私の新刊『政治家の収支』(SB新書)が12月7日に発売される。政治家の実像を「おカネの出入り」の視点で徹底解剖する一冊だ。
自民党の裏金事件への批判が高まり、日本政界は大きく動いた。岸田政権は退陣に追い込まれ、石破政権は総選挙で惨敗し、自公与党は過半数を割った。裏金事件のインパクトは大きかった。
けれども、なぜ政治家は裏金をつくろうとするのか。どのようにして裏金をつくるのか。本質的なところは闇のままだ。政治資金収支報告書に「記載したか、しなかったか」という外形上の基準ばかりが注目され、しっくりこない気分が残った人も多いだろう。
実は「政治家の収支」の全体像を政治家の本音を含めて徹底分析した本はほとんどない。政治資金の仕組みを詳しく解説する「政治資金規正法の解説書」はある。しかし、何度もパッチワーク的に改正を重ねてきた政治資金の仕組みは複雑怪奇で、なかなか読む気がしない。それ以上に、そのような解説書をいくら読んでも「政治家の本音」は伝わってこない。
私の長年の政治家取材から得た「政治とカネ」にまつわるエピソードを交えつつ、政治資金をめぐる難解な仕組みを「政治家の本音」の視点からわかりやすくお伝えするのが本書の狙いである。政治家はお金をどのようにして集め、何に使っているのか。その実態から「政治とカネ」の問題に迫る一冊だ。
さらに「政治とカネ」の問題を掘り下げると、政治家と財界、官界、マスコミ界の癒着構造が見えてくる。その実態を知るには、「政治家の収支」から迫るのがいちばんの近道だ。
政治家は決して本音を明かさない。不都合な事実は話さない。けれども彼らのお金の出入りは、彼らの本音を映し出している。政治家の実像に迫るには、お金の流れを追えばよい。これは「今までになかった政治学の入門書」でもある。