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立憲野党私設応援団(91)参院選直前、令和の護憲三派(れいわ・共産・社民)へのエール~憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

1.令和時代の護憲三派

2.れいわ新選組へのエール

3.日本共産党へのエール

4.社会民主党へのエール

5.トピックス:尼崎市議会議員選挙


1.令和時代の護憲三派

いわゆる「大正デモクラシー」の大正時代末期に「第二次護憲運動」で清浦奎吾内閣を倒したのは、憲政会・政友会・革新倶楽部の「護憲三派」でした。

その時代からおよそ100年経った今の時代に、日本国憲法を護る「令和の護憲三派」と呼べるのは、れいわ新選組・日本共産党・社会民主党の3党なのではないでしょうか。

護憲派vs改憲派の分類


護憲派護憲と改憲の両方の顔改憲派
与 党
公明党自由民主党
ゆ 党


日本維新の会
国民民主党

野 党
れいわ新選組
日本共産党
社会民主党
立憲民主党

参政党
日本保守党

選挙の前には「護憲派」のような顔をするものの、実際の国会の「憲法審査会」では護憲派の立場に立って行動するつもりなのか改憲派の立場に立って行動するつもりなのかよく分からない野党第一党の立憲民主党を含めた国会での現有議席について整理すると、次のようになります。

国会現有議席(立憲・れいわ・共産・社民)


立憲れいわ共産社民4党合計1/3ライン定数
衆議院148981166155465
参議院3951125783248

現状では、れいわ新選組・日本共産党・社会民主党の「令和の護憲三派」の議席だけでは国会内において改憲勢力の暴走を止めることはできず、野党第一党の立憲民主党を叱咤激励し、時には励まし、時には批判しながら、「憲法審査会」での議論の動きに対応していく必要があるでしょう。

さらに、参院選後に自民党と立憲民主党が「大連立」をする可能性を視野に入れて考えると、日本国憲法を護っていくためには、れいわ新選組・日本共産党・社会民主党の3党で少しでも多くの議席を獲れるように努力をしていく必要があります。

2.れいわ新選組へのエール

2024年の衆院選で躍進したれいわ新選組の得票状況に関して、三春充希さんが非常に興味深い分析を行っています。

これまで、れいわ新選組の得票数増加の要因は「立憲民主党や共産党から票を奪ったもの」だとする見方が強かったのですが、三春充希さんの分析によって、実際には自民党や維新、あるいは無党派から票を獲得していることが明らかになりました。

7月の参院選において、れいわ新選組は「消費税インボイス廃止」を訴える当事者として、漫画家の池沢理美さんと声優の岡本麻弥さんを擁立します。

これは更なる党勢の拡大に、大いに期待できるのではないかと思います。

今回の参院選で、れいわ新選組は7議席の獲得を目標にしていますが、もし参院選後に自民党と立憲民主党の「大連立」があった場合には、次に行われる衆院選が非常に重要な選挙になります。

立憲民主党が与党入りする場合には、現時点での衆議院の議席配分で言えば、日本維新の会が「野党第一党」の地位に就くことになります。

この点に関しては、現状いかんともしようがありませんが、次期衆院選でれいわ新選組が日本維新の会から「野党第一党」の座を奪うことができるかどうかが、今後の日本の政治の流れを大きく左右することになると思います。

自由民主党、立憲民主党、公明党の3党が「与党」になった未来においては、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、参政党などが「野党第一党」の座を争うことになります。

仮に次期衆院選が(自民党総裁選がある)2027年か(衆議院任期満了の)2028年になると仮定すれば、れいわ新選組は(内閣不信任案を単独で提出できる)「51議席」を獲得して、同時に日本維新の会から「野党第一党」の座を奪うことができるよう、そのことから逆算して今回の参院選を戦っていくべきだと思います。

最後に、東京都議会議員選挙の「獲得議席ゼロ」という結果をふまえての「X」(旧twitter)投稿をいくつかご紹介しておきます。

3.日本共産党へのエール

日本共産党委員長の田村智子さんが、産経新聞の単独インタビューで次のように答えています。

2024年の衆院選でれいわ新選組の獲得議席が日本共産党の獲得議席を上回り、特に比例東北ブロックでれいわ新選組が1議席を獲得して日本共産党が議席を失う結果になったことから、SNS上においてそれぞれの議員や支持者どうしが鞘当てをする場面が多く見られるようになりました。

しかし、産経新聞のインタビューでれいわ新選組について聞かれた日本共産党の田村智子委員長は、「(れいわ新選組は)戦う相手ではない。自民党政治はダメだと言っている人たちとは力を合わせることが大事だ。切磋琢磨したい」と語っています。

また、参院選の1人区においては立憲民主党と協議を行い、「野党共闘」を進めていく意思があることを表明しています。

議席を減らした2024年の衆院選の票の流れの分析を見てみると、それまで共産党に入っていた票が他党に流れたその行き先は、れいわ新選組ではなく、主に立憲民主党と国民民主党だった模様です。

三春充希(はる)未来社会プロジェクト 【特集】第50回衆院選(2024年)国民民主党&れいわ新選組

共産党は参院選において立憲民主党と協力する姿勢を打ち出しており、そのことをふまえたうえで、共産党が失った票を取り戻していくためには、票の流出先である国民民主党から支持者を取り戻す動きを第一に考えるべきであるという結論が導き出されます。

