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ネチネチ石破、5つの終焉シナリオ ― 孤立する総理の行方

自民党内の政局が大きく動いた。「影の総理」と呼ばれた森山裕幹事長が辞任を表明し、政調会長、総務会長、選対委員長も一斉に辞表を提出した。石破茂総理は、党内で完全に孤立。総裁選の前倒しに向けて動き出した自民党において、退陣はもはや時間の問題とみられている。

それでも石破氏はなお、地位に固執している。総理はどこまで粘り、どんな結末を迎えるのか。本稿では、その終焉シナリオを追う。


謝罪はしたが辞任はせず ― 石破流の「ネチネチ」

9月2日の両院議員総会で、石破総理は敗北の責任を認める発言を行った。
「総裁である私の責任だ」「国民の期待に応えられなかった」――。一見すれば潔い言葉だが、その場で辞任を表明することはなかった。

むしろ、「しかるべき時に決断する」と曖昧にし、辞意を先送りした。地位に恋々とするつもりはないと語りながら、具体的な行動は伴わない。この態度に、多くの議員は「やはり辞める気はない」と受け止めたという。質疑の場で石破続投を支持したのは、わずかに鈴木宗男氏と船田元氏のみ。孤立無援の現状は鮮明だ。

国民を裏切ったと自ら認めながら、なお居座ろうとする図太さ。石破流の「ネチネチ」とした権力延命術は、かえって党内の反発を強めている。


森山幹事長の離反 ― 視線は「ポスト石破」へ

政権の屋台骨を揺るがしたのは、森山裕幹事長の辞意表明だった。野党対策の要として「影の総理」とまで呼ばれた人物の離反は、石破政権にとって致命的である。

森山氏はこれまで、総裁選前倒しの動きを抑え込む役割を担ってきた。だが、参院選敗北の総括で「解党的出直し」という表現を追加したことは、石破退陣は避けられないと判断した結果だろう。

百戦錬磨の森山氏にとって、沈みゆく船と心中する選択肢はなかった。視線の先には、次期総裁候補と目される小泉進次郎氏の存在がある。

「森山・進次郎連合」で党内の反主流派に対抗する布石――。森山氏の一手は、石破退陣への流れをさらに強固にしたといえるだろう。


党四役の総辞職 ― 孤立する総理

森山氏に続き、党四役全員が辞意を表明した。鈴木俊一総務会長は麻生派の重鎮、小野寺五典政調会長と木原誠二選対委員長は旧岸田派の代表格だ。とりわけ林芳正官房長官がナンバー2である旧岸田派は石破政権の最後の生命線とされてきたが、その支持も失われた。

石破総理が四面楚歌の状況のなかで、「勝ち馬に乗れ」とばかりに石破離れは加速するばかりだ。総裁選前倒しは圧倒的多数で決まる公算が大きい。


五つの「終焉シナリオ」

では、石破総理はどんな結末を迎えるのか。考えられるシナリオは大きく五つある。

第一のシナリオは、総裁選前倒しの決定前に退陣を表明すること。これがもっとも「常識的」な幕引きだろう。
第二は、前倒しが決まった直後に辞任するパターン。推薦人20人を集められず出馬断念という屈辱を避ける狙いだ。
第三は、推薦人が集まらず、告示目前で出馬断念に追い込まれるケース。現職総理としては前代未聞の大恥となる。
第四は、新総裁が選出されても総理の座に居座る「ウルトラC」。この場合、自民党は総理を除名し、不信任決議で退陣を迫る前代未聞の事態となる。
第五は、総裁選前倒しが決まった時点で、現職の総理・総裁として衆院解散を断行する大博打だ。石破氏が最後の勝負を挑む可能性もゼロではないが、はたしてその決断力・勝負観がこの総理にあるか。


結論 ― 粘り続ける「ネチネチ」の末路

これまでの石破総理の振る舞いを見れば、「第一の常識的な幕引き」は望み薄かもしれない。空気を読まず、わずかな可能性にすがって粘り続ける姿勢は変わらない。むしろ「惨めな第三のシナリオ」に陥る危険性すらある。

いずれにせよ、石破政権は解散総選挙の大博打に打って出ない限り、風前の灯である。党内の大勢はすでに「ポスト石破」へと動き出しており、孤立した総理に残された時間はわずかだ。
最後の一手を打てるのか、それともズルズルと追い込まれるのか――。結末は近い。