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高市早苗、総裁レース大逆転への3つの条件①第一回投票から麻生太郎の支持②決選投票の相手は石破茂③日米韓の連携を最重視する米国の警戒感の払拭

自民党総裁選は本命の小泉進次郎氏が伸び悩む一方、安倍支持層に絶大な人気がある高市早苗氏が党員調査で躍進しているとの報道が相次いで「大穴」に浮上してきた。とりわけ、株式市場をはじめとする金融界で高市氏は圧倒的な支持を広げている。
一方で、自民党内の国会議員への支持は広がっておらず、むしろ「高市だけは絶対阻止」という「早苗包囲網」が形成されつつある。
この背景には、高市氏の過激な右寄り政策に対し、日米韓の連携を重視する米国が実は強く警戒しているという事情がある。とりわけ、韓国世論を刺激する靖国参拝を高市氏が明言していることに、米国は神経を尖らせているようだ。

そして米国に追従してきた岸田文雄首相は「高市政権阻止」の立場だ。

高市支持が自民党の国会議員に広がっていないことを象徴するのは、最大派閥・安倍派の動向である。とりわけ安倍家の動向だ。

安倍晋三元首相の昭恵夫人のお気に入りで地元・山口の選挙地盤を受け継いだ吉田真次衆院議員も、安倍氏の弟である岸信夫元防衛相の地盤を受け継いだ岸信千世衆院議員も、今回の総裁選では高市氏ではなく、若手代表として出馬した小林鷹之氏を支持しているのだ。

小林氏と小泉氏は中堅若手に支持を広げており、支持層が重なっている。安倍派の中堅エースで、派閥創始者の福田赳夫元首相の孫である福田達夫氏も小林氏支持だ。

小泉氏は総裁選討論会でしばしば小林氏に秋波を送っており、決選投票で小林陣営の多くが小泉氏に流れるとの見方も広がっている。

高市氏とは右寄りの政策で重なる小林氏が実は「高市つぶし」の切り札と位置付けられているのだ。

一方、安倍派のベテランも高市氏を敬遠している。森喜朗元首相は小泉氏を中心に清和会(安倍派)の再興を構想しており、森氏の寵愛を受ける萩生田光一氏は小泉氏を担ぐ菅義偉前首相との連携を強めている。
安倍派で高市陣営に入っているのは、差別的言動で批判を浴びた杉田水脈衆院議員ら「極右」とみられるメンバーが中心だ。安倍派に支持が広がらないひとつの要因となっている。

岸田首相や林芳正官房長官ら現政権も高市政権阻止の立場だ。

今回の総裁選では党員に文書の郵送は禁じられた。お金をかけないためだ。ところが高市陣営は党員約30万人にリーフレットを配布したとして党の選管から注意を受けた。だが、岸田首相や林官房長官は注意では足りないと主張。「高市氏からだけリーフレットが届き、地元の国会議員が高市氏を支持していると勘違いして党員投票で高市氏に投じたケースが相次いでいる」とし、選管にさらなる厳正な対応を求めている。

岸田首相はトップ3(小泉氏、石破氏、高市氏)のうち、ライバルの菅氏が担ぐ小泉氏も敬遠しており、本命は石破氏のようだ。一方、岸田派代表として出馬した林氏は決戦投票では小泉氏か石破氏に乗るとみられ、高市阻止の立場で歩調をあわせている。

背景にあるのは、米国が高市政権誕生を警戒していることだ。

米国はウクライナ戦争以降、ロシアとの対決を最重視し、さらには台頭する中国に対抗するためにも、日米韓の連携をアジア外構の基軸としてきた。韓国の前政権である文在寅政権は中国や北朝鮮に近かったため、日米韓の連携を重視する現在の尹錫悦政権への政権交代を水面下で支援してきた経緯がある。

ここで靖国参拝など極右的な政策を掲げる高市政権が誕生すれば、韓国世論を刺激し、日米韓の連携が揺らぐ恐れがある。米国にとっては第一に避けたい事態だ。

自民党国会議員は米国の意向を重視して投票する者も少なくない。米国に警戒された高市氏を避ける可能性は十分にある。

高市氏も出馬会見でユン政権を評価し、日米韓の連携の重要性を認めて米国の警戒感を解こうとした。一方で安倍支持層の人気をつなぐため、首相になっても靖国参拝を断行するとも表明している。安倍支持層の人気を得ながら米国の警戒感を解かなければならないジレンマがある。

国会議員票を積みますには、小泉氏を担ぐ菅氏とも、石破氏とも不仲な麻生太郎氏の支持を得ることが欠かせない。麻生氏は小泉vs石破の決選投票になることが最悪の展開だ。そこで第一回投票から河野太郎氏らを見捨てて高市氏に水面下で乗る可能性も十分にある。高市氏とすれば、麻生氏の支持が頼みの綱だ。

一方で、麻生氏は米国との関係を最重視している。米国が高市氏への警戒感を解かなければ、高市氏には乗りにくいというジレンマを抱えている。

さらに決選投票に進んだとしても、党内に敵が少ない小泉氏が相手なら勝つのは難しい。安倍派や麻生派に嫌われている石破氏なら消去法で高市氏が選ばれる可能性もなくはない。

石破氏が打ち出しているアジア版NATO構想にも米国は警戒感を強めているといわれる。高市vs石破なら、国会議員の人気でも米国の評価もどっちもどっちで、高市氏にも勝算があるというわけだ。

以上の経緯からすると、高市氏が大逆転するには、以下3つの条件が必要だろう。

①党員投票で圧勝し1位になるか、第一回投票から麻生氏から水面下で支持を得るかして、決選投票へ勝ち進む

②決選投票の相手は石破氏になる(小泉氏が3位転落)

③靖国参拝に対する米国の警戒感を解く

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