政治を斬る!

自民党は「小池頼み」で東京都知事選を乗り切る?独自候補擁立を見送りへ、小池知事不出馬でハシゴを外されたら衆院東京15区補選の不戦敗の二の舞に?


自民党が東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)で独自候補の擁立を見送る方針を固めた。裏金事件の大逆風で、独自候補を擁立しても勝てないと判断した。3選を目指して出馬するとの見方が強い小池百合子知事の支援に回って「首都決戦での敗北」を避ける狙いだ。

自民党都連は萩生田光一都連会長の続投を決めた。萩生田氏は安倍派五人衆で裏金額トップながら党員資格停止1年という軽い処分で逃げ切った。しかも都連会長にとどまる人事に自民党内からも批判が出ている。そこまでして萩生田氏を続投させるのは、小池知事とのパイプ役を務めてきたからだ。

しかし、小池知事は学歴詐称疑惑が再燃し、まだ出馬を表明していない。学歴詐称疑惑の隠蔽工作を暴露した小池元側近の弁護士は都知事選に出馬する場合は公選法違反で刑事告発すると宣言しており、小池氏が本当に出馬に踏み切れるかどうかは不透明だ。
仮に出馬しても、目黒区長選と衆院東京15区補選で連敗して「小池神話」が崩壊した落ち目の小池知事と、裏金疑惑で沈む自民党の「負け組連合」が本当に都知事選を制することができるかどうかは見通せない。少なくとも小池知事の過去二回の都知事選よりは厳しい戦いになるのは間違いない。

立憲民主党は独自候補擁立の作業を進めている。すでに男性の著名人を含む数人に絞り込んでおり、小池知事の出方や他の出馬の動きをみつつ、公表のタイミングを探っているのだろう。
岸田首相が6月解散を見送れば、都知事選は4月衆院補選、5月静岡県知事選に続く総選挙の前哨戦となる。自民党は4月補選は全敗、5月静岡県知事選も劣勢が伝えられており、都知事選でも敗北すれば「岸田首相では選挙は勝てない」という空気が定着し、9月総裁選を機に退陣の流れが強まる。

しかも都知事選の行方は都内に限らず、首都圏を中心に全国の政治情勢を動かす可能性がある。都知事が反自民勢力に変われば、次の総選挙で都内の選挙情勢は大きく変化する可能性があり、萩生田氏(東京24区)や首相最側近の木原誠二氏(東京20区)が落選するという事態も現実味を帯びてくるだろう。
自民党はまさに「小池頼み」で都知事選を乗り切る構えだ。

しかしこの構図は、4月の衆院東京15区補選とまったく同じだ。

萩生田氏らは当初、小池知事が東京15区補選に電撃出馬して国政復帰し、自民党に復党を経て9月総裁選に出馬して女性初の首相となり、裏金事件の逆風を吹き飛ばすシナリオを描いていた。ところが、小池知事は学歴詐称疑惑の再燃を恐れて出馬を断念。かわりに作家の乙武洋匡氏を擁立して惨敗した経緯がある。

都知事選でも小池知事が土壇場で出馬を断念すれば、自民党はまたもや不戦敗となり、総選挙へのダメージははかりしれない。岸田首相に最後のトドメを刺したのは小池知事という展開となる。

まさに小池知事に命運を委ねた格好なのだ。

都知事選は無党派層の動向が大きな鍵を握る。立憲に限らず、著名人が無党派の立場で参戦してくる可能性は否定できない。すでに広島県安芸高田市で市議会との対決をユーチューブに投稿してインフルエンサーとなった石丸伸二市長が都知事選出馬を表明。無党派層を呼び込むエンタメ選挙を展開する姿勢をみせて台風の目になる可能性もあり、都知事選は波乱含みの様相だ。

小池知事に身を委ねた岸田自民党の命運はいかに。都知事選から目が離せない。

政治を読むの最新記事8件