政治を斬る!

香川が生んだ二人の天才――小川淳也と玉木雄一郎、因縁の野党第一党争い

野党第一党の座を争うのは、小川淳也(54)と玉木雄一郎(56)。奇妙な符合だが、二人はともに香川県出身、県立高松高校から東京大学法学部へ進み、官僚を経て民主党に入った。同じ故郷、同じ学歴、同じ出自。だがその資質も政治手法も、水と油のように異なる。

小川は総務省出身、玉木は財務省出身。小川は香川1区、玉木は香川2区で議席を重ねた。やがて民主党分裂と野党再編を経て、小川は立憲へ、玉木は国民民主へと袂を分かった。そしていま、党首として野党第一党の座を競う立場にある。

二人の関係は、地元ではよく知られた“緊張関係”だ。年齢は玉木が二つ上だが、初当選は小川が先。小川は当選8回だが、その半数は比例復活。玉木は当選7回、すべて小選挙区での勝利である。互いに「自分が上だ」という自負を抱きながら、同じ党、隣の選挙区という事情から正面衝突を避けてきた。政治家でなければ、交わることのなかった二人だろう。

性格も対照的だ。小川は情熱家だが空回りしやすい。玉木は行動力に富み強烈な自信を持つが、詰めの甘さが残る。民主党分裂後、地元香川での距離はさらに広がった。とりわけ近年、玉木が自民党との連立に傾いたことで溝は深まった。

実は私は、小川とは高松高校の同級生だ。小川の妻もそうだった。玉木は2つ上の先輩。私の姉と同じ学年だった。そんな縁もあり、昔からふたりをよく知っている。私ながらの視点で、香川の宿命のライバル対決を忖度なく描いてみよう。

「野党第一党」は誰か

小川が率いる新党「中道」は衆院49人。内訳は公明28人、立憲21人の寄り合い所帯だ。参院では立憲40人、公明21人が当面合流を見送り、三つの政党が併存する構図となった。

一方、玉木の国民民主党は衆院28人、参院25人、計53人。衆院では中道が野党第一党、参院では立憲、だが国会全体では国民民主が最大勢力という、ねじれた状況が生まれている。玉木は「国民民主こそ、野党第一党」と言い始めた。

一方、小川は代表就任会見で「野党第一党として」という言葉を繰り返した。対する玉木はSNSで祝意を示しつつ、20年にわたる切磋琢磨の歴史を強調した。だが、その文面ににじむのは連帯よりも競争意識である。両者の間に深い信頼があるとは言い難い。

玉木雄一郎の誤算

玉木はこれまで、自民党の麻生太郎元総理と気脈を通じ、「対決より解決」路線を掲げてきた。与党が過半数割れするなかで政策を飲ませ、将来的な連立参加を視野に入れる戦略だった。

だが、高市早苗政権の誕生と早期解散で状況は一変する。自民党は衆院で3分の2を超える310議席を獲得。国民民主党は28議席にとどまり、目標の51議席には遠く及ばなかった。比例票も557万票と伸び悩み、参院選から約200万票減らした。

衆院で自民が単独3分の2を確保すれば、参院で否決されても再可決が可能となる。もはや国民民主の数は決定的ではない。麻生の影響力も相対的に低下し、連立拡大論は急速に萎む。玉木は自民接近を続けるのか、それとも小川と連携し高市政権に対峙するのか。戦略の再構築を迫られている。

小川淳也の足元

一方、小川の前途も平坦ではない。中道は公明が比例で優遇され全員当選したのに対し、立憲は小選挙区で7勝195敗。約200人の落選組には、野田佳彦元総理への不満が渦巻く。小川は野田の後押しで代表に就いたと受け止められており、「野田・公明の傀儡」との見方も根強い。

代表選では、立憲21人の多くが階猛に投じ、27対21の僅差となった。比例名簿の扱いを「平等にするのか」と問われても、「平等が基本」と述べるにとどまる。公明寄りに傾けば立憲側の離党を招き、党は分裂しかねない。

さらに公明は「政権交代」を掲げていない。斉藤鉄夫代表は「自民と全面対決する党をつくるつもりはない」と明言している。高市・麻生体制への反発を起点に連立を離脱したが、将来的に自民と再び手を組む大連立構想も否定されていない。

小川が描くのは、自民に代わる政権の選択肢となる野党第一党だ。しかし背後には野田、公明という現実がある。玉木は麻生との距離をどうするのか。小川は野田から自立できるのか。

香川が生んだ二人の秀才。因縁のライバルが手を結ぶのか、競い合うのか。今年の政局は、この「香川対決」から目が離せない。