政治を斬る!

壊滅のあとに始まるもの――新党「中道」落選組を襲う“静かなリストラ”

政党は仲間を守る――。
そう思われがちだが、現実は違う。資金が尽きれば、真っ先に切り捨てられるのは「仲間」だ。

総選挙で壊滅した新党「中道」。衆院選前に172人いた国会議員は49人へと激減した。落選者は187人。一夜にして「ただの人」になった。次の解散が4年先までないとすれば、その間、彼らを支え続ける資金はどこにもない。これから始まるのは理想や政策論争ではなく、「人減らし」である。


追い出し部屋の現実

議席激減は、そのまま政党交付金の大幅減額を意味する。党の台所は火の車だ。とりわけ深刻なのは、立憲系から合流した208人のうち当選が21人にとどまり、187人が落選組となった点である。

2月28日に開かれたオンライン会議には約170人が参加。「党をなくしたほうがいい」「結党は失敗だったと認めるべきだ」と不満が噴出し、6時間近く紛糾した。

問題はカネだ。かつて立憲民主党は落選者に月50万円を支援してきた。同水準で187人を支えれば、年間約11億円。今年の交付金のほぼ半分が消える計算だ。次の解散は限りなく4年先。同水準で支援を続ければ党は破綻する。

執行部は「4月に交付金が入る」「資金繰りを精査中」と説明するが、支援額も開始時期も未定。少数精鋭で再出発するため、支援を先送りし、体力のない者から出馬断念に追い込む――。まるで企業の「追い出し部屋」である。


山岸一生の“冬眠”

象徴的なのが、東京9区で落選した山岸一生氏(44)だ。東京大学法学部卒、朝日新聞記者から政界に転じた。3期目を目指したが2万票以上差をつけられ、比例復活もならなかった。

敗戦直後、Xに《敗れました。全て、私の力不足です》と投稿。ABEMAプライムでは「落選者は三つに分かれる」と語った。泣き続ける者、他責に陥る者、できることを探す者。自らは「焼け野原に旗を立てる」と前を向いた。

だが現実は厳しい。ブログを始め、《誰にでもわかる法学入門を連載しますかね》と発信するものの、活動資金は生まれない。2月末で選挙区事務所を閉鎖し、「コールドスリープ(冬眠)」を宣言。《チームは解散》《事務所は大幅縮小》と明かした。

《さよならは別れの言葉でなくて、再び逢うまでの遠い約束》――。感傷的な言葉の裏に、資金の尽きかけた現実がある。党からの十分な支援がなければ、再起は容易ではない。


サラリーマン議員の限界

山岸氏は典型的な「優等生型」議員だった。政策研究と国会質問に力を注ぎ、駅頭に立ち、献金集めには奔走しない。資金の大半は歳費や旧文通費、そして党からの交付金。いわば“サラリーマン議員”である。

落選と同時に収入は途絶え、党支援も不透明。事務所を維持できなければ、有権者は「撤退」と受け止める。武士は食わねど高楊枝と言うが、政治活動には現金がいる。

企業献金やパーティーで蓄えればよかったのか。だが「カネに汚れた政治はしたくない」と距離を置いた。その帰結が“ゴールドスリープ”だ。


政治改革の光と影

30年前の政治改革で企業献金に制限がかかり、政党交付金制度が導入された。税金で政党を支える仕組みは、山岸氏のような「真面目な優等生」に道を開いた。一方で、党執行部に嫌われ資金を止められれば即座に干上がる構造も生んだ。

自民党も野党も、いまや「個人商店の集合体」ではなく「会社組織」に近い。二大政党が拮抗している間は回るが、巨大与党が3分の2を握り、野党が壊滅すれば、零細企業のように資金繰りに窮する。

生き残る道はある。個人献金を掘り起こす、起業する、YouTubeなどで収益化する。AI時代、資金調達の手段は広がった。だがそれは、政策能力とは別の「資金を集める力」を要求する。

理念を語る前に、自力で資金を確保できるか。
サラリーマン議員の時代は終わりつつある。新党「中道」落選組を襲う静かなリストラは、日本政治の構造転換を映す鏡なのである。