学歴詐称疑惑が再燃した東京都の小池百合子知事がいよいよ窮地に追い込まれてきた。4月21日投開票の目黒区長選に擁立した元都議が敗北し、小池知事の「連勝」が止まったのだ。
目黒区長選は、6選を目指す現職の青木英二氏(69)に、小池知事が推す元都議の伊藤悠氏(47)=国民民主・都民ファーストの会推薦、自民推薦で元区議の河野陽子氏(61)、立憲民主推薦で元都議の西崎翔氏(40)らが挑む激戦となった。小池知事は繰り返し街頭に立って伊藤氏を応援したが現職に及ばず、東京都内で連戦連勝の「小池神話」が崩れたのである。
結果は以下。
青木英二(現職) 25439
伊藤悠(都ファ・国民民主推薦)20369
西崎翔(立憲民主推薦) 19132
河野陽子(自民推薦) 12149
瀧下 隆行(会社員) 3953
「小池知事+国民民主」と「自民」と「立憲」の3陣営がそれぞれ候補者を擁立して現職に挑んで敗れた。2位は「小池知事+国民民主」、3位は「立憲」、4位は「自民」だった。公明党は動きはみせず、維新は擁立を見送った。
この選挙構図は、28日投開票の衆院東京15区補選と類似している。マスコミ調査によると、現時点での優勢な順位は以下のとおりとみられる。
酒井菜摘(立憲+共産)
金澤ゆい(維新)
飯山あかり(日本保守党)
乙武洋匡(小池)
須藤元気(無所属)
小池知事が擁立した乙武氏は劣勢だ。目黒区長選に続いて東京15区補選でも敗れれば、小池神話はいよいよ完全崩壊し、7月の都知事選での3選に黄信号がともることになる。
小池知事が東京党内の選挙で敵なしだった。2017年の千代田区長選に元都議、2023年の豊島区長選と江東区長選に元都幹部を担ぎ出し、今年1月の八王子市長選でも元都幹部を支援して当選させた。自民党都連会長で八王子を地盤とする萩生田光一氏が裏金事件で大逆風を浴びるなか、自民党に大きな貸しを作っていた。
小池知事が4月28日投開票の衆院東京15区補選に電撃出馬して国政復帰し、自民党に復党して9月の総裁選出馬を目指すーーそんな憶測が永田町には広がっていた。小池知事自身、7月の都知事選への出馬を明言せず、補選出馬に含みをみせていた。
その裏側で、小池知事の元側近である小島敏郎弁護士が文藝春秋に学歴詐称疑惑をめぐる偽装工作を暴露する準備が進んでいた。小池知事がカイロ大を卒業したという学歴は嘘であるという疑惑は前回知事選の前に浮上したが、在日エジプト大使館が卒業を証明するカイロ大学の声明をfacebookにアップし疑惑は沈静化し、小池知事は再選を果たしていた。ところがその声明は実は小池知事が作成してエジプト側へ渡していたという暴露である。
小池知事が東京15区補選への出馬を見送ったのは、学歴詐称疑惑の再燃を見越したものだったのだろう。代わりに擁立した乙武氏は過去の女性問題が再燃して痛烈な批判を浴び、ダブルパンチのなかで補選に突入したのである。
小島弁護士は小池知事が7月の都知事選に出馬すれば、学歴詐称で刑事告発すると宣言している。当時のメールのやりとりなど証拠は十分に保全しているという。そのうえで東京15区で敗れて「小池連敗」となれば、都知事選出馬も危ぶまれる事態となる。
国政復帰を果たして初の女性首相へ駆け上るかと思いきや、一転して「小池神話」が崩れて失脚目前の女帝。4月28日の補選敗北を受けて何を語るのか、大注目だ。