※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。
<目次>
0.革新・リベラル系の敗北だった参院選
1.参政党はなぜ躍進したのか
2.惨敗した立憲民主党と共産党
3.ラサール石井は社民党を救った
4.れいわ新選組のこれからを考える
5.トピックス:奥田芙美代さん初登院でいきなりトンガるの巻
0.革新・リベラル系の敗北だった参院選
2025年参院選の反省会を始めるにあたり、まずは、立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党の革新・リベラル系野党4党の政党別獲得議席を確認してみましょう。
改選議席 | 今回獲得議席 | |
立憲民主党 | 22 | 22 |
日本共産党 | 7 | 3 |
れいわ新選組 | 2 | 3 |
社会民主党 | 1 | 1 |
革新・リベラル系野党4党合計 | 32 | 29 |
自民党が改選52議席から39議席へと13も議席を減らし、公明党が改選14議席から8議席へと6も議席を減らす中で、革新・リベラル系野党はその受け皿になることができず、国民民主党が改選4議席から17議席へと13も議席を増やし、参政党が改選1議席から14議席へと同じく13も議席を増やすという結果に終わりました。
1.参政党はなぜ躍進したのか
今回の参院選で参政党が躍進した要因は、様々なものがあります。
まず、6月の都議選が「維新・れいわ・再生の道は獲得議席ゼロ、参政党は3議席を獲得して躍進」という選挙結果になり、その結果を「客観報道」で知った有権者が「維新・れいわ・再生の道はオワコン、いま勢いがあるのは参政党」だという見方で参政党に注目することになったこと。
そして、維新を離れて無所属になっていた梅村みずほさんが参院選直前に参政党に入党したことで「国会議員5人」という政党要件を満たすこととなり、テレビ各局で行われる参院選向けの党首討論に党首の神谷宗幣さんが出演することができるようになったこと。
さらに、「日本人ファースト」というキャッチコピーが、「外国人が増えてきた」ことを生活実感として不安や不満に感じている都市部や工業地域の住民などの心に刺さったことが、今回の「参政党旋風」を巻き起こしたのだと考えられます。
「日本人ファースト」というキャッチコピー以外にも、参政党には有権者の興味や関心を惹く仕掛けが様々あり、ネット上では組織的な大量投稿が実行され、経済政策に関してはれいわ新選組の政策をコピーしてパクってしまう(神谷宗幣さんはテレビ番組で「積極財政はれいわさんと一緒です」と答え、塩入清香(さや)さんは選挙演説でれいわ新選組の山本太郎さんの演説とそっくりな内容の演説をしていました)という荒業で有権者から注目を集め、改選1議席(直前に入党した梅村みずほさんの議席)から14議席へという大躍進を遂げることとなりました。
2.惨敗した立憲民主党と共産党
躍進した参政党と比べてみると、全く議席を伸ばすことができなかった立憲民主党と、大きく議席を減らした共産党の「惨敗」ぶりが際立ちます。
立憲民主党は、比例票の激減もさることながら、2人区の茨城選挙区での現職の小沼巧さんの落選、そして、3人区の福岡選挙区での現職の野田国義さんの落選は、今回の立憲民主党の「惨敗」ぶりを象徴するものでした。
いずれの選挙区でも参政党の女性新人候補が当選しており、立憲民主党の現職候補は、それに弾き出される形での落選となりました。
2人区での参政党候補の当選と、3人区での立憲民主党候補の落選は、いずれも特筆すべき事態であり、今回の参院選の象徴的な選挙区だと思います。
それでも、立憲民主党は、選挙での敗北を真摯に受け止めようとする声が上がってきていますが、共産党は「選挙の敗因に関してタブーなく議論する」ということができておらず、せいぜい「ChatGPTに聞いてみた」という質問の答えをそのままSNSに投稿することが限界、そしてそれさえも「なぜ投稿するのか」と非難の声があがる始末です。
共産党の議員が「参院選の敗北」になかなか向き合えない中で、共産党について発言を続ける一個人の「かぴぱら堂」さんがSNS投稿して、次のように檄を飛ばしています。
3.ラサール石井は社民党を救った
政党要件の維持が危ぶまれた社民党は、ラサール石井さんの出馬により、改選1議席の確保と得票率2%の確保に成功し、何とか「国政政党」として踏みとどまることができました。
