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バイデン撤退で上機嫌の茂木幹事長 自民党総裁選に「私が最初に手を挙げることはない」と言いつつ岸田首相の不出馬表明をじっと待つ戦略の成否は? 

自民党の茂木敏充幹事長は7月22日のBSテレビ番組で、9月の総裁選について「私が最初に手を挙げることはありえない」と強調した。

茂木氏は岸田文雄首相を支える幹事長でありながら、総裁選出馬へに意欲を隠さず、岸田首相との関係は冷え切っている。後ろ盾の麻生太郎副総裁も岸田首相に見切りをつけており、8月中には総裁選出馬を断念させ、それを受けて茂木氏を擁立する方向で検討している。

とはいえ、岸田首相はなお再選をあきらめていない。茂木氏としては、非主流派のドンである菅義偉前首相が担ぐ石破茂元幹事長との「決戦」を視野に、主流派である麻生派・茂木派・岸田派の協力体制が壊れることを防ぐため、岸田首相を刺激することはできるだけ避けたいところだ。「私が最初に手を挙げることはありえない」というのは、岸田首相が不出馬を表明することに先んじて手を挙げることはないという意味であろう。

茂木氏は「明智光秀は1人で本能寺を急襲した。これからの状況で、(総裁選に自身が)最初に手を挙げることは絶対にない」と強調する一方で、「仲間の議員や地元の支援者の期待は感じている。また、この国を変えていかなくちゃいけないと思う。そういった仕事はいずれチャレンジはしてみたい」とも語った。出馬への意欲をみせつつ、正式表明は寸止めで控えることで、岸田首相への配慮を示したといっていい。

岸田首相は内閣支持率が低迷し、党内からも退陣論が噴出。唯一の後ろ盾であった米国のバイデン大統領は11月の大統領選撤退を表明し、いよいよ追い詰められてきた。8月上旬に中央アジアやモンゴルへの外遊が予定されているが、帰国後、お盆明けには不出馬を決意するのではないか。

一方、米大統領選のトランプ氏勝勢で勢いづくのは茂木氏だ。後ろ盾の麻生氏は4月、岸田首相がバイデン大統領に国賓待遇でワシントンに招待された直後、「もしトラ」に備えてニューヨークへ飛び、トランプ氏と会談した。茂木氏自身もトランプ政権時代に経済再生担当相として日米貿易協議を担い、トランプ氏の覚えがめでたかったといわれる。

茂木氏は「現状のアメリカの雰囲気は『ほぼトラ』から『かくトラ』に近くなってきている」との見方を示したうえ、「トランプ大統領が再び生まれることになったら、日米2国間の問題はうまく対応できる」と自信をにじませている。一方で、「岸田総理とバイデン大統領、ケミストリーが合う感じはする。そういったところも含めて、カウンターパートがいなくなるのは寂しいもんだと思う」と述べ、岸田政権終焉を示唆するような発言もしている。

麻生氏の支援を受け、党内力学や米国情勢では優位に立つ茂木氏。しかし、マスコミ世論調査では、石破氏が20%台の支持を集めてトップに立つのに対し、茂木氏は1%しかなく、知名度や国民人気では劣勢だ。

総裁選は次の総選挙の顔を決める戦いでもある。岸田首相の退陣表明まで1ヶ月の間にどこまで知名度や好感度をあげることができるのかが茂木氏の命運を大きくわけそうだ。

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