政治を斬る!

中道代表選の真の争点――小川か階か、その背後にある「公明支配」と大連立構想

総選挙で惨敗した新党「中道」。その再出発をかけた代表選が始まった。候補は小川淳也氏と階猛氏。だが、私の見立ては明確だ。どちらが勝っても本質は変わらない。この党を陰で動かしているのは公明党であり、彼らの狙いは政権交代ではなく「打倒・高市」、そしてその先の自民党との大連立だからである。

比例名簿が示した力の差

総選挙の結果は残酷だった。比例単独で28人全員が当選した公明党。一方、立憲民主党は148議席から21議席へと激減した。中道として小選挙区に擁立した立憲出身候補202人は7勝195敗。敗れた195人のうち比例復活できたのは13人にすぎない。

投開票から3日後、49人の衆院議員が集まった議員総会で、野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏は共同代表の辞任を表明した。だが、立憲側の怒りは収まらない。比例上位を公明が独占し、立憲の復活枠が奪われたという不満である。

野田氏と斉藤氏が示した今後の方針は三つ。①次回は比例復活の機会を最大限増やすよう努める②立憲出身の落選者を選挙区支部長にし、資金援助する③公明28人は代表選で各自の判断で投票する。しかし比例順位の「平等化」を明言することはできなかった。比例は公明の生命線だからだ。ここに中道の限界がある。

代表選ルールをめぐる攻防

代表選の投票権は公明28人、立憲21人。公明がまとまれば勝敗は決まる。公明は候補を立てず、幹事長ポストも求めず、自由投票としたが、立憲側は誰もそれを額面通りには受け取らない。

立憲議員は「推薦人10人」「公約文書提出」といったルールの撤廃を求めた。推薦人が10人必要なら、立憲21人では公明の協力なしに出馬すら難しい。公約を文書提出すれば、安保法制と原発再稼働容認を明記しなければ公明票は得られない。事実上の踏み絵である。

野田氏は推薦人ゼロ、公約提出なしへと方針転換したが、公明側からは「新党の五つの柱への姿勢確認」を求める声も出た。結局、主導権は公明が握っている。

小川淳也か、階猛か

野田氏のもとで幹事長を務めた小川淳也氏が出馬を表明。前回代表選で野田氏に敗れた泉健太氏は出馬を見送った。野田氏と公明の結束を前提にすれば勝ち目は薄いと判断したのだろう。

対抗馬は当選8回の階猛氏。民進党時代に政調会長を務めたが知名度は高くない。本命は小川氏とみられるが、「小川は野田と公明の傀儡」という印象が強まれば、立憲21票が階氏に流れ、党分裂の危機が高まる。

公明にとってはどちらでもよい。過半数を握るのは公明であり、誰が代表でも支配構造は変わらない。重要なのは分裂回避だ。そのためなら階氏に乗る大ドンデン返しもありえるだろう。

その先の大連立

公明は高市・麻生体制に反発して連立を離脱したが、石破茂氏や岸田文雄氏ら「アンチ高市」勢力が復権すれば連立復帰を視野に入れている。まずは打倒・高市。その先に自民と中道の大連立がある。

野田佳彦氏と安住淳氏は、自民党の森山裕氏と水面下で接触し、大連立を探ってきた。選挙では「政権交代」を掲げながら、腹の中では大連立を志向してきた。新党結成で、その本音が表面化した。

つまり中道は、野党第一党として過半数を取り政権交代を目指す道を事実上放棄した。本来なら、この路線転換こそ代表選の最大争点であるべきだ。だが議論はなされないまま、公明主導のレールに乗った。

焦点は今後、立憲の参院議員40人が合流するかどうかだ。蓮舫氏はすでに「中道改革連合」の文字をXのヘッダーに掲げ、辻元清美氏も総選挙の街頭演説で公明支持層に向かって過去の批判的言動を詫びた。再来年夏の参院選にむけて、同調か離脱か。判断は迫られる。

小川淳也か、階猛か。勝敗そのものよりも、立憲が政権交代の旗を下ろし、公明とともに自民との大連立へ向かうのかどうか。そこにこそ、この代表選の本当の争点がある。