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新春・政局大予測(後編)高市無双の裏で進む政界再編――維新を切り、国民と組み直す「6月解散後」のシナリオ

新春恒例の政局大予測。前編で私は「高市早苗総理は6月解散に踏み切る」と読んだ。
では、その総選挙の“後”に何が起きるのか。後編の結論は明快だ。
高市政権は、維新を切り捨て、国民民主と組み直す。

いまの政局を一言で言えば「サナエ無双」である。

高市総理は通常国会冒頭の1月解散を見送り、会期末の6月解散に照準を合わせた。
その判断ひとつで、与野党の力関係は一変した。

日本維新の会の吉村代表は、定数削減法案が成立しなくても連立離脱はしないと明言した。
高市総理に政治生命を預けたに等しい。
一方、国民民主党の玉木代表は、年収の壁引き上げをめぐり不十分ながらも合意し、「ミッションコンプリート」と叫んだ。
新年度予算への賛成も早々に表明し、立場はすでに「野党」ではない。事実上の閣外協力である。

右手に吉村、左手に玉木。
両者の運命を握るのは、高市総理ただ一人だ。
両手に花か、両手に団子か。
二人を張り合わせ、手玉に取る女王・サナエは、まさに無双状態にある。


なぜ吉村も玉木も、ここまでひざまずくのか。
理由は単純だ。高市総理が握る「解散権」という伝家の宝刀を恐れている。

もし1月解散が断行されていたら、自民党が圧勝し、単独過半数を回復した可能性は高い。
そうなれば、連立与党の維新は不要になる。
国民民主も準備不足で、躍進は止まる。
だからこそ二人は、解散の口実を与えないために高市総理にひれ伏しているのだ。

しかし、高市総理の本音は別にある。
支持率が高いうちに解散を断行し、政権基盤をガチガチに固めたい。その最適解が6月解散であり、そこで最初に「お役御免」になるのが維新である。

そもそも高市政権誕生時、政治基盤は脆弱だった。公明党は連立を離脱し、国民民主も連立入りを決断できなかった。

首班指名を前に、頼れるのは維新しかなかった。だからこそ高市総理は、定数削減も副首都構想も丸呑みした。

だが、総理になった瞬間、状況は変わる。
自民と維新を合わせても衆参ともに過半数に届かない。維新と組むだけでは、予算も法案も通らないのだ。

高市総理は早々に維新を切り始めた。
維新除名直後の衆院議員3人を自民会派に引き込み、衆院過半数を回復。吉村代表の顔に泥をぬ、るなりふり構わぬ多数派工作で、維新を軽んじる本性を露わにした。
極めつけが定数削減の先送りである。国民民主の要求とは、露骨なまでに扱いが違った。


6月解散後、自民が単独過半数に届かなくても、自民と国民を合わせれば衆院は確実に過半数を超える。
参院は、自民と維新を足しても過半数に届かないが、実は自民と国民をあわせれば過半数の届くのだ。
解散総選挙が終われば、維新は完全に無用になる。連立に残っても、誰も耳を貸さない。
吉村代表が生き残る道は、6月解散を阻止することしかない。

一方、国民民主の玉木代表にとって、連立入りの最大の壁は解散総選挙だ。
いま連立に加われば、全国で自民党と真正面からぶつかる。
自民批判票は立憲や他党に流れかねない。

そもそも国民民主が全国擁立を急ぐ目的は、自民党打倒ではない。自民批判票を割り、立憲民主党に壊滅的打撃を与えることだ。
総選挙はあくまで「野党」として戦い、選挙後に連立入りする。これが国民民主の描くシナリオである。

その先に見据えるのが、中選挙区制の復活だ。
3〜5人区で、しかも2人連記。自民と国民が同じ選挙区で共存できる制度である。
6月解散後に連立合意を結び、次の総選挙から中選挙区へ。
維新の定数削減とは違い、小選挙区で勝つのが難しい他の野党が賛成する余地もある。

もっとも、この連立は、国民民主が主張してきた「多党制の時代」とは程遠い。連立与党の内側だけで政策が決まる政治への逆戻りでもある。
玉木代表が連立入りを決断するのか、見送るのか。その選択次第で、吉村代表の命運も変わる。

6月解散をにらみ、高市・玉木・吉村の三角政局が本格化してきた。
2026年政局の主役は、この3人である。