グリーンをイメージカラーにしてきた小池百合子・東京都知事が、樹木を切り倒す「伐採女帝」と批判される事態になっている。舞台は東京都が2月17日に再開発計画の施工を認可した明治神宮外苑だ。
これまで発表されてきた開発計画では、三井不動産などが3月下旬に神宮第2球場の解体に着手し、秩父宮ラグビー場跡地にホテルなどを併設した野球場を建設。イチョウ並木は残して新たな植樹もする一方、樹木743本を伐採するーーとしていた。これだけでも歴史ある大木を伐採することに批判が高まっていた。
しかし、事はそれで終わらなかった。日刊ゲンダイ『伐採女帝・小池都知事が“騙し討ち”! 神宮外苑樹木「743本→3000本」切り倒しのトンデモ』によると、実際に伐採される樹木は、再開発エリアの一部である「神宮第2球場」の解体工事だけで3000本近くにのぼることが発覚したのだ。都の担当者は以下のように説明している。
「高さ3メートル未満の低木は環境アセスメントの対象外なので、工事に伴い何本伐採されるのか、これまで示されてこなかった。そのため、以前から事業者に本数を調査するよう依頼していた。17日の許可申請で、3000本弱が伐採対象だと事業者から伝えられたのです」
同記事は「こうなると、今後、他エリアの工事でも、大量の低木が伐採される恐れがある。伐採本数を『743本』と公表しながら、フタを開けたら『3000本』なんてフザケた話だ。本数を低く見せる『過少申告』を疑う向きも多いはずだ」と指摘している。私も同感だ。
小池知事は2月17日の記者会見で「認可は、法令にのっとって適切におこなった」と主張。マスコミ各社の都庁担当記者の追及はいつものごとく甘く、テレビ新聞に批判記事はほとんど出ていない。追及しているのは一部ネットメディアとネット世論だけである。
伐採は明治神宮外苑ばかりではない。東京・江戸川区の都立葛西臨海公園でも、葛西臨海水族園の建て替えに伴って樹木約1400本が伐採される見通しだという。
SNSでは反対の声が広がり始めた。知事ばかりではなく、住民に身近なところで許認可権を持つ市長や区長に伐採をやめるよう迫るのも有効な手段だ。
日本維新の会の松井一郎前代表が市長を務める大阪市も2022年夏から街路樹の伐採を始め、24年度までに公園樹を含めて約1万本を伐採する計画が進んでいる。維新の「身を切る改革」になぞらえて「木を切る計画」と揶揄されている。
東京と大阪で同時進行する樹木の大量伐採は、アベノミクスの異次元金融緩和で行き場を失った金融マネーが都市再開発になだれ込んだ結果である。アベノミクスが庶民生活の底上げや貧困世帯の救済につながらず、ゼネコンや金融機関など大手企業を潤すばかりだったことを映し出す事象だ。
都民ファーストを率いる小池知事と日本維新の会を率いた松井市長が樹木の大量伐採に代表される都市再開発を主導していることは、これらの政治勢力が自民党と同じ穴のムジナであることを物語っている。
東京都内にある私の自宅の近くの公園でも最近、大木が伐採された。この動きは全国各地に広がっているのではないだろうか。
今春の統一地方選はそれぞれの街のあり方を問う機会だ。樹木の伐採のような地域コミュニティに密着したテーマが争点になっていい。それぞれの街でひとりひとりがぜひ声をあげてほしい。
伐採女帝こと小池百合子知事と、木を切る改革を進める大阪維新の会。東西の都市部で進む樹木の伐採について1分のショート動画(ユーチューブ)にまとめました。ぜひご覧ください。