※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。
<目次>
1.東京都議会議員選挙「千代田区ショック」に垣間見える希望と恐怖
2.「令和の日本型ポピュリズム」の3要素
3.参政党支持者の3分類
4.「本当に参政党でいいの?」
5.識者による参政党の分析など
1.東京都議会議員選挙「千代田区ショック」に垣間見える希望と恐怖
先月行われた東京都議会議員選挙で、日本維新の会、れいわ新選組、再生の道がいずれも獲得議席ゼロに終わったのに対し、参政党が3議席を獲得し、一躍注目を浴びるようになりました。
しかし、参政党の議席獲得はいずれも複数区においてであり、私が衝撃を受けたのは、1人区の千代田区選挙区の選挙結果でした。
東京都議会議員選挙千代田区選挙区(2025年6月22日執行)
順位 | 候補者名 | 得票数 |
1位(当選) | 佐藤沙織里(無所属) | 7,232票 |
2位(落選) | 平慶翔(都民ファーストの会) | 6,986票 |
3位(落選) | 林則行(自由民主党) | 6,134票 |
4位(落選) | 木村正明(日本共産党) | 2,093票 |
5位(落選) | 内田直之(無所属) | 1,767票 |
6位(落選) | 柳澤誉之(再生の道) | 1,004票 |
7位(落選) | ナカジマケンジ(自治労と自治労連から国民を守る党) | 153票 |
都民ファーストの現職都議の平慶翔さんが落選して無所属の佐藤沙織里さんが当選した衝撃の選挙結果は、「千代田区ショック」と呼ばれました。
この現象は、「佐藤沙織里」さんの立場に「れいわ新選組」の候補者を当てはめ、「平慶翔」さんの立場に「立憲民主党」の候補者を当てはめて考えるなら、近い将来「次の次の衆院選」あたりで「れいわ新選組」が小選挙区で議席を獲得する可能性があるのではないか、という希望をもたらしてくれます。
逆に、「佐藤沙織里」さんの立場に「参政党」の候補者を当てはめ、「平慶翔」さんの立場に「立憲民主党」の候補者を当てはめて考えるなら、近い将来「次の次の衆院選」あたりで「参政党」が小選挙区で議席を獲得する可能性があるのではないか、という恐怖を感じることになります。
2.「令和の日本型ポピュリズム」の3要素
平成時代においては「小泉劇場」(自民党の小泉純一郎首相による劇場型政治)が「日本型ポピュリズム」と呼ばれましたが、令和時代の今起きている「千代田区ショック」と「参政党の台頭」を、軌を一にする現象として捉え、私はこれを「令和の日本型ポピュリズム」と呼ぶことにしたいと思います。
この「令和の日本型ポピュリズム」は、次の3つの要素で成り立っています。
「令和の日本型ポピュリズム」の3要素
①減税
②日本人ファースト
③既成政党批判
無所属の佐藤沙織里さんと参政党の主張内容で一致しているのは、この3つの要素です。
この3要素が有権者に今よりも熱狂的に受け入れられるようになると、近い将来「日本版トランプ現象」的なことがおき、最悪の場合には戦前のナチス・ドイツ的なものに転化してしまう恐れがあるのではないかと危惧します。
「令和の日本型ポピュリズム」の広がりを止める役割を果たすのに一番近い立場にいるのは、ズバリ、れいわ新選組だと思います。
3つの要素のうち「①減税」と「③既成政党批判」の2つについては、れいわ新選組と参政党の間に大きな違いはありません。
問題は「②日本人ファースト」という要素ですが、この要素をどのように取り扱うべきかについては、後で改めて論考していきます。
いずれにしても、参政党の支持が急速に拡大していくこの状況に何とかして歯止めをかける必要がありますので、そのための具体的な方策を検討していきたいと思います。
3.参政党支持者の3分類
急速に支持を伸ばしている参政党ですが、その支持者は大まかに言って次の3つに分類できるのではないかと思います。
参政党支持者の3分類
タイプA:復古主義と外国人排斥を訴える保守層(主に男性)
タイプB:今まで無党派や無関心層だった中間層(男女問わず)
タイプC:オーガニックに関心を持つリベラル層(主に女性)
まず、タイプAの「復古主義と外国人排斥を訴える保守層」は、多くが自民党の「安倍支持層」だったと考えられる人たちで、維新や国民民主を経由するなどして、最終的に「参政党支持」に流れ着いたのではないかと考えられます。
