政治を斬る!

維新が除名した3人を引き抜く前代未聞の数合わせ――維新切り捨てと年明け解散の足音

高市政権が衆議院で過半数を回復した。
その手法は、驚くほど露骨で、異様ですらある。維新を除名されたばかりの3人を、自民党の会派に迎え入れたのだ。連立パートナーを裏切った議員を、あえて数合わせに使う。前代未聞と言っていい。

この3人は維新執行部の党運営に反発し、9月に離党届を提出して除名された。背景にあったのは、維新が想定していた小泉進次郎政権構想と連立路線への異議だった。しかし総裁選は高市早苗の逆転勝利で終わり、政局は一変する。

彼らは離党後、高市支持に回った。理念の一致というより、次の選挙をどう生き残るかという生々しい計算だったと見るのが自然だろう。そこに手を差し伸べたのが、自民党の麻生太郎副総裁や古屋圭司選対委員長だった。会派に入れば、次の選挙で面倒を見る――そう読んだとしても不思議ではない。

この3人が加わった結果、自民196、維新34、元維新3で233。衆院465の過半数を、文字通りギリギリで回復した。内閣不信任案は否決でき、予算は衆院の優越で成立できる。形式上、高市政権は「安定」を手に入れた。

だが、この引き抜きは、単なる数合わせでは終わらない。連立のパートナーである維新を軽視する自民の姿勢があらわになったからだ。
吉村洋文代表は「議員辞職して議席を維新に返すのが筋だ」と怒りを隠さなかった。しかし、怒るべき相手は3人だけではない。彼らを引き入れた自民党こそ、連立相手としての維新を、まったく大切にしていないことを露呈させた。

維新が連立の条件に掲げてきた衆院定数削減は、すでに危うい。自民と維新は「45以上削減する法案を提出する」と合意したが、「1年以内に結論を得る」という曖昧な文言が添えられた。これは実行を約束する法律ではない。いわゆるプログラム法、決意表明にすぎない。

維新は条文に「協議不調なら自動削減」を入れるように迫っているが、参院では与党が過半数を割っており、法案成立そのものも不透明だ。その最中に行われた3人の引き抜きは、火に油を注ぐ行為だった。連立解消への第一歩と受け取られても仕方がない。

ここで、ほくそ笑んでいるのが国民民主党だ。
玉木雄一郎代表は高市支持を明言し、立憲との連携には背を向けている。自民と維新の連立は参院では過半数に届かない。一方、自民と国民を足せば、参院過半数に届く。これが玉木氏の強気の源泉だ。

国民は、定数削減法案をカードに、年収の壁や政治資金規制を迫る構えだろう。維新が閣外協力にとどまる一方で、国民はがっぷり四つの連立を狙う。その先に、玉木財務大臣という絵を描いていても不思議ではない。

自民党は、維新と国民を天秤にかけているようで、実は両方から揺さぶられている。衆院では過半数を回復したが、参院はなお6議席足りない。このねじれを一気に解消する方法は、実はひとつしかない。

年末に維新と連立を解消し、年明け1月に解散総選挙。
自民が単独過半数を取り戻し、その後、国民民主党と連立を組んで参院も安定させる。いまの高市内閣の異常な高支持率を前提にすれば、決して絵空事ではない。

維新を裏切った3人を、維新の反感を買うことを承知のうえで迎え入れた。
これは維新切り捨てへの第一歩であり、1月解散への助走と見るべきだろう。首班指名を勝ち抜くために連立した。解散権を手に入れた瞬間、維新はお役御免――そんな冷酷な政局の現実が、透けて見える。