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6月解散に立ちはだかる「三つの地雷原」―統一教会・林買収疑惑・お米券、最初に爆発するのはどれか

1月解散を見送り、通常国会に挑む高市早苗総理。内閣支持率は歴代屈指の高水準を維持し、視線の先にあるのは6月解散だ。

だが、その前に立ちはだかるのが三つの「地雷原」である。
高市総理自身を直撃した旧統一教会問題、林芳正総務大臣の運動買収疑惑、そして鈴木憲和農水大臣が打ち上げた「お米券」。
政局を動かすのは政策よりスキャンダル―この鉄則に照らせば、どれが最初に爆発するのかが最大の焦点となる。

統一教会という想定外の再燃

ひとつ目は旧統一教会問題だ。
昨年末、韓国から衝撃的な報道が飛び込んだ。旧統一教会が2021年衆院選で応援した日本の国会議員は、自民党だけで290人に達するという内部報告書が存在していたという。

さらに、2019年参院選前に安倍晋三元総理と面会し、動員票を「最低20万票、目標30万票」と伝えた記録、高市総理の名前が32回登場し「安倍元総理が強く推薦している」と書かれていた点は衝撃的だった。

この報告書は韓国検察当局が押収しており、情報源も検察とみられる。高市人気を前に慎重だった日本のマスコミも、ついに一斉報道に踏み切った。

高市内閣は発足3カ月を経ても支持率7割台。裏金問題への批判は明らかに弱まり、世論には「飽き」が広がっている。
そこへ再び浮上した旧統一教会問題。日本では曖昧に終わったこの問題が、通常国会で再燃すれば、高市総理自身が矢面に立つ。

もっとも、目新しさに欠けるのも事実だ。
具体的で生々しいエピソードが実名で飛び出すかどうか。現職閣僚が含まれるかどうか。そこが分水嶺となる。

林芳正、最も「燃えやすい」疑惑

二つ目は林総務大臣の運動員買収疑惑だ。週刊文春が4週連続で追及し、大学教授が刑事告発に踏み切った。

選挙の運動員にお金を配ると買収罪に問われるが、ポスター張りなど「機会的な労務」に報酬を支払うことは認められている。林事務所は前回の衆院選で、269人に計316万円を労務費を支払ったと収支報告書に記載していました。

ところが文春の直撃取材では、「機会的な労務」にとどまらず、選挙カーで手を振り、遊説し、電話作戦に参加したという証言が相次いだ。
共産党はさらに、林氏の妻がSNSに投稿した動画から、労務費の支配先である市議会議員がマイクを握って「がんばろう」と音頭をとっていた事実を突き止めた。

林大臣は臨時国会では説明を避け続け、国会閉幕後の12月26日になって調査結果を公表した。
256人は適正、残る13人は実態に合わない領収書――私設秘書が余った費用を不適切に会計処理したもので運動員買収ではない、という説明だ。

だが、これは領収書偽造と虚偽記載にほかならない。
裏金事件と同じ「虚偽記載」の構図であり、言い訳は通用しない。選挙を所管する総務大臣という立場も重い。
立憲民主党は徹底追及の構えをみせている。

お米券という静かな地雷

三つ目は「お米券」だ。
物価高対策として4000億円を自治体に配り、その使途の一つとして農水省が推奨した。
しかし、1枚500円で実質440円分しか買えず、差額は「お米券」を発行しているJAなどの手数料になる。

農水省出身で典型的な農水族議員である鈴木憲和大臣による業界利益誘導との批判が殺到し、自治体は尻込み。
東京新聞の取材に対し、東京23区と首都圏の政令指定都市で「配布する」と答えたところはゼロだった。世論調査でも評価は散々だ。

このまま自治体の拒否が続けば、責任論が浮上する。
週刊誌をはじめマスコミが鈴木大臣と業界団体の癒着を探るのは間違いない。何が出てきたら一発アウト。文字通りの地雷原である。

最初に爆発するのは誰か

三つの中で最も根深いのは統一教会だ。
だが、「誰がどのような選挙支援を受けたのか」という具体的なエピソードが出てこなければ、目新しさに欠けて不発に終わる可能性もある。
お米券は政官業の癒着を示す本質的テーマだが、これも鈴木大臣と業界団体との癒着を示す具体的な事案が出てこなければ決定打に欠ける。

実は、最も火を噴きやすいのが林大臣の疑惑だ。
規模は小さくても、具体的で生々しい。
政局は総論ではなく、こうした各論で動く。

虚偽記載という事実は動かせない。
裏金批判に終止符を打ち、野党が求める企業団体献金の見直しも棚上げしたい。そんな自民党にとって、立憲民主党ばかりか、補正予算に賛成した国民民主党や公明党から「新年度当初予算案に賛成するためには、何か一つケジメを」と迫られたとき、生贄として差し出しやすいのは、誰か。

高市支持層に人気のないリベラル派の林大臣。
更迭しても高市人気は揺るがない。
6月解散を見据えた冷徹な判断が下される可能性は、十分にあるだろう。

三つの地雷原。
最初に爆発するのは、果たしてどれか。
通常国会は、静かな緊張の中で幕を開ける。