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日米首脳会談〜踊らされた日本のマスコミ報道を再検証 石破首相はトランプ大統領に「媚びた」だけで成果はほとんどなかったのに、大絶賛して世論操作に加担した大罪

日本のマスコミは、石破茂首相とトランプ大統領との日米首脳会談を大々的に取り上げ、両者の関係が円滑であり、会談が成功に終わったと報じた。しかし、その報道の背後には、首相官邸や外務省の影響を受けた世論操作があったと指摘する声が上がっている。

日本のマスコミが絶賛した会談の内容

マスコミ各社は、石破首相がトランプ大統領に対して良好な印象を与え、無理難題を突きつけられることなく、スムーズに進展したと伝えた。読売新聞や時事通信、日経新聞などは、トランプ大統領が石破首相の提案に耳を傾け、日本に配慮する姿勢を示したと報じた。また、石破首相が「組める相手」としての印象を与えたとも伝えられた。「石破首相はなぜ成功したのか」を解説する記事もあった。

米国報道とのギャップ

しかし、米国報道は異なった視点を示している。

ワシントンポストは、石破首相がトランプに媚びたと批判し、ニューヨークタイムスも「ゴマスリを駆使してトランプを口説き落とす」と報じた。また、会談後には、トランプ大統領が次々と発信した内容が、日本側報道の「大成功」とは大きくずれていることもも明らかになった。

特に、トランプ大統領が日本製鉄の買収に関して「買収ではなく投資」と発言した点や、鉄鋼・アルミに関税をかけると表明した点が挙げられる。日本政府はあわててトランプ政権に対して日本を関税の対象外とするように要請したが、石破首相がトランプ大統領との会談で関税についての議題を避けただけだったことが露呈した。

外交報道の問題点

問題の本質は、日本のマスコミが外交報道において政府や外務省からの情報を鵜呑みにしていることにある。政治記者は政府の意向に従い、外務省からのブリーフィングをそのまま報道することが多く、批判的な視点や深い分析が欠けている。

特に、首相の外交訪問では、首相官邸記者クラブの記者が政府専用機に同乗して同行し、現地で首脳会談後、限られた時間で首相官邸や外務省のブリーフィングを聞いてその内容をそのまま垂れ流すことが当たり前のようになっており、首相官邸や外務省による世論操作に利用されている。

政局と外交の密接な関係

石破首相は自民党内で政権基盤が極めて弱い上、国会でも自公与党は過半数を割っている。首脳会談でも自らのリーダーシップで交渉を進めていく政治基盤がない。

しかも7月の参院選は石破首相では戦えないという声が自民党内では根強く、3月の予算成立後に石破おろしが始まるとみられている。いつ辞めるかわかららない石破首相を、首脳同士の直接ディール(取引)を好むトランプ大統領が交渉相手とみなすはずがない。

トランプ大統領がロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記のような独裁者を好むのは、即断即決の直接ディールをできる強力な政治基盤を持っているからだ。

そのような政治基盤を欠く石破首相がトランプ大統領と対等にわたりあえるはずはなく、そのような視点で日米首脳会談を取材しなければならないのに、日本のマスコミは首相官邸や外務省のブリーフィングを垂れ流し、世論操作に加担しているだけなのである。

外交専門家への疑問

外交専門家も外務省と深い関係を持つことが必須となっており、そのために政府の立場に沿った見解を発信することが多い。

ウクライナ戦争に関しても、当初はロシアが孤立し、すぐに戦争が終わるという楽観的な見方が支配的だったが、現実は違った。日本がウクライナ支援を表明した背景には、バイデン政権に追従したいという外務省の意図があり、マスコミや外交専門家はそのための世論操作の片棒を担いだといっていい。

日本の外交報道は、外務省や政府の意向に強く左右されており、その結果として誤った情報や過度な楽観的報道が行われている。政治記者が政府の情報を無批判に報じることが、読者に誤解を与え、世論操作の道具となっている現状が浮き彫りになった。今後、マスコミはより独立した視点で報道を行い、外交問題に対する深い理解を求められるだろう。

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