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立公新党「中道改革連合」が壊すもの――比例名簿に仕組まれた“静かな破壊”

立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」。
一見すると、中道勢力の結集による政権交代への布石に映る。だが、その内実を冷静に見つめると、この新党は「立憲を強くする装置」ではなく、むしろ「立憲を内側から壊す仕組み」として設計されている可能性が高い。

その引き金を引くのが、比例代表の名簿である。

新党の比例名簿には、公明党の比例単独候補が上位にずらりと並び、立憲の重複候補は、その後ろに回されることになろう。しかも、この名簿が公表されるのは、おそらく公示の前日だ。
その時になって「こんな話は聞いていない」と声を上げても、もう手遅れである。選挙は翌日から始まる。怒っている暇などない。

この新党は、連立を離脱した公明党を救済するための器だ。
野田代表と安住幹事長は、その現実を理解したうえで、あえて口を閉ざしている。だが、立憲の衆院議員の多くは、まだその構造に気づいていない。

比例名簿の宿命

今回、公明党は小選挙区から完全撤退する。候補者は全員、比例単独だ。
現在の公明の衆院議員は24人(小選挙区4人、比例20人)。これに、前回小選挙区で落選した元職も加われば、比例単独候補は約30人規模になる。

これを全国11ブロックに割り振ると、各ブロックに1~3人。
公明は、小選挙区で立憲候補を支援する見返りとして、比例名簿の上位を確保する。すでにバーターは成立している。各ブロックの1位から最大3位までは、公明の候補で埋まることになる。

「公明と立憲を交互に並べればいいじゃないか」という声も出るだろう。
だが、それはできない。立憲の候補は原則として小選挙区との重複候補であり、同順位に横並びにして惜敗率で競わせるのが党のルールだからだ。
2位に立憲の重複候補が並べば、比例復活で当選枠が埋まり、3位の公明候補は弾き飛ばされる。

それを11ブロックで繰り返せば、公明の当選者は11人程度にまで激減する。
それでは新党をつくる意味がない。だから公明は、比例単独候補をすべて立憲候補より上位に置くよう強く求める。野田代表は、その条件を受け入れた可能性が高い。

公明にインセンティブはない

新党によって票が単純合算される、という楽観論がある。だが、それは甘い。
公明の票には、与党であったがゆえの自民とのバーター票や、国土交通大臣を独占してきたことで得た業界票が含まれていた。野党に転じた今回は、それらが消える。

さらに決定的なのは、創価学会員を動かすインセンティブが存在しないことだ。
比例名簿上位で公明候補の当選がほぼ保証されている以上、必死に選挙を戦う理由がない。小選挙区で立憲候補を応援しても、その候補の支援者たちは最初から比例では「中道」と書く。

学会員の高齢化も進むなか、公明票が伸び悩むのは避けられない。

知っていて黙る人、知らずに沈む人

当選10回のベテランである野田代表や安住幹事長が、この仕組みに気づいていないはずがない。
だが、立憲の多くの議員は知らない。これまで野党第一党として、比例復活に守られてきた「サラリーマン議員」たちだからだ。

名簿を公表すれば、反発が噴出する。だから発表は公示前日。
逃げ場をなくしたうえで、走らせる。これは偶然ではない。

立憲の未来

今回、立憲の候補は小選挙区で自力勝利しなければ戻れない。
比例復活を期待する候補、公明票をあてにする候補は、ほぼ全滅だろう。

衆院148人のうち、戻るのは半分程度かもしれない。
この新党結成は、野党再編の引き金になる。しかしそれは、中道勢力の結集ではない。立憲民主党が粉々になる始まりである。

総選挙後、新党は解散し、元の政党に戻る展開もありうる。
だがその時、立憲はもはや野党第一党ではない。
数ある中小政党のひとつに成り下がっている可能性が高い。

比例名簿は、静かに、しかし確実に、立憲を壊す。