日本共産党は比例代表で5議席、選挙区で3議席以上を獲得することを今回の参院選の目標として掲げています。

仮に目標に届かなかったとしても、今回改選となる7議席を維持できるよう、健闘を祈りたいと思います。

最後に、東京都議会議員選挙の「改選19議席から当選14議席の5議席減」という結果をふまえての「X」(旧twitter)投稿をいくつかご紹介しておきます。

4.社会民主党へのエール

社民党の過去5回の参院選における比例区での得票の推移を見てみましょう。

社会民主党参院選比例区得票数推移

選挙年2010年2013年2016年2019年2022年
政党名得票1,614,821票938,227票1,103,157票761,207票963,899票
個人票1位福島瑞穂 381,554票又市征治 156,155票福島瑞穂 254,956票吉田忠智 149,287票福島瑞穂 216,984票
個人票2位吉田忠智 130,745票山城博治 112,641票吉田忠智 153,197票仲村未央 98,681票宮城一郎 22,309票
党合計2,242,735票1,255,235票1,536,238票1,046,011票1,258,501票

※「党合計」は個人票3位以下の得票まで全て含んだもの。

社民党の得票数の推移を見てみると、福島瑞穂さんが出馬する時と出馬しない時で1回おきに政党名の得票と党合計の得票が増えたり減ったりしている傾向がはっきり分かります。

過去の得票の推移から推論する限りでは、今回の2025年の参院選の得票は減ることが予想され、おそらくは議席にも届かず政党要件を失ってしまうのではないか、という流れが見てとれます。

政党名の得票が減ることを前提としたうえで、個人票でカバーするとしても、又市征治さんはすでに鬼籍に入っておられ、吉田忠智さんは立憲民主党に移籍して社民党には在籍しておらず、党首の福島瑞穂さんは非改選で今回の参院選での出馬はありません。

著名人を比例代表の候補者として擁立することができているわけでもありませんので、このままでは、得票率2%を確保するのは極めて厳しいと言わざるを得ないでしょう。

参院選まで、もう日にちもありませんので、あとは何か「奇策」に打って出るしかないと思います。

具体的には、埼玉選挙区の高井環さん、東京選挙区の西美友加さん、神奈川選挙区の金子豊貴男さんの3人の候補者の選挙区からの出馬を取りやめて、そのうえで西美友加さんを比例代表の候補者にするという荒療治を行うのです。

供託金だけで考えれば、選挙区の候補者3人で「300万円×3人=900万円」の支出が減って比例代表の候補者1人で「600万円×1人=600万円」の支出が増えることになりますので、トータルで300万円費用が節約できることになります。

そのうえで、西美友加さんに東京・埼玉・神奈川・千葉の1都3県で選挙運動を展開してもらって、東京都では「選挙区は山本譲司、比例区は西美友加」、埼玉県では「選挙区は桜井奈々絵、比例区は西美友加」、神奈川県では「選挙区は三好諒、比例区は西美友加」、千葉県では「選挙区は山本なつみ、比例区は西美友加」と言って回って、れいわ新選組の候補者を応援していくのです。

社民党の東京選挙区の候補者として出馬予定の西美友加さんは、前回の2022年の参院選ではれいわ新選組の候補者として埼玉選挙区から出馬し、当選ラインには届かず落選したものの、121,769票の得票を得た候補者です。

今は社民党に移籍して、消費税減税を訴えています。

それであれば、思い切って、関東エリアで社民党は選挙区の候補者を降ろして、れいわ新選組の候補者を応援し、社民党支持者の票を選挙区ではれいわ新選組の候補者に集めるようにして、その代わりにれいわ新選組の支持者の一部に比例代表で「西みゆか」の名前を書いてもらうようにすれば、れいわ新選組は選挙区で候補者を当選させることができ、社民党は比例区で候補者を当選させることができて、お互いに「WIN-WIN」の関係を築くことができます。

経済学者の植草一秀さんは、「れいわ新選組・日本共産党・社会民主党3党の大同団結」を主張しておられます。

「れいわ・共産・社民の大同団結」の実現はすぐには難しいと思いますが、「れいわと社民」の組み合わせで協力関係を築くのは、実現の可能性が比較的あるほうなのではないかと思います。

なぜなら、かつて「生活の党と山本太郎となかまたち」と「社会民主党」は参議院統一会派「希望の会」を組んでいたことがあり、れいわ新選組の山本太郎代表と社会民主党の福島瑞穂党首の政治的なスタンスは、非常に近いところにあるからです。

社会民主党は、今回の参院選で3議席以上の議席を獲得することを目標に掲げています。

衆議院の現有議席が1議席、参議院の非改選議席が1議席ということで、「衆参合わせて5議席以上」という政党要件を満たすために「3議席以上」という目標を掲げているのだと思います。

しかし、その条件を満たすのは現実的には難しいと思いますので、もうひとつの政党要件である「得票率2%」に照準を定めて、今回の参院選では何としても「比例代表で1議席獲得」と「得票率2%を上回る」というハードルをクリアして、国政政党として存続してほしいと願っています。

5.トピックス:尼崎市議会議員選挙

6月15日に尼崎市議会議員選挙の投開票が行われ、れいわ新選組の「やはたオカン」(八幡さゆり)さんが初当選を果たしましたが、公明党の支持基盤に陰りが見え、参政党の高野由里子さんがトップ当選を果たすなど、政界の構造変化が垣間見える興味深い選挙となりました。

ところで、この尼崎市議会議員選挙は、NHK党党首の立花孝志さんが「もし福井完樹さんが落選したら政界引退する」と宣言していて注目を集めていたのですが、NHK党の福井完樹さんも尼崎市議会議員選挙で当選を果たし、立花孝志さんの政界引退はなくなりました。

ところが、当選を果たした福井完樹さんが尼崎市議選なのに「(当選祝いの花束を)岸和田の自宅に飾っています。」と「X」(旧twitter)に投稿してしまっていて、もし尼崎市内に居住実態がない場合には当選が無効になってしまうことから、物議を醸しています。


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。