国民民主党の玉木雄一郎代表が、ついに反撃に出た。石破政権によって所得税減税案を退けられたことに猛反発し、驚きの行動に出たのだ。
なんと、自民党の反主流派に位置する茂木敏充前幹事長とお互いのYouTubeに相互出演し、しかもその場で意気投合したのである。この動きは、まさに「石破おろし」への加勢とみることができる。
たまきチャンネル
【対談】茂木敏充×玉木雄一郎 ガソリン減税巡る会談秘話 国民民主を密かに応援?
茂木としみつの改革チャンネル
【玉木雄一郎】 103万の壁の財源問題から日本経済の成長戦略までを忖度なしで徹底討論!玉木さんから衝撃の陳情も⁉︎【年収の壁 茂木敏充】
玉木・茂木のYouTube対談が意味するもの
玉木氏と茂木氏は、かねてから交流があり、岸田政権時代にはガソリン税減税の交渉を共に行った仲だ。今回の対談では、そのときの話題で大いに盛り上がった。
さらには石破茂首相が国民民主党が求める「年収103万円の壁の178万円への引き上げ」(所得税非課税枠の拡大)を退けた問題でも意気投合。茂木氏は「(玉木氏が昨年の衆院選で掲げた)手取りを増やすという言葉が刺さった」と持ち上げた。玉木氏も茂木氏を「党派を超えて尊敬できる先輩」と称賛し、連携をアピールした。
玉木が茂木と組む理由
では、なぜ玉木氏はこのタイミングで茂木氏と手を組んだのか? その理由は明白だ。
石破首相が日本維新の会の前原誠司共同代表と組んだからである。両者は防衛族議員として、さらには鉄道オタクとして親密な関係を築いており、政権運営でも協力関係を深めている。
石破首相は自公与党が過半数を割る衆院で予算案を賛成多数で可決するため、前原氏に協力を求めた。国民民主党の所得税減税には冷淡な一方、維新の高校無償化には積極的に対応したのだ。
これにより、前原氏は予算案への賛成を決定。結果として、国民民主党の存在意義は薄れ、石破政権にとって「用済み」になった。
玉木氏は石破政権に接近しても相手にされず、一転して反主流派の茂木氏に歩み寄ったのである。
石破 VS 茂木、因縁の対立
ここで、茂木氏の立場が重要になってくる。
茂木氏は岸田政権で幹事長を務めたが、党員人気がなく、昨年9月の自民党総裁選では9人中6位に惨敗し、石破政権では完全に無役となった。
そもそも茂木氏と石破氏は旧新進党に所属し、自民党に移った後は最大派閥・平成研究会(旧竹下派)にともに入った。かつての派閥内のライバル関係が、今も尾を引いている。
派閥の会長ポストを射止めたのは茂木氏であり、石破氏はこれに対抗する形で独自の「石破派」を結成。しかし総裁選での敗北が続き、長らく安倍政権で干され、石破派も解散に追い込まれた。一方、茂木氏は麻生太郎元首相の後ろ盾を得て、幹事長にまで上り詰めた。
こうした経緯から、石破首相は茂木氏を快く思っておらず、首相就任後は完全に干し上げた。茂木氏は、同じく石破政権で最高顧問に棚上げされてキングメーカーから滑り落ちた麻生氏と手を組み、「石破おろし」を仕掛けるタイミングをうかがっている。
玉木の戦略と今後の展開
玉木氏が茂木氏に接近することで、石破政権を倒し、新政権のもとで減税政策を実現しようとしているのは明らかだ。もし石破政権が崩れれば、次に浮上するのは茂木氏か、それとも高市早苗氏か。そのどちらも麻生氏の支援を受ける可能性が高い。さらには国民民主党を連立政権に迎え入れ、玉木氏を首相に担ぐ構想まで囁かれている。
玉木氏の戦略が失敗し、石破政権が続けば、国民民主党の影響力はさらに低下し、所得税減税の実現も遠のくことになる。
一方、茂木氏は昨年の総裁選惨敗で露呈した「党員人気のなさ」を解消する必要がある。玉木氏がYouTube戦略で人気獲得に成功したのを目の当たりにし、自らのYouTube戦略を練り始めたのは間違いない。「たまきチャンネル」の登録者数は50万人を超えている。「茂木としみつ改革チャンネル」はまだ4000人そこそこだ。玉木氏と双方のYouTubeチャンネルに相互出演することで、自身のチャンネルに「玉木ファン」を呼び込んで登録者数をまずは増やすという「目先の利益」も念頭にあったのだろう。
はたして知名度アップの人気上昇につながるのか、要注目だ。
これから何が起きるのか?
玉木氏が石破首相と決別して茂木氏ら自民党内の反主流派に接近した政局の行方は、日本の政治に大きな影響を与えることは間違いない。
果たして、玉木氏の戦略は成功するのか? 石破おろしは実現するのか?
読者の皆さんはどう考えるだろうか。今後の展開を注視していきたい。