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高市解散に「笑う人」と「キレる人」――維新と国民、連立バトルの裏の主役たち

高市早苗総理が、官邸と読売がタッグを組んだとも言われる極秘の1月解散作戦に踏み切ろうとしている。1月23日解散、2月8日投開票となれば、戦後最速クラスの超短期決戦だ。この電撃解散を前に、永田町の反応はきれいに二つに割れた。
「もう突き進むしかない」と腹をくくる人。
「話が違う」と怒りをあらわにする人。

象徴的なのが、連立をめぐるライバル関係にある維新の吉村代表と、国民民主党の玉木代表である。高市解散の“裏の主役”は、この二人と言っていい。


まず、強がってみせているのが維新の吉村代表だ。吉村氏はNHK番組で、通常国会冒頭の解散について「それほど驚かない」と語り、「維新と自民の連立は、まだ国民の信を得ていない」として、1月解散を容認する姿勢を示した。

だが、この余裕はどこまで本物なのか。読売が1月解散をスクープしたのは9日深夜。吉村氏はその日上京し、昼に開催された政府・与党連絡会議に出席していた。その際、高市総理と会い、「一段ステージが変わったな、というやりとりをした」と後に明かしている。しかし、この言葉はあまりに曖昧だ。誰の発言なのかも分からず、具体的な解散時期の説明があった形跡もない。

吉村氏がこのやりとりをあえて語ったのは、「自分は何も聞かされていなかったわけではない」「軽んじられたわけではない」と強調したかったからだろう。だが、もし維新が本当に連立パートナーとして尊重されているなら、読売に報道させる前に、トップ同士で正式な説明があるはずだ。大勢がいる会議の場で済ませる話ではない。

実際、吉村氏はこれまでも軽く扱われてきた。昨年末の臨時国会では、連立合意の柱だった定数削減法案の成立を、高市総理にあっさり先送りされ、メンツは丸潰れになった。それでも吉村氏は「通常国会で成立しなくても連立離脱はしない」と明言してきた。今回、衆院解散という最重要局面でも同様の扱いを受け、それでもなお高市政権についていくしかない――そう腹をくくっているように見える。


なぜ、維新はここまで軽く扱われるのか。理由は三つある。
第一に、維新は閣外協力にとどまっていることだ。高市総理は、維新に大臣ポストを二つ提示して閣内入りを求めたが、維新はこれを拒否した。いつでも離脱できる立場を選んだ以上、政権側も「半身の協力には半身の対応」という意識を持っているのだろう。
第二に、維新は選挙協力を拒んでいる。自民と維新は64選挙区で競合し、現職同士が激突する選挙区もある。解散となれば、たちまちライバル関係に戻る。
そして第三に、国民民主党という“代替パートナー”がいることだ。国民が補正予算に賛成したことで、維新がいなくても国会運営は成り立つ。むしろ、自民と国民の方が衆参両院で安定した多数を確保できる。

それでも吉村氏は、連立パートナーの座だけは守り抜こうとしている。立憲と決別して連立に踏み込んだ以上、自民に切られれば行き場はない。総選挙後こそ閣内入りし、連立の絆を固める。その座を国民民主には渡さない――これが吉村戦略だ。


一方で、真逆の反応を見せているのが国民民主党の玉木代表である。

玉木氏は昨年末、高市総理と「年収の壁」引き上げで合意し、補正予算だけでなく、新年度当初予算の年度内成立にも協力する姿勢を示していた。ところが、1月解散となれば、予算の年度内成立は絶望的だ。

玉木氏はこれを「約束違反」と受け止め、「経済あとまわし解散はまずい」「政策より政局で解散なら石破内閣と同じだ」とXに投稿し、怒りを爆発させた。不人気だった石破内閣と同列に扱うほど、感情は激しい。

玉木氏は昨年末、「連立入りを模索している最中だ」と語るほど高市政権に接近していた。にもかかわらず、なぜここまで反発するのか。

背景には、選挙準備の問題がある。国民民主は次の衆院選で「51議席以上」という強気の目標を掲げ、全県に候補者を立てる戦略を進めてきた。だが、1月解散では擁立が間に合わない。玉木構想は根底から崩れたのだ。

さらに、玉木氏と気脈を通じてきた自民党の麻生太郎副総裁の存在も見逃せない。麻生氏は地元で冒頭解散について「ないでしょうね」と牽制したと報じられている。今回の極秘解散作戦から、麻生氏が外されている可能性がある。麻生氏の不満を察した玉木氏が、高市解散への反発を強めている可能性も否定できない。

高市総理から熱烈なラブコールを受けてきた玉木氏と、捨てられかけていた吉村氏。電撃的な1月解散は、この二人の立場を再び逆転させるかもしれない。高市解散に「笑う人」と「キレる人」。そのコントラストこそが、解散政局の核心なのである。