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参院選は与党大敗へ!石破退陣は時間の問題──参政党旋風が突き崩す保守地盤

2025年参院選の中盤情勢が明らかになるにつれ、与党・自民党の壊滅的敗北が濃厚となってきた。毎日新聞が12〜13日に実施した世論調査をもとにした情勢分析では、32の1人区のうち、自民党が優勢とされるのはわずか6選挙区。接戦が8、劣勢が18にのぼる。

与党が惨敗し、過半数割れに追い込まれる情勢は、すでに「石破退陣」が現実味を帯びてきたことを意味する。だが、こうした政局の急変をもたらした最大の要因は、意外にも野党第一党・立憲民主党ではない。実は「日本人ファースト」を掲げる参政党こそが、自民党の地盤を根こそぎ崩しつつあるのだ。

保守地盤総崩れ──北陸・北関東までも

今回の選挙戦で特筆すべきは、保守王国として知られる北陸・北関東で、自民党が軒並み苦戦していることだ。栃木では立憲の新人候補と激しく競り合い、群馬では移民急増を背景に、参政党の女性候補が自民に肉薄する展開となっている。かつて中曽根、福田、小渕の3人の総理を輩出した自民の牙城で、まさかの接戦が起きているのだ。

さらに、富山や石川でも自民は優位を保てず、三つ巴の混戦に沈んでいる。富山では自民党県連の「架空党員問題」が響き、石川では能登地震に関する鶴保参院議員の不適切発言が有権者の怒りを買った。

だが、こうした「失点」だけが敗因ではない。より深刻なのは、参政党の台頭によって、これまで自民党を支持してきた保守層が静かに離れつつあるという構造的変化である。とくに「移民政策への反発」が、参政党支持のうねりを生み出している。

参政党が唱える「日本人ファースト」は、地方の保守層の生活実感と強く結びついている。農業改革への不満、裏金問題への嫌悪感、そしてグローバル化への根深い不信感が、自民党への信頼を急速に蝕んでいるのだ。

野党の追い風ではなく「参政党の副産物」

今回の選挙では、1人区の多くで立憲民主党が自民と競り合い、議席を積み増す可能性が高い。だが、それは立憲が支持を広げたからではなく、参政党が保守票を奪い、結果として立憲に漁夫の利がもたらされている構図だ。

参政党は全選挙区に候補者を擁立し、従来の自民支持層に真正面から切り込んでいる。これにより、自民の票が分散し、立憲候補が相対的に有利となる場面が目立つ。つまり、立憲の躍進は、参政党旋風の“副産物”に過ぎない。

複数区でも同様の構図が見える。東京、神奈川、埼玉、愛知などの大都市圏では、自民と立憲が1議席を確保し、残る枠を公明、国民民主、参政が争っている。特に注目されるのが、2人区の茨城での情勢だ。ここでは自民と立憲の“指定席”とされてきたが、参政党が立憲を猛追し、2枠目を奪う勢いを見せている。

また、公明党は過去の「全員当選神話」が崩壊し、埼玉、愛知、大阪、兵庫、福岡など主要選挙区で苦戦を強いられている。都議選での敗北が記憶に新しい中で、さらなる大敗となれば、国政からの撤退論すら現実味を帯びる。

比例区での勢力図再編

比例代表では、自民党が過去最低の12議席を下回る可能性が取り沙汰されている。公明党も大幅減が予測され、前回の6議席から3〜4議席にとどまるとの情勢だ。

これに対し、参政党は比例区で10議席近くをうかがい、立憲や国民民主に迫る勢いだ。選挙区でも東京での当選が濃厚なうえ、3人区・4人区での逆転当選も現実的になっている。

国民民主党は比例区での議席増が期待されるが、参政党に追い抜かれれば、存在感は一気に低下する。維新に続く“第三極”の座は、参政党に移るかもしれない。

石破退陣は避けられない

こうした与党の大敗が確定すれば、石破政権の責任は免れない。そもそも石破首相自身が「与党で過半数確保」を勝敗ラインとして掲げていた。そのラインを下回る結果となれば、通常であれば選挙当夜に退陣を表明するのが筋だ。

しかし、石破氏は昨年の総選挙でも、同様に過半数割れの敗北を喫しながら居座った“前科”がある。今回も、トランプとの関税交渉が控えていることを理由に、退陣を先送りする可能性は十分にある。8月1日の米国の関税発動前に交渉に臨む必要があるとして、「今は動けない」と居座る算段だ。

だが、国民はそんな言い訳を許さないだろう。総選挙に続く参院選の惨敗で、政権への信任は完全に失われた。国会運営は行き詰まり、法案も予算も通らなくなる。秋の臨時国会が始まる前には、石破氏は辞任に追い込まれる可能性が高い。

そして、自民党総裁選が開かれ、どの野党と組んで連立を拡大するかが最大の争点となる。