政治を斬る!

泉房穂は強かった!『政治はケンカだ!明石市長の12年』の舞台裏を追うドキュメンタリー動画を公開へ〜SAMEJIMA TIMESの新しい挑戦が始まる

統一地方選の後半戦(市区町村)で最も注目したのは、兵庫県明石市の市長選だった。自公の市議会議員に「次の選挙で落としてやる」と暴言を吐いた責任を取って政治家引退を表明した泉房穂市長と、長年の政敵である自民党の西村康稔経済産業相がそれぞれ新人候補を担いで激突した「代理戦争」だった。

全国の注目を集めた大胆な子ども政策をはじめ、泉市長が主導してきた「明石発の政治改革」が泉氏の政治家引退で終わるのか、それとも明石から全国に広がって中央政界を揺るがすのか。今後の日本の政治を大きく左右する大一番であったといってよい。

結果は、泉氏の圧勝だった。市長選はダブルスコアで勝ち、市議会選挙は泉氏が擁立した新人5人が全員当選したのである(しかも上位4位を独占したのだった)。さすがの西村大臣も「完敗だ。全責任は私にある」とコメントするほかなかった。

関西圏を席巻している維新は、明石市長選で自民党の西村大臣の側についたが、泉氏にはかなわなかった。立憲も共産も低迷するなかで、泉氏が今回の統一地方選で旗揚げした「明石市民の会」はリベラル勢力の希望の星だったといえるかもしれない。

泉氏は市長退任後も「明石から日本を変える」として国政や県政への勢力拡大に意欲をみせている。大阪を拠点に全国政党へ脱皮しつつある日本維新の会と同様、地方発の政治改革のうねりは、自民と立憲の二大政党政治を脅かすに違いない。

1990年代に始まったにこの国の二大政党政治は、野党第一党の低迷と、地方の首長が旗揚げした新勢力の台頭によって大きな転換期を迎えているといえるだろう。

泉市長は中央省庁が統制する全国横並びの行政と決別し、大胆な子ども支援を実施して人口も税収も伸ばしてみせた。永田町・霞が関の支配から脱する地方自治体の「成功モデル」をつくりあげたリーダーとして全国的に脚光を浴びた。

明石市には主要政党や各地の自治体から視察が相次ぎ、「明石方式」は全国に波及して、岸田政権が「異次元の少子化対策」を打ち出すきっかけにもなった。

泉氏が今後、全国の自治体の首長らとどう連携していくのか注目だ。泉さんはドラマチックな政治家である。政治家は引退しても政治的影響力は拡大していくだろう。

泉市長が退任する翌日の5月1日、明石市長としての12年間の闘いと今後の政治闘争について私がたっぷりインタビューした内容をまとめた『政治はケンカだ!明石市長の12年』(講談社)が発売される。

発売に先立って泉さんが執筆した「まえがき」と私が執筆した「あとがき」が現代ビジネスで特別公開された。

私のジャーナリスト人生のなかでもとても印象に残る対談となった。「あとがき」にも力が入った。泉さんという政治家を端的に描いた内容になったと思うので、ぜひご覧いただきたい。

泉さんのまえがき 『「日本一の子育て政策」「暴言、毒舌」で知られた明石市長・泉房穂氏がいま「本音」で話すこと…「『人から嫌われたくない』なんて思ったことはない」』

私のあとがき 『小柄な暴言王・泉房穂明石市長、橋下徹元大阪府知事、古賀誠元自民党幹事長…元朝日新聞記者が語る3人の政治家の「似た匂い」』

政党、議会、役所、業界団体、宗教団体、マスコミ…。泉市長はすべてを敵に回す四面楚歌の中で子ども政策などを次々に実現させた。どのようにして政治闘争に勝利したのか。圧倒的に不利な状況から形勢をひっくり返して政策を成し遂げた政治闘争の秘訣を解き明かした一冊である。

完成した本を読み返すと、リアルな政治闘争を赤裸々なエピソード満載で綴る「政治学の入門書」として仕上がったと思う。政治の世界にとどまらず、組織内での「権力闘争」に勝つには何が必要かを具体的に指南する内容になっている。

さらには「明石から日本を変える」ことを目指す泉市長の今後の戦略を見通すにも必読の書だ。

すでにネット予約注文が始まっているので、ぜひ。

私が昨年5月に上梓した『朝日新聞政治部』はSNSで発売前から広く紹介したところ、発売日にネット上で品切れになるという大反響をいただいた。今回の『政治はケンカだ!明石市長の12年』は泉さんのTwitter(フォロワー44万人)と私のTwitter(フォロワー8万人)の双方で事前に紹介するうえ、鮫島タイムスのユーチューブでプロモーション動画の制作・公開にも挑戦してみる。

手始めにユーチューブのショート動画(1分)の予告編を制作した。泉さんとのインタビューと、明石での取材のエッセンスを凝縮した内容だ。

これに続いて発売日前日の4月30日夜には、『政治はケンカだ!明石市長12年』の制作舞台裏を追うドキュメンタリーを鮫島タイムスのユーチューブで公開する予定である。

泉さんは情熱的な政治家。レンズを通して見る姿もチャーミングだった。

鮫島タイムスのドキュメンタリーへの初挑戦。お楽しみに!

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