自民党総裁選が9月12日に告示された。麻生太郎と菅義偉の元首相ふたりがキングメーカー争いを繰り広げるなか、過去最多の9人が出馬する前代未聞の大乱戦になった。
これまでの経緯では、麻生陣営に属するのが河野太郎、茂木敏充、林芳正、上川陽子、小林鷹之の各氏。菅陣営に属するのが、小泉進次郎、石破茂、加藤勝信の各氏。そして独立系が高市早苗氏だ。
大本命は菅氏が担ぐ43歳の小泉進次郎元環境相だ。首相に就任すれば、戦後最年少の52歳で就任した安倍晋三氏ばかりか、44歳で初代首相になった伊藤博文も抜いて、歴代最年少首相となる。
父純一郎が「自民党をぶっ壊す」と絶叫して2001年総裁選に勝利した時と同様、「小泉劇場」に染まっている。進次郎氏は国民人気一位を独走してきた石破茂氏や安倍支持層に絶大な人気のある高市早苗氏と党員投票を奪い合ううえ、石破氏や高市氏と違って党内に敵が少なく国会議員票では優勢とみられ、第一回投票でトップに立つだろう。
しかし、9人の出馬で票が分散するため、第一回投票で過半数を制することは難しく、上位1・2位の決選投票に持ち込まれる可能性が高いとみられている。
進次郎氏との決選投票に進むのは、石破氏か高市氏が有力だ。石破氏が2位に入れば、1位と2位を菅陣営が独占するかたちとなり、麻生氏は失脚(10月引退の可能性も)、菅氏がキングメーカーとして君臨することになる。
高市氏が2位に入れば、麻生陣営が決選投票でまとまって高市氏に乗れるかどうかがポイントだ。ただ、河野氏はもともと政策的には菅氏に近い。茂木氏は麻生氏の支持を得られず、菅氏に接近し、岸田政権が進めた防衛増税の廃止を打ち上げるなど早くも離反気味だ。林氏はもともと麻生氏と折り合いが悪く、菅陣営に寝返る可能性は少なくない。
決選投票では勝ち馬(進次郎氏)に乗れという流れも強まることが予想され、いまの時点ではやはり進次郎氏優勢の流れは変わらない。
とはいえ、2位以下の順位でそれぞれの政治家の今後のポストや影響力が決まってくるため、大乱戦の総裁レースは激しい順位争いとなるだろう。
現時点での私の大胆予測は以下の通りである。
①小泉進次郎・・菅陣営 党員投票と国会議員票でバランスよく
②石破茂・・・ 菅陣営 党員投票つよし 国会議員票よわし
③高市早苗・・・独立 党員投票で健闘 国会議員票よわし
④茂木敏充・・・麻生陣営 寝返りも? 国民人気で低迷 大胆な経済政策で巻き返し?
⑤小林鷹之・・・麻生陣営 若手代表として出馬も失速 最後は草刈り場に?
⑥河野太郎・・・麻生陣営 想像以上に伸び悩み
⑦上川陽子・・・麻生陣営 麻生に頭を下げ推薦人確保 参加することに意義
⑧林芳正・・・・麻生陣営 寝返りも? 同じ派閥の上川陽子に敗れれば今後の影響低下
⑨加藤勝信・・・菅陣営 知名度不足で影薄く
個々の候補者の論評はYouTube動画で行ったので、ぜひご覧いただきたい。