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石破おろしか、続投か――9月8日「決戦」をめぐる自民党内攻防

自民党総裁選の前倒しをめぐり、党内の攻防が激化している。森山裕幹事長は「賛成者の名前を公表する」と強硬姿勢を打ち出し、前倒し阻止へ締め付けを強める。一方、反主流派も副大臣や政務官の辞任覚悟で賛成を表明し、反撃に転じた。石破茂総理の続投か、それとも退陣か。9月8日の決戦は、過半数を取った側が勝者となるゼロサムゲームだ。


石破の「敗北責任」をめぐる第一ラウンド

8月29日、参院選総括委員会で森山幹事長が示した総括文書案は、党内に衝撃を与えた。参院選惨敗の要因として①現金給付公約の不発、②裏金事件への批判、③鶴保参院議員の不適切発言を挙げながら、石破首相の責任には触れなかったのである。

「党全体の責任」と曖昧にすることで、石破続投を正当化する布石――そう見る向きが大勢だ。

しかし、トップに最終責任を負わせない総括は組織の規律を揺るがしかねない。党内から「これではケジメがつかない」と異論が噴出し、9月2日の両院議員総会を前に修正協議が持ち越された。

石破おろしを狙う反主流派は、この場で「総理の責任」を明記させられるかどうか、最初の関門に挑む。


森山幹事長の思惑と「賛否確認」

総括文書が固まれば、総裁選挙管理委員会が国会議員と都道府県連代表計342人に、前倒し賛否を問う手続きに入る。

ここで焦点となるのが森山幹事長の去就だ。当初は「幹事長辞任」を示唆したものの、最近ではその本気度に疑念が広がっている。参院選敗北責任をめぐる対応や、賛成者だけに名前公表を義務付ける手続きの強硬さから、「石破続投を狙った揺さぶりだ」との見方が強まった。

さらに、森山氏は小泉進次郎農水相を後継に据え、自身は「幹事長代理」として院政を敷くのではないか――そんな憶測まで飛び交う。

鹿児島視察で進次郎氏が前倒し慎重論を唱えた際、森山氏が隣に立って無言の支持を示した光景は、その連携を印象づけた。

反主流派にとっては、森山幹事長の退場なくして石破おろしは難しい。9月2日総会での森山氏の進退表明が、第二ラウンドとなる。


副大臣・政務官の「辞任覚悟」

事態を動かしたのは、政権内部からの反乱だった。法務省の神田潤一政務官が、SNSで前倒し賛成を示唆し、必要なら辞任も辞さないと表明。続いて環境省の小林史明副大臣も同調し、賛成に踏み切った。

驚きなのは、両者が旧岸田派出身であることだ。旧岸田派はこれまで石破政権を支えてきたが、ここにきて「辞任覚悟」の声が出たことで、岸田文雄前総理自身が石破おろしに舵を切ったのではとの観測が流れる。

反主流派三派(旧安倍・麻生・茂木)で約140票。都道府県連の動きも加わり、過半数172にあと一歩。もし旧岸田派が合流すれば、過半数突破が現実味を帯び、石破政権の命運は一気に傾く。

むしろ森山幹事長の「締め付け」が逆効果となり、反発を呼び覚ましている格好だ。


主流派の動揺と石破の姿勢

こうした動きに主流派は乱れ始めた。

石破総理に近い平将明デジタル相は「役職辞任は不要」と火消しに回ったが、昨年の総裁選で石破選対本部長を務めた岩屋毅外相は「賛成するなら辞表を出せ」と真逆の姿勢。閣内不一致が露呈した。

肝心の石破総理は外交日程に明け暮れ、政局対応を森山に任せたまま。世論調査で「続投支持」が上回ったことに安堵し、選挙敗北の責任を「旧安倍派の裏金事件」に転嫁している。

だが、裏金議員の多くを公認・応援したのは石破総理自身であり、責任回避との批判は強い。

もし9月8日の賛否確認で過半数に届かず、総裁選前倒しが見送られれば、自民党は石破続投を正式に信任したことになる。残り2年の任期、石破おろしはほぼ封じられるだろう。


決戦の行方

現在の世論は石破続投に傾き、議員の多くも空気に押されて賛成をためらっている。しかし土壇場では、旧岸田派の動き次第で一気に前倒し賛成へ流れる可能性も否定できない。

石破・森山・進次郎の連合が党内を制するのか、それとも反主流派の総反撃が実を結ぶのか。9月8日、自民党の命運を左右する「決戦」の火ぶたが切られる。