今回の比例区での社民党の得票1,217,823票のうち、政党名の得票が898,626票、ラサール石井さんの個人名の得票が207,143票ということで、まさにラサール石井さんが社民党の危機を救った形となりました。
4.れいわ新選組のこれからを考える
れいわ新選組は、今回の参院選で改選2議席から3議席へと議席を増やし、そういう意味では「勝った」というふうに言うこともできますが、実態としては「伸び悩んだ」という感じでした。
選挙区では当選者を出すことができませんでしたが、得票率を見てみると、宮城選挙区と広島選挙区ではかなり善戦しており、一方で、東京選挙区と兵庫選挙区ではかなり深刻に受け止めなければならない選挙結果になっています。
比例区のほうに目を移せば、昨年の衆院選の得票数を考慮に入れれば期待外れではあるものの、この3回の参院選の結果を素直に見れば、「れいわ」票(政党名票)の躍進は続いているというふうに捉えることができるのではないかと思います。
参院選比例区れいわ新選組得票推移
2019年 | 2022年 | 2025年 | |
政党名得票数 | 1,226,412票 | 2,074,146票 | 3,598,897票 |
個人名1位氏名 | 山本太郎 | 水道橋博士 | 木村英子 |
個人名1位得票数 | 991,756票 | 117,794票 | 127,656票 |
個人名2位以下合計 | 62,084票 | 127,216票 | 153,361票 |
総合計 | 2,280,252票 | 2,319,156票 | 3,879,914票 |
今回の参院選の苦戦の原因は、候補者の擁立が遅かったということもありますが、キャッチコピーやチラシに大いに問題があったとの声が支持者からあがっています。
これまでのれいわ新選組の選挙はずっと「選挙対策委員長の山本太郎さんのアイデアに依存した選挙」でしたが、今後は支持者やボランティアの人々からあがってきたアイデアや意見を柔軟に取り入れて、選挙戦を組み立てていく必要があるのではないかと思います。
また、3年前の参院選と比較した今回の参院選の比例票の伸びは、「増税?ダメ♡絶対!デモ」や「おしゃべり会」による掘り起こし効果が相当あったと考えられるわけですが、それにかかる労力などを考えた費用対効果を勘案すれば、今後はそれを徐々に減らしつつ、他の活動を充実させていくべきではないかという意見があがってきています。
キャッチコピーに関して言えば、参政党が支持者からあがってきた「日本人ファースト」というキャッチコピーで今回大ブレイクしたわけで、れいわ新選組も、キャッチコピー自体は真似しないとしても、キャッチコピーの選定方法は参政党の真似をして採り入れてもよいのではないかと思います。
例えば、キャッチコピーのアイデアについては、れいわオーナーズやフレンズから広く募集し、その中かられいわ新選組の党執行部で3個~5個程度の候補に絞って、それから最終的にれいわオーナーズによる投票で決める、といったやり方も考えられるのではないかと思います。
れいわオーナーズは会費を払っているわけですので、「キャッチコピーの最終決定の投票に参加できる」という形で優遇するようにすれば、登録者の数も増えていくのではないでしょうか。
また、ポスターに関しても、あれがいい、これがいいと、いろいろ話題があがっています。
また、今後の活動としては、党のyoutubeチャンネルを活用して定期的に番組を配信するなど、直接的な政策のPRではない形で「楽しめるコンテンツ」を作っていくことが重要なのではないかという意見があがっています。
そのうえで、党の支持拡大に向けて、ターゲットを明確にし、「消費税廃止一本足打法」ではない新たな政策の追加拡充を考えていくべきではないかと思います。
そして、今までは選挙が終わったら当選できなかった候補者がなかなか政治活動を継続できない状況がありましたが、今回の参院選は、政治活動の継続を表明する候補者がかなり出てきており、その点はかなり変わっていくのではないかと期待できます。
また、キャッチコピーに関して言えば、選挙運動中だけではなく、その後の国会においても減税を唱え続ける「#減税ガチ勢」というハシュタグができているのが注目で、今後の政治状況次第では、非常に期待できるキーワードになるのではないかと思います。
5.トピックス:奥田芙美代さん初登院でいきなりトンガるの巻
今回の参院選で初当選したれいわ新選組の奥田芙美代さん、8月1日の初登院の日から強烈にトンガっていたようです(笑)

憲法9条変えさせないよ
プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。