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トランプ大統領ソリがあわない石破首相、2月の日米首脳会談は鬼門か 首脳同士の直接ディール(取引)に応じる政権基盤はなく、防戦一方の可能性

米国でトランプ氏が大統領に就任した。就任早々、地球温暖化をめぐるパリ協定やHOからの離脱に踏み切り波紋を広げている。

トランプ氏は就任前から「アメリカ・ファースト」をむき出しにし、カナダを51番目の州にするとか、グリーンランドを買収するとか、パナマ運河の領有権を主張するとか、諸外国の反発を買う発言を繰り返してきた。日本に対しても日本製鉄のUSスチール買収に反対する姿勢を表明するなど、強硬姿勢をみせている。

石破茂首相は2月に訪米してトランプ氏と会談する考えだが、首脳同士の直接のディール(取引)を好むトランプ氏とはウマが合いそうにない。大統領選直後の電話会談もたった5分で終了していた。

トランプ1期目では当時の安倍晋三首相が大統領就任前に会談し、蜜月関係を築いた。石破首相もそれにならって就任前会談を模索したが、トランプに「今回は他国の首脳とは就任前に会わない」と拒否された。ところがトランプ氏はその後にカナダの首相やフランスの大統領とは会談し、石破首相のメンツは丸潰れとなった。

しかも安倍氏の昭恵夫人がトランプの私邸に招かれ、そこに石破首相の政敵である麻生太郎元首相の側近である薗浦健太郎元衆院議員が同席していたことが判明。トランプ氏は孫正義ソフトバンクグループ会長とも面会し、石破軽視の姿勢をますます鮮明にしていた。

石破政権は昨年10月の総選挙に惨敗した少数与党政権である。いつ内閣不信任案が可決されて内閣総辞職に追い込まれても不思議ではない。自民党内では今年7月の参院選は石破首相では戦えないとの声が強く、3月の予算成立後に石破おろしの狼煙があがる可能性が高い。

政権基盤が極めて脆弱な石破首相が、トランプ氏と首脳同士の直取引をできるとは思えない。トランプ氏も石破氏と親密な関係をつくる気がさらさらないのではないか。

石破首相は麻生元首相や孫ソフトバンクグループ会長と面会し、トランプ氏の攻略法を尋ねたという。両氏はいずれも「長々とした説明を避けて簡潔な結論を心がけること」と助言したが、石破首相は「私が最も苦手とすることです」と答えたという。お先真っ暗だ。

石破政権は一方で中国との関係強化を進め、ビザ緩和などに踏み切った。岩屋外相や森山幹事長が訪中して中国要人と会談し、ネットでは「中国寄り」との批判が広がっている。石破首相がトランプ大統領の首脳会談で日鉄のUSスチール買収などで一方的に攻め立てられ、関係がぎくしゃくすれば、ますます「中国寄り政権」との批判が強まるのは必至だ。

2月の日米首脳会談は国内政局の動向を大きく左右することになる。

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