政治を斬る!

1位は武田良太氏、2位は岸田文雄氏、3位は世耕弘成氏・・・昨年の国会議員の資金集めトップ10を読み解く 総裁候補9人のなかでトップは林芳正氏! 高市早苗氏と石破茂氏は下位低迷

国会議員全員が総務省に届け出ている資金管理団体の2023年分の政治資金収支報告書が公開された。昨年末の裏金事件発覚前夜の政治家の資金力を示すデータとして興味深い。

読売新聞のまとめによると、トップ10はすべて自民党議員だった。

以下が上位十人である。(⭐️は裏金議員)

①武田良太 2億6319万円 ⭐️  

②岸田文雄 1億4076万円    

③世耕弘成 1億2471万円 ⭐️  

④西村康稔 1億2092億円 ⭐️  

⑤林芳正  1億1719万円    

⑥甘利明  1億1023万円    

⑦自見英子 1億166万円     

⑧遠藤利明 1億89万円      

⑨茂木敏充  9803万円

➓ 衛藤征士郎 9247万円  ⭐️  

野党では、立憲民主党の小沢一郎氏(8325万円)が最多で、全体では12位だった。

裏金議員は10人中4人。二階派の事務総長として頭角を現していた武田氏がダントツのトップだった。資金力があって金離れの良さは永田町界隈で有名だった。その武田氏の総選挙落選には衝撃が走った。

2位は首相だった岸田氏。現職首相が自らこれほどの政治資金を集めるのは珍しい。首相在任中もせっせと資金集めに奔走していたことになる。

3位は世耕氏、4位は西村氏。ともに安倍派5人衆として裏金事件の矢面に立った。世耕氏は離党に追い込まれたものの、総選挙で衆院に鞍替え出馬し、和歌山2区で二階俊博元幹事長の三男を破って当選した。西村氏は党員資格停止1年の処分を受けて総選挙は無所属で出馬し、当選した。ともに5人衆のなかでも資金力は抜きん出ていた格好だ。

5位は岸田派ナンバー2でポスト石破の有力候補とみられている林芳正官房長官だ。9月の総裁選に出馬してビッグ3(石破茂氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏)に続く4位に食い込んだが、資金力では候補者9人のなかでトップだった。決選投票に進んだ高市氏は4842万円で9人中7位、石破氏は3158万円で9人中8位にとどまっており、資金力では林氏が圧倒している。

高市氏は29日夜のネット番組で「保守系グループが真っ二つに割れたら、今官邸におられる方(林官房長官)含めて、おそらくそう(保守系)じゃない方が勝つだろう」と予測し、保守系若手の立場で出馬した小林鷹之氏と手を結ばないと「勝てない」と明言して連携を訴えた。

自民党内では、総選挙に惨敗した石破首相は来春の予算成立までで、首相を差し替えて来夏の参院選に臨むことが相場観になっている。高市氏は反主流派の立場からポスト石破を争う総裁選にふたたび挑戦する意欲を示しており、最大のライバルとして主流派の林氏を想定している。

もうひとり、非主流派の立場から総裁選出馬をめざしているのが茂木敏充前幹事長だ。2023年の資金力トップ10では9位の9803万円だった。9月の総裁選に出馬した9人では2位だ。

主流派の林氏vs非主流派の茂木氏vs非主流派の高市氏の三つ巴の構図になる可能性が高いが、資金面からは林氏と茂木氏がリードしていることになる。

ちなみに他のトップ10をみると、6位の甘利氏は麻生派重鎮として存在感を示していたが、総選挙で落選。10位の衛藤征士郎氏は安倍派のベテランだが、裏金事件が直撃して総選挙で落選した。資金力が選挙の強さに直結しないことも映し出している。

7位の自見氏は女性で唯一のトップ10だ。参院議員のランクインも参院幹事長だった世耕氏と、自見氏だけである。岸田政権で万博担当相に一本釣りされ、所属する二階派ともめたが、自前の資金力は持ち合わせていた。彼女の資金集めを支えるのは、医師会だ。父親で国会議員だった自見庄三郎氏も、娘の英子氏も医師で、医師会と強い関係がある。

8位の遠藤氏は岸田政権で総務会長や選対委員長を歴任した。岸田氏と個人的に親しく、自民党内の調整役として奔走した。資金面でも存在感を示していた格好だ。

自民党裏金事件を受けて、2024年のランキングは様変わりする可能性がある。資金力が政治力に直結する時代は終わるのか、ポスト石破レースをあわせて注目だ。

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