離党して無所属で強行出馬し、あえなく落選してしまいました。
れいわ新選組を離れることになったタコスキッドさんも、「8年後の山本太郎首相の誕生」には非常に期待を寄せているようで、また、そのために何らかの形で貢献したいという気持ちも強く持っておられるようです。
いずれにしても、10月の衆院選で、れいわ新選組は衆議院3議席から9議席へと「躍進」を遂げ、今後の展開にも大いに期待ができる状況になってきています。
2.今年の衆院選の結果を分析する
ここで、今年の10月に行われた衆院選について、れいわ新選組が候補者を擁立した主な選挙区の状況を振り返ってみましょう。
○れいわ新選組の現職議員がいる選挙区
まずは、れいわ新選組の現職議員がいる3つの選挙区を見ていきます。
【東京14区】
小選挙区当選:松島みどり(自由民主党) 75,862票
落 選:伊藤菜々(国民民主党) 53,221票
比例復活当選:櫛渕万里(れいわ新選組) 25,328票
落 選:斉藤佳代(日本維新の会) 21,628票
落 選:原努(日本共産党) 20,987票
落 選:大賀靖郎(参政党) 10,210票
落 選:大塚紀久雄(無所属) 1,481票
【千葉11区】
小選挙区当選:森英介(自由民主党) 92,187票
比例復活当選:多ケ谷亮(れいわ新選組) 45,616票
落 選:椎名史明(日本共産党) 22,720票
【大阪5区】
小選挙区当選:梅村聡(日本維新の会) 87,100票
落 選:国重徹(公明党) 65,872票
比例復活当選:大石晃子(れいわ新選組) 26,789票
落 選:宮本岳志(日本共産党) 24,480票
落 選:石橋篤史(参政党) 14,054票
いずれの選挙区も、共産党の候補者とは競合していますが、立憲民主党の候補者は競合しておらず、結果として、櫛渕万里さんも、多ケ谷亮さんも、大石晃子さんも、無事に比例復活で当選を果たすことができました。
東京14区の櫛渕万里さんは、「阿吽の呼吸」ではなく、しっかりとした取り決めを行って「選挙区の住み分け」をしたのですが、東京22区を譲られた側の山花郁夫さんも小選挙区で当選を果たすことができ、れいわ新選組にとっても、立憲民主党にとっても「WIN-WIN」の結果となり、衆院選の際のれいわ新選組と立憲民主党の「協力関係」は、戦術的に見ると大成功でした。
【東京22区】
小選挙区当選:山花郁夫(立憲民主党) 99,790票
比例復活当選:伊藤達也(自由民主党) 96,748票
落 選:鈴木美香(参政党) 26,005票
落 選:平野義尚(日本共産党) 25,453票
また、大石晃子さんの大阪5区は、一時期は立憲民主党が独自候補を擁立するという話もあったのですが、選挙直前になって「比例単独」に転出する形で立候補を取り下げることとなり、結果として大石晃子さんが無事に国会に戻ってくることができました。
なぜ立憲民主党が土壇場になって候補者を取り下げたのか、その理由は正直言ってよく分かりませんが、ひょっとして「総合選挙対策本部本部長代行」の小沢一郎さんが立憲民主党の側で上手いこと「調整」をしてくれたのだろうか、と想像をしてみたりもします。
○れいわ新選組が立憲民主党の大物議員に「刺客」を立てた選挙区
一方で、れいわ新選組が立憲民主党の大物議員に対して「刺客」を立てた選挙区もありますので、その結果を見てみましょう。
【宮城4区】
小選挙区当選:安住淳(立憲民主党) 102,229票
落 選:伊藤信太郎(自由民主党) 65,616票
落 選:佐藤雄一(日本維新の会) 15,581票
落 選:大林正英(れいわ新選組) 12,913票
【埼玉5区】
小選挙区当選:枝野幸男(立憲民主党) 107,778票
落 選:牧原秀樹(自由民主党) 78,250票
落 選:辻村千尋(れいわ新選組) 15,295票
落 選:山本悠子(日本共産党) 10,098票
【千葉14区】
小選挙区当選:野田佳彦(立憲民主党) 145,821票
落 選:高橋恭介(自由民主党) 51,723票
落 選:坂井洋介(日本共産党) 11,505票
落 選:ミサオ・レッドウルフ(れいわ新選組) 10,547票
いずれの選挙区でも、立憲民主党の大物議員が50%を上回る得票率で当選し、さらに他党の候補者に対し誰一人として比例復活当選を許さない「完全勝利」をしています。
元総理大臣で立憲民主党代表の野田佳彦さんに至っては、全国の小選挙区候補者の中の最多票数を獲得しており、まさに圧倒的な強さを見せつけた形となります。
