政治を斬る!

都知事選の激震は兵庫へ!パワハラ疑惑の斎藤知事に「おねだり疑惑」が追い打ち!辞任はいつか、県知事選はいつか、泉房穂氏は出馬するか? 自民党総裁選、立憲民主党代表選、そして解散総選挙への影響大

東京都知事選の次は兵庫県知事に注目が集まっている。自民と維新の相乗りで当選した斎藤元彦知事に辞任を求める声が噴出している。

発端となったパワハラ疑惑に加え、それを内部告発した県職員を懲戒処分するあまりにひどい対応に、県の労働組合ばかりではなく、自民党県連会長も辞任を要求。知事を守るのは維新だけという状況のなか、ついに維新創始者の橋下徹氏まで辞任を主張する事態となった。

斎藤知事は辞任を否定しているが、どこまで持ち堪えることができるのか。県産品のワインや家具をおねだりした疑惑が続々と浮上し、集中砲火を浴びている様相だ。

知事が辞任した場合、兵庫県知事選になる。石丸旋風が吹き荒れた東京に続いて、兵庫でも地殻変動が起きるのか。

前明石市長の泉房穂氏の出馬に期待が高まるという展開もあるだろう。日本の政治が大きく動くかもしれない。

事の発端は、60歳の県職員が知事のパワハラを告発したことだった。報道機関や県議へ文書を送付したのだ。

これについて、斎藤知事らは「行政の窓口に通報したわけではない」とし、公益通報制度で内部告発者が保護される対象ではないとの立場をとっている。しかし、これは間違いだ。法律上、報道機関などへの内部告発も保護対象とされ、不利益処分をしてはならないというのが一般的な解釈だ。

ところが、斎藤知事は内部告発の内容を「誹謗中傷」と批判し、「嘘八百」と切り捨て、職員を停職3ヶ月の懲戒処分とした。ところが、県議のアンケート調査ではパワハラを訴える声が相次ぎ、告発内容は「嘘八百」でないことが判明。県議会が100条委員会を設定して職員の招致し本格調査に乗り出す矢先に、この職員が自ら命を絶ってしまったのだ。

これだけでも斎藤知事が引責辞任に値すると私は思う。

県職員の労働組合が辞任を要求。知事選で斎藤知事を推薦した自民党県連に続いて、橋下氏も辞任要求するに至った。知事側近の副知事が5回にわたって辞任を進言したが、斎藤知事は拒否。副知事だけが辞任する異例の事態に発展したのだ。

そこで追い打ちをかける「おねだり疑惑」の数々。斎藤知事がワインをおねだりしたとされる音声データまで流出し、斎藤知事を狙い撃ちするスキャンダル報道合戦の様相を呈してきた。もはや押さえ込めそうにない。

斎藤知事は元総務省キャリア官僚。大阪府に財政課長として出向されている2021年、兵庫県進出を狙う維新と、維新に押され気味だった自民の思惑が合致し、斎藤氏は兵庫知事選に担ぎ出された。当時の上司は大阪府の吉村洋文知事だった。

斎藤氏は吉村知事に電話で「強く注意することはあったけれども、いわゆるパワハラといわれるようなことはしていない」と釈明した。

しかしこれは言い訳になっていない。パワハラかどうかを判定するのは本人ではなく、第三者だ。それは法曹界の常識であり、弁護士でもある吉村知事が知らないはずがない。それでもあえて斎藤知事の釈明を記者会見で明かしたということは、吉村知事も半ば斎藤知事を見限っているのだろう。

斎藤知事の辞任は早晩避けられないのではないか。問題はいつ辞任し、いつ兵庫県知事戦があるかだ。

9月には自民党総裁選と立憲民主党代表選がある。自民党総裁選で岸田首相が交代し、新内閣の支持率が上がれば10月解散総選挙の可能性が強まってくる。

兵庫県知事選は8月か、9月か、10月以降か。これは国政の行方を大きく左右するかもしれない。

立憲民主党は都知事選で惨敗し、勢いが止まった。政権交代の機運も萎みつつある。一方、自民党も都議補選で惨敗し、裏金事件への批判が収まっていない。維新は都知事選を静観し、存在感は薄れ、支持率は低迷したままだ。

都知事選で勝利した小池百合子知事は自民党からの支援を隠す「ステルス選挙」で逃げ切った。2位に躍進した人気ユーチューバーの石丸伸二氏は、既存政党への不信感を引き寄せた結果だろう。

兵庫県知事選が近く行われれば、既存政党不信の流れがそのまま関西へも波及する可能性が高い。例えば前明石市長の泉房穂氏が出馬すれば、石丸旋風に続く泉旋風が起きるかもしれない。そうなれば、解散総選挙に与える影響も甚大だ。

自民も維新も斎藤知事を擁護するというよりは、いつ辞めさせるのか、辞任時期をめぐる駆け引きが強まってくるだろう。東京に続いて兵庫が政局のホットコーナーになりそうだ。

政治を読むの最新記事8件