参院選の行方、野党共闘がカギに 注目選挙区の現状
自公与党が昨年の衆院選に続き、今年夏の参院選でも敗北すれば、政界再編が避けられない状況になる。鍵を握るのは、野党共闘の成否だ。
日本維新の会が参院選の1人区で予備選を提案し、立憲民主党が前向きな姿勢を示しているが、共産党やれいわ新選組は後ろ向きな姿勢を崩していない。
注目選挙区である和歌山、京都、香川の現状を分析してみよう。
和歌山(改選1) 保守分裂
和歌山は政界を引退した自民党の二階俊博元幹事長の三男・伸康氏と、自民党を離党した世耕弘成・元参院幹事長が擁立する前有田市長が激突しそうだ。昨年10月の衆院和歌山2区では、無所属の世耕氏が自民公認の伸康氏を圧倒し、比例復活も許さなかった。今度は参院選で再び「二階vs世耕」が激突することになる。
二階氏は引退後も自民党和歌山県連を牛耳っており、県連は伸康氏の公認を決定した。世耕氏はそれを無視し、前有田市長を無所蔵で擁立するとの見方が強い。
一方、立憲民主党は衆院和歌山1区で落選した村上氏を擁立し、保守分裂に乗じて漁夫の利を目指す。
衆院和歌山1区は自民と維新の激戦となり、自民候補が勝利、維新候補は比例復活だった。和歌山では維新のほうが支持を広げており、維新が候補者を擁立して予備選になる可能性もある。
京都(改選2) れいわvs共産
京都選挙区では、れいわ新選組が西郷南海子氏(37)を擁立した。京大大学院卒の教育研究者だ。
京都選挙区は自民党が公明党の応援を得て1議席を固める一方、もう1議席を立憲と共産が激しく競い合ってきた。3年前と9年前は立憲の福山氏、6年前と12年前は共産の倉林氏が当選。立憲と共産は全国的に野党共闘を進めた時も京都では激しく戦ってきたのである。
そこへ3年前は維新が新人候補を擁立し、大激戦となった。維新は今回も新人候補の擁立を予定しており、立憲と予備選を行う可能性が高い。
さらに今回はれいわが西郷氏を擁立して参戦。政権批判票が立憲(維新)、共産、れいわに分散するのは間違いない。
共産とすればただでさえ立憲との激しい戦いを繰り広げてきたが、れいわが立憲と共産のどちらの票を食うかは見通せず、野党同士の激しいつばぜり合いが予想される。
香川(改選1) 玉木vs小川
国民民主党の玉木雄一郎代表と立憲民主党の小川淳也幹事長の地元・香川選挙区では、国民と立憲の候補者一本化や共闘が実現するかどうかが注目だ。
改選現職は自民党の現職三宅氏。国民も立憲も擁立すれば政権批判票が割れて自民党を利するのは間違いない。
先手を打ったのは玉木氏だった。早々と新人候補の擁立を発表した。国民は野党間の予備選実施には後ろ向きな姿勢をみせており、候補者乱立も辞さない構えだ。
一方、立憲は維新が呼びかけた予備選に同調し、一本化を進める立場。小川氏が地元で立憲候補を擁立して予備選を訴えるのか、立憲候補の擁立を見送って玉木氏に譲るのか。当面の焦点となる。