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総裁選に激震!安倍晋三氏が現職首相・総裁として自民党本部で旧統一教会会長と面談、選挙支援確認か〜朝日新聞が写真を入手してスクープ!萩生田光一氏と岸信夫氏が同席、総裁候補たちは再調査に乗り出すのか?

安倍晋三首相が2013年の参院選挙直前、旧統一教会の会長らと自民党本部の総裁応接室で面談していたと朝日新聞が報じた。面談時の写真を複数枚入手しており、決定的なスクープだ。

安倍側近の萩生田光一氏と弟の岸信夫氏も同席していた。この場で、教団による自民党候補の選挙支援を確認したという。

自民党は、教団との組織的な関係はないと説明してきましたが、これを真っ向から否定する内容だ。

自民党総裁選の最中に旧統一教会問題が再燃した格好で、総裁候補たちがどう対応するのか、再調査を約束するのかが問われる。各候補が再調査に後ろ向きな姿勢を示せば、自民党の改革意識そのものに疑問符がつき、10月解散総選挙にも影響を与える可能性がある。

この記事をスクープした沢伸也記者は、私が朝日新聞特別報道部でデスクを務めた時に数々の調査報道をともに手がけた元同僚だ。近年は権力へのすり寄りが目立つ朝日新聞の中では極めて珍しい「腹が座った敏腕の調査報道記者」である。

2022年の安倍氏銃撃事件をきっかけに、旧統一教会と自民党議員との関係に注目が集まった。自民党の茂木敏充幹事長は「党としては一切関係を持っていないことを確認した」と表明して党による調査を見送り、議員個人の自己点検に委ねた経緯がある。

この時、安倍氏と教団の関係は調査対象外になった。岸田文雄首相は「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」と調査を拒否してきた。

今回のスクープにはふたつの衝撃がある。①安倍氏が現職の総理・総裁として、自民党本部の総裁室で、教団トップと面談して選挙支援を確認していた事実そのものの衝撃、②自民党が否定してきた「自民党と教団の組織的関係」が明らかになったことの衝撃だ。

それが総裁選最中に発覚したことで、旧統一教会問題が再燃した影響は大きい。自民党がこれを受けて萩生田氏らのヒアリングなどを通じて再調査に乗る出すのかどうかが総裁選の新争点に浮上してきた。

教団トップとの面談に同席した3人のうち、安倍氏はすでに他界し、岸氏は政界を引退して病気療養中である。岸氏から地盤を受け継いだ長男の信千世氏の事務所は朝日新聞の取材に対し「確認できなかった」と回答している。残るひとり、萩生田氏の対応が大きな焦点となる。

萩生田氏は朝日新聞の取材に対し、当時の日程を確認したものの面会記録はなく、記憶もないと回答。一方で、当時は安倍総裁を支える総裁特別補佐の立場にあり、総裁応接室の近くに部屋があったため、安倍氏から急に写真撮影に陪席を求められることがあったとも回答。写真を突きつけられたためか、面談したことを完全否定もしていない。

今後は萩生田氏へのヒアリングなどの徹底調査を求める声が高まるだろう。問題は総裁候補たちがそれを約束するかどうかだ。

萩生田氏は裏金事件で党の役職停止1年の処分を受けながら、森喜朗元首相の寵愛を受け、菅義偉前首相とも気脈を通じており、総裁選でも水面下で影響力をふるっている。各候補が最大派閥・安倍派の萩生田氏らを敵に回す覚悟で再調査を約束できるのかがまさに問われている。

総裁レース本命の小泉進次郎氏は菅氏に担がれ、森氏の支援を受けている。萩生田氏の再調査に踏み切れるのか。安倍派の裏金議員の非公認問題ではあいまいな姿勢に終始し、安倍派への遠慮ぶりをうかがわせた。ここで萩生田氏調査に後ろ向きな姿勢をみせれば、総裁選で掲げた「政治改革」への覚悟に疑問符がつき、解雇規制見直しでの迷走に続いてさらに失速する恐れがある。

勢いづいている高市早苗氏にとっては大逆風だ。最大の政治基盤は今なお安倍支持層である。推薦人のうち14人も安倍派だ。再調査に踏み込むことはできないだろう。

石破茂氏は安倍氏とは対立の歴史があり、追い風にも見える。しかし、決選投票を見据えると安倍派との激突は避けたいところだ。安倍派の裏金議員の非公認問題でも、当初は前向きな姿勢をみせたものの、猛反発を受けてトーンダウンした。安倍派を敵に回してでも再調査に踏み込み支持率を引き上げるのか、それとも決選投票を見据えて妥協するのか、難しい選択となりそうだ。

茂木敏充氏は幹事長として「党としては一切関係を持っていないことを確認」したことの責任が問われる。小林鷹之氏は安倍派の中堅若手の支持を得ており、安倍派の処遇見直しを表明して失速した。再調査に踏み込むのは難しいだろう。林芳正官房長官は安倍氏とは地元・山口で宿敵関係にあった。しかし、安倍氏の調査見送りを表明した岸田文雄首相とは連帯責任を負う立場にある。損得はなかなか読みにくい。

いずれにせよ、総裁選で各候補がどれだけ真相究明に力を入れるか、再調査を約束するかどうかは、自民党が旧統一教会との決別にどれほどの覚悟があるかをはかるバロメーターとなる。10月解散総選挙にも大きな影響を与えるに違いない。

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