政治を斬る!

崖っぷちで手を握る「中道」と国民民主――再生か、それとも共倒れか

いがみあってきた二人が、崖っぷちに立たされ、そっと手を握り合う。
政治の世界では、これを美談とは呼ばない。多くの場合、その先に待っているのは「共倒れ」だからだ。

総選挙に惨敗し、187人もの落選者を抱え込んだ新党「中道」。一方、自民党の圧勝で存在感を失い、高市政権から突き放された国民民主党。自民一強の国会で、野党は数の力で押し切られ、資金難と孤立に直面している。過去の怨念を抱えながらも、両党は手を握るしかない状況に追い込まれつつある。それは再生への第一歩なのか、それとも負け組同士の連合なのか。

落選者187人とクラウドファンディング

まず深刻なのは中道の資金事情だ。総選挙で187人が落選した。党は彼らを次の総選挙まで支援する方針を掲げたものの、具体的な支援額や開始時期は決まっていない。落選組の不満は強まっている。

立憲民主党はこれまで落選者に月50万円を支給してきた。しかし同じ水準を187人に配れば年間11億円。中道に今年支給される政党助成金は23億円にすぎず、その半分が落選者支援で消える計算だ。

政党収入の約8割を政党助成金に頼る時代に、この支出は致命的である。党職員の人件費や事務所経費を考えれば、党の財政はすぐに立ち行かなくなる。

そこで中道執行部は、クラウドファンディングで落選者支援の寄付を募る方針を決めた。3月中に開始し、年内に1億円の調達を目指すという。

小川淳也代表と階猛幹事長は、寄付者への特典として①二人の直筆色紙やお礼動画②党所属議員と電話できる権利③国会見学への招待――などを検討している。

しかしネット上では、支持者からも疑問の声が上がる。「時間がかかるし手数料も取られる。直接寄付すればいいのではないか」「生活者ファーストではなく落選者ファーストだ」といった批判だ。もし1億円に遠く届かなければ、中道の不人気を露呈するだけに終わりかねない。

頼みの綱は立憲と公明だが…

仮に1億円が集まったとしても、187人で割れば1人あたり約50万円。立憲時代の支援金1か月分にすぎない。

しかも自民党は戦後最多の316議席を獲得した。解散を急ぐ理由はなく、次の総選挙はほぼ4年後と見られる。中道が187人を4年間支え続けるのは容易ではない。

頼みの綱は立憲民主党と公明党だ。しかし情勢は微妙だ。参院の立憲40人と公明21人は中道への合流を見送り、地方組織もそれぞれの党に残った。

今年の政党助成金は立憲が31億円、公明が14億円。中道と合わせても68億円で、前年の3分の2に減少している。しかも両党にとって最優先は来年春の統一地方選だ。さらに再来年夏の参院選も控えており、中道の落選者に回す余裕はない。

政策面でも距離が広がる。公明党の竹谷とし子代表は、中道が参加していない国民会議について「参加する方向で検討している」と表明した。立憲民主党はアメリカとイスラエルのイラン攻撃を「国際法違反」と批判する声明を出したが、中道の小川代表は「冷静な対応を求める」と曖昧な姿勢にとどめた。この違いに立憲内部でも不満が出ている。

三党はすでに別々の道を歩き始めている。

高市政権と国民民主の決裂

もう一つ、影が薄くなった政党がある。国民民主党だ。

高市早苗首相は3月3日の衆院予算委員会で、国民民主の若手議員の質問に対し「壁を取っ払うのが好きな御党に巻き込まれ、財源はこっちで考えろと言われた」と突き放した。

玉木雄一郎代表はXで反論する。「高市総理は一緒に壁を取っ払う仲間だと思っていたが、すっかり壁を守る側になられたのだろうか」「総理、官邸の壁の中から納税者の顔は見えていますか」。

総選挙前は国民民主を連立に加える構想もあった。だが自民党が衆院で3分の2を超える議席を得たことで、その必要は消えた。国民民主は一気に不要な存在になったのである。

中道との和解はあるのか

国民民主は今回の総選挙で小選挙区に102人を擁立し、中道現職にも対抗馬をぶつけた。玉木代表は選挙後に連立入りする構想を描いていたとされるが、自民党の圧勝でそれも消えた。

結果は28議席でほぼ横ばい。70人以上の落選者を抱え、党の財政事情も厳しい。しかも支持率では参政党やチームみらいに追い抜かれ、野党4位に沈んでいる。

その国民民主が、中道と企業団体献金の規制強化を柱とする政治資金規正法改正案を共同提出した。関係改善の兆しとも見える。

高市政権に突き放された国民民主が、中道や連合と和解する道を模索しているのは確かだ。しかし、かつて立憲民主党と公明党が組んで失敗した「負け組連合」と同じ道をたどる危険もある。

自民党が圧倒的多数を握る高市一強の国会。その下で、中道と国民民主はともに視界不良の状態にある。手を取り合えば再生への道が開けるのか。それとも、共倒れの序章にすぎないのか。日本政治は今、野党再編の入り口に立っている。