政治を斬る!

逮捕されるのは太郎とあきこ?LINE流出で見えた“れいわ異常事態”

「逮捕されるのは、あなたではありません。山本代表と大石共同代表です」――。この異様な一文が、党内に投げ込まれたとき、れいわ新選組の内部で何が起きているのか、その一端が露わになった。

東京地検特捜部と警視庁の捜査が迫っている――そんな危機感が党内に広がる一方で、「これはでっちあげだ」「弾圧だ」とする反発の構えも見せている。だが問題の核心は、捜査の是非だけではない。流出した内部LINEが示す、異様な権力構造にこそある。

総選挙惨敗後の混乱を受け、4月9日、れいわは臨時総会を開いた。本来であれば、党の最高意思決定機関にあたる場である。しかしこの総会は完全非公開。終了後も、執行部は記者会見を開かず、決定内容の説明も一切行われなかった。

政党としては異例中の異例である。出席した地方議員の一部は断片的に内容を語り始めたが、強い口止めがかかっているとされ、全体像は見えてこない。「何か言えば熱狂的な支持者から攻撃される」との声も漏れる。公党でありながら、内部言論が極端に抑制されている実態が浮かび上がる。

その中心にいるのが、代表の山本太郎太郎と大石あきこ共同代表だ。

山本氏は病気を理由に議員辞職し、表舞台から姿を消している。一方、大石氏は総選挙惨敗の責任を問われ、自身も落選したにもかかわらず、共同代表にとどまり続けている。さらに、秘書給与をめぐる疑惑が浮上して以降、両者とも記者会見に応じていない。政党のトップが長期間、公の説明を避け続ける状況は極めて異常だ。

こうした中で明らかになったのが、党内LINEの内容である。「安心してください」と書き出されたその文面は、「党は違法なことはしていない」「弁護士に確認済み」と繰り返す。しかしこの主張には重大な疑問が残る。

問題とされているのは、公設秘書の給与の扱いだ。国会議員の秘書としての実態が乏しいにもかかわらず、党職員として活動していたケースがあると指摘されている。複数の元議員が「自分の秘書としての勤務実態はなかった」と証言している以上、単なる「兼務」の問題では済まされない可能性がある。

にもかかわらず、「適法性は弁護士と確認している」とする説明にとどまり、具体的な法的根拠や責任の所在は示されていない。もし完全に合法であると主張するなら、弁護士同席での記者会見が不可欠だが、その動きも見られない。

そして、最も衝撃的なのが、あの一文である。「逮捕されるのは山本代表と大石共同代表」。これは単なる注意喚起ではない。捜査の進展を前提に、あらかじめ「弾圧」という物語を準備していることを示唆している。

確かに、日本の政治史には「国策捜査」と批判された事例も存在する。しかし今回の問題は、それとは性質が異なる。公設秘書給与の不正をめぐっては、これまで与野党を問わず多くの政治家が立件されてきた。制度の抜け穴的な運用に対しては、すでに厳しい社会的合意が形成されている。

その中で、れいわは組織的に同様の手法を用い、党の人件費を浮かせていた疑いがある。仮にそれが事実であれば、「政治活動のため」という大義では到底正当化できない。

さらに重要なのは、このLINEが示す権力構造だ。逮捕対象として名指しされたのは、山本氏と大石氏の2人だけ。櫛渕・前共同代表や高井・前幹事長ら他の幹部には一切触れられていない。これは裏を返せば、実権がこの2人に集中していることを、党自身が認めているに等しい。

れいわ内部では、LINEが意思決定の中核を担っているとされる。対面の会議よりも、非公開のメッセージで指示が飛ぶ。「LINEは天の声」とまで言われる統治スタイルだ。しかし今回の問題は、その危うさを露呈させた。

誰が文書を作成し、誰の責任で発信したのかが不明確。にもかかわらず、その内容が党内を強く拘束する。このような不透明な権力構造は、民主的な政党運営とは言い難い。

もしこのLINEが事実でないなら、執行部は即座に否定すべきだ。しかし現時点で明確な否定はない。沈黙が続く限り、その信憑性は高まるばかりである。

このまま自浄作用が働かなければ、捜査当局は本格的な強制捜査に踏み切る大義を得ることになろう。その時になって「弾圧だ」と叫んでも、説得力を持つことは難しい。

いま求められているのは、明確な説明責任である。山本代表と大石共同代表が自ら記者会見に立ち、疑惑と党運営の実態について語ること。それなくして、支持の回復も、政党としての信頼維持もあり得ない。

問われているのは、個別の疑惑ではない。政党としての統治のあり方、そのものなのである。