政治を斬る!

白ジャケットにタスキ姿で再出馬 蓮舫ショックは?

「国政選挙はもう考えていない」

「これで国政に戻ったら、渡り鳥みたいだ」

昨年の東京都知事選に出馬して落選した後、立憲民主党の蓮舫氏は、自らのインスタグラムにそう投稿し、国政復帰の可能性を明確に否定していた。

だが、あれから1年も経たないうちに、彼女は再び表舞台に姿を現した。
7月の参院選に、立憲の比例候補として出馬することを正式に表明したのである。

この前言撤回劇に、記者団の関心は集中。
蓮舫氏に対して、「言っていたことと違うのではないか」という批判的な質問が相次いだ。

しかし蓮舫氏は、いつもの強気のスタイルを崩さない。
「喪失感、無力さを感じている時に、『再び出ますか?』と言われたら、どう思います?」と逆に記者を問い返し、

「私の精神状況を見たときに、弱かったと思っている」
「『いったんピリオド』と言わせていただきましたが、『もう一歩前に進める』という意味だったと理解してほしい」

と、切り返した。国会議員時代の国会質疑を彷彿させるようなやりとりだ。

都知事選で小池百合子氏と石丸伸二氏の両者に敗れた蓮舫氏にとって、再起は容易なものではない。
「国政選挙は考えていない」との明言からの転身は、信頼の揺らぎを生むリスクもある。
だが、彼女はそのリスクを承知の上で、あえて踏み出したのだろう。

7月3日公示の参院選の再注目候補のひとりである。

組織内の不満と野田代表の「一本釣り」

蓮舫氏の出馬をめぐっては、立憲内部からも異論が噴き出している。
とくに連合の組織内候補を比例で擁立している労組関係者の間では、「蓮舫氏が上位当選し、組織内候補が弾き出されてしまう」として懸念が広がっていた。

しかし、蓮舫氏はこうした批判にも真っ向から反論した。
「直接私に電話してきて『やめたほうがいい』と言った人は、ひとりもいなかった」――。

火の粉が降りかかる前に、先制パンチで火消しに出た格好だ。

実は、この出馬劇の裏には、立憲民主党・野田佳彦代表の「一本釣り」があった。
蓮舫氏は、国会議員時代には野田グループに所属し、近しい関係にあった。
都知事選での敗北後、立憲に冷ややかな視線を送っていた彼女を再び説得し、比例の目玉候補として担ぎ出したのが野田代表だ。

だが、これが「賭け」であることは、党内外の誰の目にも明らかである。

山尾ショックの記憶がよぎる

国民民主党では、山尾志桜里氏を巡る騒動で支持率が急落したばかりだ。
過去の不倫スキャンダルが蒸し返され、党内には強い不満と不安が広がっている。

そして、今回の蓮舫擁立も、それに酷似した構図をはらんでいる。

かつて華やかな経歴で注目を集めた女性議員を“目玉”として擁立。
だが、その過去の発言や政治的スタイルに批判が集まり、逆効果になってしまう――。

「蓮舫ショックが起きれば、野田代表も共倒れになりかねない」
立憲内部には、そんな声がささやかれはじめている。

白ジャケットとタスキで「ニュー蓮舫」?

蓮舫氏といえば、トレードマークは真っ白なジャケット。
だが、都知事選後にはこの衣装を「処分した」と発言し、“一区切り”を演出していた。

ところが、今回の会見では「実は半分、残している」と明かし、再び着用することを示唆。
さらに、これまで選挙戦では使ってこなかった「タスキ」も初導入するといい、「ニュー蓮舫」を印象づけようとしている。

都知事選での敗北を経て、彼女は“何かが変わった”とアピールしたいのだろう。
だが、有権者の目はそこまで甘くない。

本当に変わったのか。
それとも、変わったふりをしているだけなのか。
その評価は、これからの選挙戦を通じて突きつけられることになる。

立憲民主党の命運を背負う出馬

今回の参院選で、立憲民主党は自民党との「大連立説」がくすぶる中、党の立ち位置が揺らぎ始めている。
蓮舫氏の出馬は、そんな中での「存在証明」でもある。

リベラル色を体現し、戦闘的な言論で注目を集めてきた彼女の登場は、一定の野党支持層には刺激となるだろう。
しかし、その一方で「また出てきたのか」「節操がない」と受け止める層も少なくない。

この「賭け」が成功すれば、立憲は反転攻勢の足がかりを得る。
だが、失敗すれば、党内の混乱と支持離れに拍車をかける危険がある。

かつて「二重国籍問題」や「蓮舫劇場」といった言葉で世間を賑わせた彼女は、再び、政界のスポットライトを浴びることになる。

この夏、白ジャケットにタスキをかけた蓮舫氏が、参院選の風をどう変えるのか。
注目の戦いが始まる。