残念ながら、れいわ新選組が放った「刺客」は、立憲民主党の大物議員の前には全く歯が立ちませんでした。
○立憲民主党がれいわ新選組の候補者に「刺客」を立てた選挙区
逆に、れいわ新選組が先に候補者の擁立を決めていた状況の中で、立憲民主党が後から「刺客」となる候補者を立てた選挙区について、その結果を見てみましょう。
【神奈川2区】
小選挙区当選:菅義偉(自由民主党) 119,548票
落 選:柳家東三楼(立憲民主党) 47,222票
落 選:三好諒(れいわ新選組) 27,535票
落 選:並木まり子(日本共産党) 19,538票
落 選:平本幸次郎(参政党) 15,315票
【愛知15区】
小選挙区当選:根本幸典(自由民主党) 71,012票
落 選:関健一郎(日本維新の会) 44,945票
比例復活当選:小山千帆(立憲民主党) 42,837票
落 選:辻恵(れいわ新選組) 17,529票
落 選:高木繁(日本共産党) 7,220票
【福岡3区】
小選挙区当選:古賀篤(自由民主党) 95,074票
落 選:仁戸田元氣(立憲民主党) 65,835票
落 選:瀬尾英昇司(日本維新の会) 23,289票
落 選:奥田芙美代(れいわ新選組) 22,661票
落 選:重松雄子(参政党) 12,887票
落 選:山口湧人(日本共産党) 11,059票
【沖縄4区】
小選挙区当選:西銘恒三郎(自由民主党) 61,289票
落 選:金城徹(立憲民主党) 47,248票
比例復活当選:山川仁(れいわ新選組) 20,284票
落 選:山川泰博(日本維新の会) 12,481票
神奈川2区、愛知15区、福岡3区で、いずれもれいわ新選組の候補者は落選の憂き目に遭い、中でも愛知15区では、元れいわの立憲候補者に比例復活当選を許すという、非常に悔しい結果となっています。
唯一「返り討ち」にできたのが沖縄4区で、ここは立憲民主党の候補者が落選し、れいわ新選組の候補者が比例復活当選を果たす結果となっています。
いずれにしても、今回の衆院選で、れいわ新選組の候補者の多くは、共産党の候補者の得票数を上回り、「赤い壁」を乗り越えることができましたが、立憲民主党の候補者の得票数には遠く及ばず、「青い壁」に跳ね返される結果となっています。
とはいえ、今後、何回か衆院選の経験を積み重ねていけば、いずれは立憲民主党の「青い壁」を乗り越えられる日が来るのではないか、と期待したいですし、期待できるポテンシャルはあるのではないかと感じています。
3.来年の参院選が参議院単独選挙になる場合について考える
来年の夏に行われる予定の参院選について、田中龍作さんと山岸飛鳥さんが、苦言や提言を出されています。
れいわ新選組は、代表の山本太郎さんを国会の「党首討論」へ送り込むためにも、来年の参院選で7議席を獲得して、非改選の3議席と合わせて合計10議席へと躍進する必要があります。
奥田芙美代さんなどの全国比例向きの候補が比例票を上積みすることで「比例で4議席か5議席」を狙い、2人区以上の複数区に積極的に候補者を擁立することで「選挙区で2議席か3議席」を狙うことで、全体で「7議席獲得」を目指していきべきです。
6人区:東京
4人区:埼玉、神奈川、愛知、大阪
3人区:千葉、兵庫、福岡
2人区:茨城、静岡、京都、広島
これらの複数区のうち、東京、埼玉、神奈川、愛知、大阪の5つの選挙区は特に重要ですので、これらの選挙区で「2~3議席」を獲得できるように、早めに候補者の擁立を決めて、地盤を開拓していく必要があると思います。
また、可能であれば、それぞれの地域で活動しているボランティアの方々の意見を聞いて参考にしながら、いくつか考えられる選択肢の中で一体どの候補者をその地域で擁立するのか、相性の良い組み合わせを考えていけるとよいのではないでしょうか。
4.来年の参院選が衆参ダブル選挙になる場合について考える
来年の夏の参院選は、「参院選単独」で実施される可能性もありますが、再び衆議院が解散して「衆参ダブル選挙」になる可能性もあります。
もし「衆参ダブル選挙」になる場合には、1993年(平成5年)に衆議院で現行の「小選挙区比例代表並立制」の選挙制度が導入されて以来、初めての「衆参ダブル選挙」となります。
その場合には、オペレーションが非常に複雑になります。
【衆議院選挙】
小選挙区:候補者名を書く
