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総選挙は比例代表でも自民が立憲にダブルスコア? 裏金批判が吹き荒れるのに野党に勢いなし 解散直前の共同通信社の世論調査を読み解く 

総選挙がはじまった。

自民党の石破茂首相は就任早々にブレまくり、内閣支持率は岸田文雄政権や菅義偉政権の発足時を下回る厳しい船出だ。勝敗ラインを「自公与党で過半数」と低く設定し、逃げ切る構えである。

一方、立憲民主党の野田佳彦代表は野党共闘体制の構築に失敗。「裏金隠し選挙」と銘打ちながら、東京24区の萩生田光一氏ら自民党が公認を見送った大物裏金議員の選挙区でさえ野党一本化を果たせず、各地の小選挙区で野党乱立が相次ぐ始末。「自公過半数割れ、立憲が比較第一党」を実現して「政権交代」を果たす目標を掲げるものの、その勢いはない。

二大政党のどちらもパッとせず、結果が読みにくい総選挙である。

近くマスコミ各社が選挙区ごとの情勢調査を報じる。最近の情勢調査は精度があがっており、各党もこれをみなければ票読みがなかなか厳しいのが現状だろう。

これに先駆けて、共同通信社が解散直前の10月12、13両日に「比例でどの政党に投票するか」という世論調査をしたところ、自民党が立憲民主党を倍以上引き離してトップだった。

衆院定数は465(過半数は233)。このうち小選挙区が289、比例代表が176。解散前勢力は自民258、公明32で与党が290を占めていた。自公過半数割れに追い込むには、自民党が50~60議席以上減らすことが必要だ。

小選挙区で現職が多くて自力に勝る自民党がそれなりに踏みとどまることは予測できるが、裏金大逆風のなかで比例でも自民党が立憲民主党を圧倒するとしたら、自公過半数割れどころか、自民圧勝・立憲惨敗の可能性もあるだろう。

立憲民主党にとっては衝撃の数字である。

共同通信社の世論調査を詳しくみてみよう。
内閣支持率は42.0%だった。石破政権発足当初(10月1、2日実施)は50.7%だったから、わずか10日間ほどで急落したことになる。やはり石破首相の発言がブレまくり、期待感が吹き飛んだことが最大の要因だろう。

けれども、裏金事件への批判や石破首相への落胆が立憲民主党中心の野党への政権交代への期待にはつながっていない。どんな総選挙結果を期待するかを尋ねたところ、「与党と野党が伯仲」が50.7%、「与党が野党を上回る」が27.1%、「野党が与党を逆転する」が15.1%だった。

自民党の横暴を抑制するために野党が議席を伸ばすのが望ましいが、野党への政権交代には抵抗感がる。自民党が議席を減らし、野党が議席を伸ばして国会で厳しく追及するという構図で、自公与党が引き続き政権を担うというあたりがちょうどいいーーというのが現時点での世論の相場感なのだろう。

ところが、「比例でどの政党に投票するか?」という質問の結果をみると、世論の相場感を超えて、自民党がおもいのほか勝ちすぎてしまう可能性がみえてくる。自民党は26.4%で、立憲民主党12.4%を倍以上も引き離しているのだ。

先に述べたとおり、小選挙区は現職が多い自民党が有利なうえ、自公与党は候補者を一本化しているのに、野党は立憲、維新、国民、共産、れいわの候補が乱立しており、自民党がそれなりに踏みとどまる公算が高い。それに加えて比例区でも自民党が立憲を大きく上回れば、自民圧勝の展開だ。立憲の野田代表が掲げる「自公過半数割れ・立憲が比較第一党」はほど遠く、政権交代はさらに遠い。

他の政党をみてみよう。公明は6.4%、維新は4.8%、国民は3.3%、共産は3.2%、れいわは1.4%。

公明は裏金議員を大量推薦して世論の批判を浴びたものの、組織力をフル回転して一定の議席は確保するだろう。維新は大阪万博と兵庫県知事問題で失速し、議席の大幅減が有力視されている。立憲と決別して独自路線に戻った共産も苦しい戦いだ。与野党と距離をおいてさらに独自路線を走るれいわも伸び悩んでいる。

どの党も勢いがない。組織票で勝る自公与党ペースで総選挙は始まったといっていいだろう。
立憲民主党はどう巻き返すのか。これから野党一本化を進めるのは不可能だ。さりとて消費税減税を見送るなど公約のパンチもない。「政権交代」や「裏金隠し」という野田代表の言葉ばかりがひとり歩きして、リアリティーがない。まさに空回りである。

このまま総選挙が進んで自公与党の逃げ切りを許せば、野田代表の政治責任は極めて大きい。野田代表は就任したばかりで代表に居座り、今後は財政政策で重なり合う石破首相との連携も視野に党運営を仕切るつもりだろうが、はたしてそれが許されるのだろうか。

まずは今後の巻き返しをどうはかるのかに注目したい。

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