次に、タイプBの「今まで無党派や無関心層だった中間層」は、昨年の衆院選でれいわや国民民主を躍進させる大きな要因になった層だと考えられますが、6月の都議選の「維新・れいわ・再生の道は獲得議席ゼロ、参政党は3議席を獲得して躍進」という選挙結果を受け、その報道を聞いて「維新・れいわ・再生の道はオワコン、今勢いがあるのは参政党」だというふうに捉えて、非常に多くの人々が「参政党支持」に傾きつつあるようです。
最後は、タイプCの「オーガニックに関心を持つリベラル層」で、特に女性は「参政党マダム」と呼ばれる、高所得かつ社会問題への関心が高い層です。本来であればこうした人々は「バラモン左翼」的に立憲民主あたりを支持していてもおかしくないのですが、「オーガニック」に強い関心を持つあまり、「参政党支持」に辿り着いてしまっています。
このように見てみると、右から左まで、考え方としてはかなり幅広い人々が「参政党支持」に集結しており、私が今起きている参政党の勃興を「右派ポピュリズム」と呼ばずに「令和の日本版ポピュリズム」と呼ぶようにしているのは、そのような理由によります。
参政党はすでに日本全国に一定の党組織を構築しており、そのうえ右派から左派まで幅広い考えを持つ支持者を抱えているため、「小規模政党」という今現在の状況から、近い将来「第3極」や「野党第一党」、あるいは政権を担う立場にまで勢力を拡大していく可能性があります。
党支持者の考え方は幅広い半面、参政党自体の基本的な政策の考え方は「積極財政」・「復古主義」・「外国人排斥」の3つを柱にしており、これが嵩じていくと戦前のナチス・ドイツ的なものに転化してしまう危険性があり、その党勢拡大にどうやって「待った」をかけていくのか、その方策を検討していく必要があります。
4.「本当に参政党でいいの?」
今回の参院選でどうやって参政党の党勢拡大に「待った」をかけるか?
対面による説得の場合も、SNS上における情報発信の場合も、基本的な戦略として、選挙区での投票には目を瞑り、「比例区の投票で『参政党』と書かないよう奨める」ことに徹していくべきだと考えます。
そのためのキーワードは、「本当に参政党でいいの?」です。
これは、「X」(旧twitter)でハシュタグにすると「#本当に参政党でいいの」と「?」に分かれてしまい、参政党を肯定するようなハシュタグになってしまいますが、あえて「#本当に参政党でいいの」のハシュタグで投稿するのが面白いのではないかと思います。
そして、参政党の支持者らしき人を見つけたら、その人の「選択的夫婦別姓」に関する考え方を尋ねてみます。
選択的夫婦別姓に「断固反対」の参政党支持者は「タイプA」(復古主義と外国人排斥を訴える保守層)の支持者なので、彼らの政治的な考え方を改めるべきだというようなお説教はせずに、「政党名しか書けない衆院選の比例区の投票とは違って、参院選の比例区では個人名が書けるので、国家に役立つ有為な人材を国会に送り出すべく個人名による投票を行うべきだ」と説いて、「吉野敏明」(日本誠真会)か「北村晴男」(日本保守党)のどちらかに投票することを奨めるとよいのではないでしょうか。
「神谷宗幣はメディアに取り上げられすぎて、金もうけのための『ビジネス保守』になり下がってしまった。安倍元総理の考え方、本物の保守主義を実現するためには、吉野敏明さん(あるいは、北村晴男さん)に国会に行って仕事をしてもらった方がいい」というふうに言って説得するなら、少しは考え直してくれる人が出てきてくれるかもしれません。
選択的夫婦別姓に「個人的には特に反対ではない」と答える参政党支持者がいたなら、それは「タイプB」(今まで無党派や無関心層だった中間層)か「タイプC」(オーガニックに関心を持つリベラル層)なので、説得し甲斐があります
「タイプB」や「タイプC」の人たちであれば、説得すれば参院選の比例区の投票で「れいわ」と書いてくれる可能性があると期待できます。
先に「タイプC」の人についての話をすると、れいわ新選組の比例代表候補で農家の「塩崎みのる」さんを推してみてはどうかと思います。
また、「タイプB」の人についていえば、リアルな世界でも、SNS上でも、「れいわと参政党の両方を応援している」とか、「れいわと参政党のどちらに投票するか迷っている」というふうに言う人は少なくありません。