比例区:政党名を書く(候補者名を書くと無効票になる)
【参議院選挙】
選挙区:候補者名を書く
比例区:候補者名または政党名を書く
1人の有権者が1回の選挙で同時に4票の票を投じることとなり、さらに、「候補者名」を書いたらいいのか「政党名」を書いたらいいのか、非常に複雑なため、間違えて無効票を投じてしまうことになる危険性がかなりあると言えます。
また、実際問題として、「衆参ダブル選挙」を仕掛けてくるのは、衆議院の解散を決断する内閣総理大臣の側となりますから、与党側から見て「勝てる」と思った時にだけ「衆参ダブル選挙」になる、という実態的なこともふまえておく必要があります。
つまり、「衆参ダブル選挙」になった時点で、野党側には分が悪いということです。
こうしたことをふまえての私からの提案です。
「衆参ダブル選挙」の場合の候補者擁立戦略
【衆議院選挙】
小選挙区:候補者を一切立てずに「ボイコット」する
比例区:「比例単独候補」を各ブロックに大量に擁立する
【参議院選挙】
選挙区:1人区を含む45の選挙区すべてに候補者を1人ずつ擁立する
比例区:全員を「特定枠」に入れて順位付けしたうえで10人弱の候補者を擁立する
参議院選挙の選挙区におけるれいわ新選組の候補者擁立の方針は、「1人区は『野党共闘』に気を遣って積極的には候補者を立てないが、2人区以上の複数区には積極的に候補者を立てる」というものだと考えられますが、「衆参ダブル選挙」になった場合には、そうしたことは考えずに、参議院はすべての選挙区に候補者を1人ずつ擁立したらいいと思います。(「衆参ダブル選挙」の場合には、「野党共闘」をやろうがやるまいが、おそらく地方の1人区では自民党に勝てないでしょう。)
そのうえで、全国津々浦々の参院選ポスターの公営掲示板に「衆議院も参議院も比例はれいわ」とでっかく書いたポスターを貼っていったらいいと思います。
れいわ新選組は、全国で見れば、まだ一度も選挙区に候補者を擁立したことがない地域がたくさんあります。
もし「衆参ダブル選挙」になった場合には、その機会を利用して、全国に候補者を擁立して、れいわ新選組の存在をまだよく知らない有権者の人たちに「御披露目」をしていったらいいのではないでしょうか。
その代わりに、衆議院の小選挙区には、候補者を一切立てないこととします。
そして、「前回の選挙から1年も経たないうちの衆議院解散は、自民党の党利党略だ!こんな茶番の小選挙区選挙は断固『ボイコット』する!」と言ってやったらいいのではないでしょうか。
そのうえで、参議院の全国比例は、あえて候補者全員を「特定枠」に入れて、事実上の「拘束名簿式」にしてしまいます。
そうすることで、周知徹底させる候補者名は、参議院の選挙区選挙の候補者1人に絞ることができ、あとは「衆議院も参議院も比例はれいわ」を連呼すればよいシンプルなオペレーションになります。
そして、もしれいわ新選組だけではなく、日本共産党や社会民主党も同様の候補者擁立戦略を採用するならば(とはいっても、共産党は沖縄1区に、社民党は沖縄2区に、それぞれ現職の衆議院議員を候補者擁立することになるでしょうが)、全国の衆議院の小選挙区は、革新・リベラル系の候補者が結果的に立憲民主党の候補者に一本化されることになります。
もし自民党が衆議院を解散して「衆参ダブル選挙」に打って出た場合には、この戦略で対抗し、逆に「政権交代」を狙っていけばいいのではないでしょうか。
5.年末ミニ情報:生活保護の受給申請について
生活保護法では、申請のあった日から14日以内に書面で決定の通知をすることが法律で決められています。
従って、この原則通りでいけば、明後日12月13日(金曜日)に生活保護の受給申請をすれば、ギリギリ12月27日(金曜日)までに受給決定の通知を受けることができることになります。
「住まいがない人は生活保護を受給することができないのでは?」という質問について、「生活保護おじさん」が動画で次のように答えています。
また、「フミダン」というホームページを使って、生活保護受給申請書をネット上で作成することもできます。
生活保護の受給は、日本国憲法第25条に規定される「生存権」に基づく国民の権利です。
この記事を読まれた方は、生活保護の受給が必要な方に向けて、是非この情報を拡散していただければ幸いです。
憲法9条変えさせないよ
プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。