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参政党旋風は、再び起きるのか――福井知事選が突きつけた総選挙の伏兵

総選挙を目前に控えた真冬の北陸で、異変が起きた。
福井県知事選。与野党が相乗りしたのは67歳の元副知事。それを打ち破ったのは、35歳の新人だった。

この大逆転を演出したのが、参政党である。
神谷宗幣代表の生まれ故郷・福井で起きたこの結果は、昨年夏の参院選で吹き荒れた「参政党旋風」の再来を強く印象づけた。

今回の総選挙で、参政党は全国178選挙区に大量擁立している。
はたして参政党は、高市内閣の「応援団」なのか。
それとも、選挙の行方を狂わせる「最大の伏兵」なのか。
参政党を抜きに、この総選挙は読めない。

福井知事選の大逆転

福井県知事選は、前知事のセクハラ辞任という不測の事態から始まった。
自民党県議団が担ぎ出したのは、県庁のエースとして副知事を務めた山田氏。
一方、自民党福井市議会の保守系は、福井市出身の元外務官僚・石田氏を擁立。
自民党県連は真っ二つに割れ、判断は党本部に委ねられた。

高市総理が率いる党本部は、元副知事・山田氏の「支持」を決定。
立憲、国民、公明、維新の県組織も足並みをそろえ、山田氏を推薦した。
与野党相乗りで官僚出身のベテランを担ぐ――典型的な知事選の構図である。当初、「山田圧勝」と見る向きが多かった。

この流れをひっくり返したのが参政党だった。

選挙戦の途中、劣勢だった石田氏への支持を突然表明。神谷代表自らが福井に入り、石田氏と並んで真冬の街頭に立った。

67歳の元副知事に、組織を持たない35歳の新人。
だが、ここで勝てば総選挙に向けて一気に追い風が吹く。
神谷代表の直感と勝負勘が、ここで火を噴いた。

結果は、石田13万4620票、山田13万290票。
わずか4330票差の大逆転。全国最年少の知事が誕生した。

出口調査では、石田氏は参政党支持層の7割以上、無党派層の5割以上、自民支持層の4割を取り込んだ。
参政党は総選挙直前に、再び「草の根選挙」の底力を見せつけたのである。

草の根と大量擁立という武器

参政党躍進の原動力は三つある。
第一に「日本人ファースト」という分かりやすいメッセージ。
第二に、徹底した草の根活動だ。
神谷代表は、マスコミ露出よりも党員獲得を最優先してきた。
食の安全など生活に密着したテーマに関心を持つ30〜40代の主婦層が、活動の中核を担っている。

そして第三が、候補者の大量擁立である。
参院選でも他党との選挙協力を一切行わず、全国に候補者を立てた。選挙区で勝てなくても、知名度と組織は全国に広がり、比例で大躍進につながった。

今回の総選挙でも、参政党は178選挙区に候補者を擁立。解散前3議席から、目標は10倍の30議席だ。
国民民主を追い抜き、維新と肩を並べる存在になろうとしている。

高市応援団か、それとも対決者か

最大の焦点は、高市内閣との距離感である。
高市総理誕生の裏側で、保守層を揺り動かしたのが参政党だった。その結果、自民党内に危機感が広がり、高市支持が拡大した。

政権誕生後、保守層の多くは自民党に戻り、参政党の支持率は低下。当初、参政党は高市政権を側面支援する姿勢を見せていた。

だが解散後、神谷代表は一転、対決姿勢を鮮明にした。
「高市政権は40%しか支持できない」
移民政策や減税、積極財政に踏み込まない姿勢への不満を公然と表明した。

参政党の最優先事項は、議席の最大化だ。
高市内閣の支持率低下を機に、真正面から勝負を挑む――明確な戦略転換である。

大胆予測――中道の一人負け

参政党が奪う票は、中道よりも自民に近い。
国民民主もまた、立憲との協力を破棄し、大量擁立に踏み切った。

マスコミが描く「自民vs中道」の構図は、現実を捉えていない。
国民と参政が、どれだけ票を削るか。
そこが最大の焦点だ。

比例では、無党派層が国民・参政に流れ、両党は躍進する。
一方、小選挙区では戦略的投票が働き、自民は意外に踏みとどまる。
国民と参政は比例で伸び、小選挙区では苦戦。
中道は、比例でも小選挙区でも伸び悩む――。

これが、現時点での私の大胆な予測である。