政治を斬る!

安倍派壊滅で保守論客が四分五裂、保守乱立の参院選へ〜石平氏は維新へ!デヴィ夫人は新党旗揚げ、国民民主党、日本保守党、参政党にも保守票分散〜自民党凋落、二大政党制から多党制へ

今年夏の参議選に向けて、日本の保守勢力が大きな分裂を見せている。これまでの「保守一枚岩」から一転、さまざまな勢力が乱立する状況となっている。安倍晋三元首相の死去と、安倍派の凋落が引き金となり、保守論客たちはそれぞれ異なる立場を取るようになった。保守票が分散し、保守勢力が衰退する可能性もある。

自民党内では、高市早苗氏が安倍元首相の後継者を自認し、党内での影響力を強化しようとしている。しかし保守派の一部は作家の百田尚樹氏が率いる「日本保守党」に支持を寄せ、日本維新の会や国民民主党、参政党といった他党への支持も広がっている。このような動きは、新たな保守勢力の形成とともに、保守票の分散を加速させている。

さらに、保守勢力の分裂は、日本の政治における二大政党制から多党制への移行を加速させる可能性がある。これまでは、野党勢力の分裂が自公与党を利してきたが、保守派の分裂も同様に進行しており、参院選での結果に大きな影響を与えるとみられる。

石平氏、維新から出馬

中国出身の保守論客である石平氏が、日本維新の会から出馬することが決定した。石氏は昨年10月の衆院選で日本保守党を応援していたが、衆院選敗北を受けて維新の代表に就任した吉村洋文大阪府知事の強硬な中国・韓国政策に共感し、自らアプローチして公認を得たという。

維新は、安全保障政策では自民党より右寄りの姿勢をとる一方、選択的夫婦別姓には自民党と違って賛成の立場をとっている。石平氏擁立は保守層への食い込みに効果がある半面、無党派層を遠ざけるリスクもある。

デヴィ夫人、12平和党を立ち上げ

インドネシア元大統領スカルノ氏の夫人であるデヴィ夫人(85歳)は、愛犬や愛猫の保護を掲げ、「12(ワンニャン)平和党」を立ち上げた。デヴィ夫人は日本国籍に戻って自ら参院選に出馬する意向を示している。保守派の応援団として知られるだけに、保守分裂の動きを加速させるだろう。

昨年と東京都知事選で石丸伸二氏の参謀役として躍進させた選挙プランナーの藤川晋之助氏を選対委員長に迎え、2~3議席の獲得を目指している。台風の目になる可能性もある。

日本保守党と参政党

百田尚樹氏が率いる日本保守党も、参院選に向けて候補者を擁立する準備を進めている。党内では、百田氏自身や有本香事務総長の出馬が有力視されている。日本保守党は安倍元首相亡き後の保守派の盟主の座を目指して設立されたが、保守勢力の分裂が進むことで求心力がかげる恐れもある。

参政党も当初は右派を中心に広がり、昨年の衆院選で元航空幕僚長の田母神俊雄氏の応援を得たが、保守勢力の乱立で保守票分散に影響を受けそうだ。もっとも参政党はオーガニック農法など自然派にも支持を広げており、その方面にいっそう力を入れていく可能性もある。

国民民主党

国民民主党は所得税減税を掲げた昨年の衆院選で躍進した。自民党を支持してきた保守層の多くが国民民主党に流れたとみられている。もっとも、アンチ財務省の急先鋒として知られる高橋洋一氏ら保守減税派に支持を広げており、イデオロギーよりも減税に主張の軸を置きそうだ。

自民党内での対立

自民党は昨年の衆院選で擁立を見送った杉田水脈氏を参院選比例区に擁立する方針だ。杉田氏は安倍氏に寵愛され、右派に根強い人気がある。分散する保守票をどこまで自民党に引き戻せるかが焦点だ。

自民党内では、選択的夫婦別姓問題で高市早苗氏や萩生田光一氏が反対の立場を取り、石破茂首相が主要野党や公明党に同調して選択的夫婦別姓の法制化を進めることを牽制している。今国会終盤の大きな焦点となる。

今後の展望

安倍元首相の死去を契機に保守勢力は分裂し、これまで一体となっていた保守論客たちがそれぞれ異なる立場を取るようになった。保守票が分散し、参院選における各党の結果に影響を与えることが予想される。今後、日本の政治は、二大政党制から多党制への移行が加速し、小選挙区制度の見直し論が高まる可能性もある。

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