国民民主党の玉木雄一郎代表が、またしても“自爆”した。
舞台は東京・有楽町の日本外国特派員協会。各国メディアが詰めかける国際的な会見の場で、玉木氏は女性支持の低迷について問われ、軽率すぎる発言をしてしまった。
記者から「なぜ国民民主党は女性の支持を得られていないのか」と問われた玉木代表は、困惑したような表情を浮かべ、日本語で「なんででしょうね」と呟いたあと、英語でこう続けた。
「政党設立当初から、私たちは、女性からの支持を得られていません」
「『あなたたちの政策は複雑で、理解しづらい』と言われてきました」
「私たちの政策は、男性だけでなく、女性にとっても良いものなのです」
「しかし、女性には、それを理解するのが非常に難しいのだと思います」
この発言がX(旧Twitter)などネット上で拡散されると、瞬く間に「女性蔑視だ」と炎上。
「理解力がないのは女性の方だ」とでも言わんばかりの論調に、各方面から批判が噴き出した。
玉木代表は翌日、党の公式チャンネルを通じて釈明。「英語が未熟で、まずい表現をしてしまった」と述べ、「支持が広がらないのは、私たちが政策を正しく伝えきれていないからです」と、釈明に追われる事態となった。
党内からも「蔑視の意図はなかった」とか、「英語で格好つけようとして墓穴を掘っただけ」といった擁護の声が出ているが、事の重大さを過小評価していると言わざるを得ない。
失言癖が止まらない玉木氏
実は玉木氏、ここ最近“失言癖”が目立っている。
6月には、政府の米備蓄政策を批判する中で「備蓄米は一年経つと動物の餌にされる」と発言。
これが農業関係者や消費者の間で大きな反発を呼び、「農業を侮辱している」「庶民感覚がない」と、批判が広がった。
さらに遡れば、「山尾ショック」として知られる山尾志桜里氏の復党問題でも揺れたばかりだ。
不倫スキャンダルの再燃に加え、玉木氏自身も過去に女性スキャンダルを報じられており、ジェンダーに関わる失言には最大限の注意が必要な立場だったはずだ。
今回の発言は、その自覚のなさを白日の下にさらしてしまった。
保守層迎合が生むバイアス
国民民主党はここ数年、玉木代表のYouTube発信などを通じて、男性保守層を中心とするネット世論に接近してきた。チャンネル登録者数は飛躍的に伸び、支持率も一時は立憲民主党を脅かす勢いだった。
だが、保守層への迎合が過ぎれば、「リベラルアレルギー」に引きずられ、ジェンダー政策を軽視する言動にもつながりやすい。
今回の「女性には理解が難しい」発言も、そうした姿勢が無意識のうちに露呈した結果かもしれない。
自民党にすり寄る立憲民主党、ネット保守を浸食する参政党という“両側の包囲網”の中で、国民民主党は自らの立ち位置を保つことに苦心している。
国民民主党は山尾ショックと玉木代表の失言で支持率が急落したものの、東京都議選では9議席を獲得し、7月の参院選に向けて反転攻勢に出た矢先だった。そこへ代表自らが水を差す今回の失言である。
参院選が、党の将来を左右する正念場になるのは間違いない。
一発アウトでは済まされない
玉木代表が英語で発言したのは、明らかに外国人記者に向けたサービス精神のつもりだったのだろう。
だが、発言の場が国際会見であったこともあり、女性差別に極めて敏感な海外メディアの前での失言は、国民民主党全体のイメージに致命的な傷を残しかねない。
「一発アウト」とネットで指摘されるのも無理はない。
しかも、これが一度や二度ならず。
「2度あることは3度ある」とはよく言ったもので、あと1回、口を滑らせれば、党内からも「退陣論」が出ることは必至だろう。
政治家は「話すプロ」でなければならない。
その言葉が社会にどう受け止められるかを想像する力がなければ、政治を動かす資格はない。
言葉は、剣より鋭い。
玉木氏は、次の言葉で自分の政治生命を断ち切らぬよう、肝に銘じるべきだ。