東京都知事選の投開票まで1週間となった6月29、30日の週末にマスコミ各社が行った最終情勢調査はおおむね以下の結果だった。
①小池百合子 先行 または ややリード
②蓮舫 追う または 続く
③石丸伸二 追う または 続く
さて、大逆転で女帝百合子が落選することはあるのか。最終調査を読み込んでみよう。
序盤は小池氏が「大きくリード」または「先行」という結果だった。これはどのくらいの差なのか。世論調査用語ではだいたい以下のように言われる。
大きくリード・・・15ポイント以上の差
先行・リード・・・10〜14ポイントの差
ややリード ・・・5〜9ポイントの差
横一線・互角・・・0〜4ポイントの差
ここから類推すると、先週末時点では「小池40、蓮舫30強、石丸25強」といったところだろう。
序盤に比べて①小池氏が伸び悩み、蓮舫氏と石丸氏が激しく追っているものの、②このままではアンチ小池票が蓮舫氏と石丸氏に分散して小池氏が逃げ切るーーこんな展開が見えてくる。
各候補の支持基盤については以下のような傾向が浮かんでいる。
①小池氏
自民支持層の5割(固めきれていない)
公明支持層の7割(最も頼っている支持基盤)
無党派層の3割
世代別には幅広く支持を集めている
②蓮舫氏
立憲共産層の7割(コア支持層)
れいわ支持層の6割(ここはのびしろ、課題)
無党派層の2割(苦戦)
世代別は70代以上が多い(立憲と共産は若者・現役世代に弱い)
③石丸氏
維新支持増の4割
国民民主支持層の3割
無党派層の2割
世代別は10〜40代に強い
これは国政と瓜二つの状況だ。
①高齢者中心の蓮舫氏(立憲共産)と、現役若者中心の石丸氏(維新国民)が組めば、小池氏(自公)を十分に倒せる
②しかし、蓮舫氏(立憲共産)と石丸氏(維新国民)の支持者同士の対立が激しい
③その結果、二・三位連合は実現せず、小池(自公)批判票が分散して小池氏(自公)が逃げ切る
では、どうすればよいのか?
野党は衆院選では小選挙区の候補者一本化を進めるしかない。相互支援はしなくても、世論調査などで「勝てそうな候補」に一本化し、勝てそうにないとみられる候補は相手を支援しなくてもよいから出馬を辞退するというような「大人の関係」を模索する責任が立憲や維新の執行部にはあるだろう。それを拒否するということは、自公与党の味方ということだ。
しかし、都知事選は投票目前である。いまさらどちらがが撤退するわけにはいかない。不在者投票はすでに行わており、その観点からも撤退は難しい。
いまからでもできること、それは「蓮舫でも石丸でも小池よりはマシ」という考え方を徹底させることだ。
蓮舫氏と石丸氏のどちらを都知事にしたいかという論争をしている限り、双方が折り合うことはない。確実に言えることは、どちらが勝っても都議会の多数は自公と都民ファが握っており、都政は簡単には動かないことだ。
幸い、都議会選挙が来年夏に予定されている。そこが最終決戦の大舞台となろう。それまで新都知事と都議会が激突することになる。
それでも、小池知事が続投するよりはマシだという認識をどこまで都民に広げることができるかが勝負といってよい。
小池知事は8年前に反自民を掲げて当選しながら、東京五輪や都心再開発の巨大利権を通じて自民党と結託し、いまや一体化している。この一点で、小池続投は許してはいけない。
どうやって2位3位連合の機運をつくるか。政治経験未熟な石丸氏から蓮舫氏へアプローチがなされる可能性はほとんどないだろう。鍵を握るのは、立憲執行部だ。
小池氏落選・小池都政ストップに絞った連帯活動はできないものか。
例えば、小池氏がテレビでの討論会出席を拒否していることを踏まえ、蓮舫氏石丸氏のユーチューブに出演して政策論争をかわしつつ、「打倒小池」をともに呼びかけてはどうか?
都知事選は、野党陣営が自公打倒で結束できるかどうかが問われる衆院選の前哨戦といっていい。ここでできないと、衆院選でもできないだろう。
そして最後は有権者ひとりひとりが「誰を知事にしたいか」ではなく、好き嫌いを超えて「小池氏を落とすには誰に投票すればよいか」という戦略的投票をとれるかどうかにかかっている。これまた衆院選と同じだ。