この人たちが参院選の比例区の投票で「れいわ」と書くか「参政党」と書くかで、選挙の結果は大いに変わってきます。
れいわと参政党の違いは、参政党代表の神谷宗幣さんが「日本人ファースト」を謳っているのに対して、れいわ新選組代表の山本太郎さんが「『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を取り戻す」と訴えていることにあります。
【街宣 LIVE】山本太郎代表・山本ジョージ東京選挙区公認候補2025年7月5日東京都・新宿駅東口広場
「れいわと参政党の政策の大きな違いを教えて下さい」質問頭出し済
また、れいわの移民政策に関して言えば、れいわ新選組代表の山本太郎さんも、以前から国会で「反対」の立場を取っており、このことも情報拡散していく必要があります。
いずれにしても、一部を除けば、れいわの支持者と参政党の支持者の間でそんなに大きな性質の違いがあるようには感じられませんので、これからの宣伝・広報活動のやり方次第で、「れいわ」の票を増やしていくことは大いに可能なのではないかと思います。
大阪で「END維新」という維新プロテスト運動を展開している「プラナー」さんが、今回の参院選に関して、「参政党プロテスト運動」を展開する必要があるとの問題提起をされています。
あくまでも私の捉え方によるものですが、SNS上の「参政党プロテスト運動」のやり方まとめてみると、次のようなものになります。
「参政党プロテスト運動」のやり方
ポイント①:「X」(旧twitter)上において、「この事実を知ったら有権者が『参政党には票を入れたくない』と思うような内容のバナーや写真や動画」をあげて、ひたすら情報を拡散する。
ポイント②:「X」(旧twitter)上において「参政党に関する事実」を拡散する場合には、通常の投稿(ツイート)や返信(リプライ)ではなく、必ず「神谷宗幣代表のツイートの引用リツイート」(もしくは参政党の候補者のツイートを引用リツイート)の形式で、「参政党に関する事実」のバナーや写真や動画を入れて拡散する。
ポイント③:せっかくの「参政党に関する事実」の拡散も、通常のツイートで発信してしまったのでは、自分と考えが近い人との間だけで「エコーチェンバー」を起こすことになってしまいがちなので、たくさんの「リツイート」や「いいね」があったとしても、実際の拡散効果は薄い。
ポイント④:「参政党に関する事実」を紹介するバナーや写真や動画を投稿する時は、1つのツイート内に複数のバナーや写真や動画をあげることはせず、「1ツイート1バナー」あるいは「1ツイート1動画」という原則を守って、見やすいツイートにする。
ポイント⑤:紹介したい「参政党に関する事実」がたくさんある場合には、いくつかのツイートに内容を分けて、たくさん数を投稿するようにし、必ず「1ツイート1バナー」や「1ツイート1動画」という原則を守るようにする。
ポイント⑥:自分以外の人が「参政党に関する事実」をツイートしているのを見た場合には、そのツイートに必ず「いいね」を入れて、さらに他の人に見られやすくなる環境を整える。
ポイント⑦:このようにして多くの人が「神谷宗幣代表のツイートの引用リツイート」の形式による「参政党に関する事実」紹介ツイートを投稿し、そしてさらに「いいね」をすることによって、投票日間近になって「無党派層」(「プラナー」さんの言い回しで言うと「無関心層」)が「誰に投票しようかな」と思ってSNSを見に来た時に目の前に「参政党批判ツイート」が溢れかえるようになり、「参政党に投票するのはやめよう」と思うようになる。
プラナーさんの「ネット落選運動」の例で出てくる動画は「対維新用」ですので、「対参政党用」で使えるものや、そのヒントになるものについて、後で挙げておきます。
また、参政党に対する「足止めツイート」以外に、れいわの良さをPRするツイートも重要になると思いますので、選挙戦序盤の「ホームラン級ツイート」を紹介しておきます。
5.識者らによる参政党の分析など
それでは、「参政党プロテスト運動」に使えそうな素材や、識者らによる参政党の分析などに関するツイートをあげておきましょう。

憲法9条変えさせないよ
プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。