政治を斬る!

幻に終わった「石破ヤケクソ解散」〜粘りに粘って地位しがみついた政治家の凡庸な終末

石破茂首相がついに退陣を表明した。

自民党総裁選前倒しへの賛否確認が行われる前日、賛成多数で総裁選実施が確実な情勢に追い込まれ、万事休すとなった。最後に菅義偉元総理(副総裁)と小泉進次郎農水相に退陣を促され、白旗をあげた。

石破首相は土壇場まで衆院解散で対抗する道を探ったようである。周辺に解散をちらつかせて、総裁選前倒しを牽制した。

しかし、結局は「ヤケクソ解散」には踏み切れなかった。 最初から最後まで「口先ばかりの総理」だった。

解散を口にしたのは、自民党内を脅すためで、その覚悟はそもそもなかったのだろう。 首相の大権を軽々しく口にし、結局は断行できなかったのは、岸田文雄前首相と瓜二つである。

「続投か、退陣か。自民党内で決めるのではなく、国民に直接聞いてみたい! 」

そう叫んで解散すれば、大一番になった。

反石破の閣僚を全員更迭して内閣改造し、立憲議員を閣僚に起用して大連立すれば、自民党は石破首相を除名して内閣不信任案を提出し、解散総選挙に傾れ込んだだろう。「 石破&立憲vs自民」の激突、大政局になっていた。

本気で成し遂げたいことがあるのなら、大勝負を仕掛けていたはずだ。 でも、そのような豪胆さを、そもそもこの首相は持ち合わせていなかった。

参院選惨敗後、退陣不可避の情勢はずっと継続していた。 1日でも長く居座るため、ごまかしごまかし延命していたにすぎない。

幸運にも支持率が回復し、最後に大勝負のチャンスが転がり込んできたのに、みすみす逃した。 権力闘争の本質を理解していないのだろう。凡庸な政治家だったというほかない。 「石破は小泉パパにはなれなかった」ということだ。

首相の権力の源泉である解散権を封印した時点で、残された道は退陣しかなかった。


石破退陣会見の直前に「解散へのハードル」を解説したユーチューブ動画を公開しました。

ハードルはかなり高いけれど、石破首相の覚悟さえあれば十分にできる、という内容です。

ぜひご覧ください。