総選挙で減税政策を掲げ躍進した直後に不倫が発覚した国民民主党の玉木雄一郎代表が、役職停止3ヶ月の処分を受けた。3月3日まで代表権限が停止され、古川元久代表代行がその役割を担う。
代表を解任されたわけではない。あくまでも3ヶ月、代表としての活動を行わず、3ヶ月後に代表に復帰するということだ。
きわめて軽い処分で逃げ切ったといえるだろう。
マスコミは不倫を厳しく報道する一方、ネットでは「不倫より減税」として擁護論が広がっていた。国民民主党は玉木一枚看板で躍進し、玉木氏は減税政策について自公与党との協議の先頭に立ってきた。
自公与党が年末の予算編成・税制改正で「103万円の壁の引き上げ」を受け入れた今の段階でいったんケジメをつけたほうが、来年夏の参院選にむけダメージを和らげることができるという政治的判断だ。
年明け1月には通常国会が召集され、衆参両院で予算審議が行われる。立憲民主党は衆院予算委員長のポストを獲得し、予算審議で石破政権を激しく追及するだろう。自公与党は強行採決できず、閣僚のスキャンダルが発覚した場合、野党が更迭を要求すれば受け入れるしかない。
この状況で、国民民主党は予算案に所得税減税が盛り込まれれば、予算案に賛成するほかない。つまり年末の予算編成・税制改正が終われば、国民民主党は3月末の予算成立まで見せ場がない。それまで玉木代表が表舞台から去っても大きな影響はない。
一方、予算成立後は来夏の参院選にむけて、①自公与党とさらに連携を強化するのか②自公と対決姿勢に転じて立憲民主党など野党との選挙協力へ舵を切るのかーーという重要な決断を迫られる。それまでに玉木氏の代表復帰を実現するには、役職停止を半年にするわけにはいかず、3ヶ月にとどめたということであろう。
しかし、シナリオ通りに進むのだろうか。
年末の予算編成・税制改正で、所得税の非課税枠が現状の「103万円」から国民民主党が総選挙で訴えた「178万円」まで上がらず、わずかの減税にとどまれば、国民民主党への期待は落胆へ豹変する可能性がある。
さらに年明け国会で石破政権のスキャンダルが続出して内閣支持率がふたたび下がっているのに、国民民主党が自公与党と歩調をあわせれば、玉木代表不在の間に国民民主党はたちまち失速する可能性もあるだろう。
政界の一寸先は闇。国民民主党がいまの勢いを維持できるかどうかはわからない。