日本の政党地図は、ここ数年で急速に塗り替えられつつある。維新、れいわ、公明、共産――かつて存在感を示した4党が、参政党や国民民主党といった新勢力の台頭に押され、立場を失いつつある。政治の多党化が進む中で、彼らに残された道は何か。それぞれの党の現状と再生戦略を探る。
維新――全国政党化から地域回帰へ
日本維新の会は、関西を拠点に急成長したものの、昨年の総選挙・今年の参院選と連敗。比例票は3年前の参院選から半減し、関西以外での存在感は薄れた。党内は馬場派と吉村派の対立が長く続き、ようやく吉村洋文代表と藤田文武共同代表による体制が固まったものの、国民民主や参政党の伸長に押されている。
吉村代表は「社会保険料の引き下げ」と「大阪副首都構想」を柱に掲げるが、全国展開は厳しい。むしろ大阪ファーストの地域政党に回帰し、関西での覇権を固めるべきだろう。
衆院大阪19選挙区で全勝を狙える力を活かし、30人規模の地域政党として与野党双方に距離を置くほうが、キャスティングボートを握る現実的戦略だ。
自公連立に加わると埋没し、本拠地の関西圏でも参政党や国民民主党の台頭を許す可能性がある。
れいわ――「左右」から「上下」へ
れいわ新選組は昨年の総選挙で躍進したが、参院選では参政党の勢いに押され、選挙区は全敗。参政党が党員制度による草の根組織づくりを進める一方、れいわはボランティア主体の中央集権運営で、候補者擁立も絞ったため、支持拡大で後れを取った。
政治的立ち位置も課題だ。れいわは「格差是正」を旗印に上下対決の「下」に立っていたが、いつしか「左」の政党と見られるようになり、その間に参政党が「下」のポジションを奪った。
最大の敵は、「右」の参政党ではなく、「上」の自民や立憲のはずだ。「上」と対抗する姿勢を前面に出し、左右対決ではなく上下対決の構図に回帰しなければ、立憲と共倒れになりかねない。
公明党――国政縮小と政策提案型への転換
公明党は参院選で比例521万票、4議席にとどまり、選挙区でも4勝3敗。支持母体・創価学会の高齢化で組織力は低下し、代表人材も枯渇している。自公連立は「シルバー連立」と化し、今後の過半数維持は困難だ。
打開策としては、衆院から完全撤退し、参院と地方議会に特化する道がある。連立も解消し、選挙区ごとに最も政策が近い候補を推薦。組織票を武器に他党議員を政策的に引き寄せ、直接議席を増やすよりも、間接的な影響力を高める戦略が現実的だ。
共産党――硬直打破と世代交代
共産党は比例票が286万票まで減少し、れいわや保守党にも後れを取った。立憲民主党との一方的な野党共闘は票減に直結し、支持基盤の高齢化も深刻だ。
再生には、立憲偏重の共闘をやめ、公明党同様、衆院からの撤退と等距離外交を採用するのが一案だ。人物本位の推薦活動で、政策に理解のある議員を各党から増やす。
また、硬直した党中央の意思決定を改め、40代前半までの若手――例えば吉良佳子、山添拓らへの世代交代が有効だろう。
維新は地域集中、れいわは政治構図の再定義、公明は国政縮小と間接影響力、共産は硬直打破と若返り――いずれも従来路線からの転換が不可欠だ。
多党化が進む日本政治では、党勢を維持するだけでも戦略の大転換が求められる。4党が生き残る道は、過去の成功体験を捨て、新たな役割を自らに与えることにある。