2025年の政局の行方を決めるのは野党だ。
立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の野党3党が結束して自公与党と対決するのか。
それとも競い合うように自公与党に擦り寄り、分断されるのか。
現時点では、野党3党の連携は実現しそうにない。
その最大の責任は、立憲民主党の野田佳彦代表にある。野党共闘による政権交代ではなく、自民党との大連立を目指しているとしか思えないからだ。
野田代表は「少なくとも年度内には、参院選の野党候補一本化をまとめたい」と表明した。しかし、維新も国民も及び腰だ。
立憲は昨年10月の総選挙で、維新や国民との候補者調整も共通公約づくりにも後ろ向きで、立憲の議席増を最優先した。維新や国民は不信感を強め、自公与党が過半数を割った総選挙後の首相指名選挙でも「野田佳彦」に投票せず、自らの党首に投票した。この結果、野党連立への政権交代は実現せず、自公の少数与党政権が誕生したのである。
立憲は参院選でも自らの議席増を最優先し、他の野党には譲歩しないのではないかーー。そんな不信感がくすぶっているのだ。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は参院選での野党一本化には103万円の壁の引き上げによる所得税減税で一致が必要との考えを強調している。野田代表が所得税減税には財源確保が必要だとして消極的なことを踏まえ、立憲との連携を断る口実として「所得税減税」を持ち出したのだろう。
減税を掲げる国民民主党は、増税色の強い立憲民主党の支持率を追い抜いた。参院選であえて立憲に譲歩しなくても十分に議席を確保できるとみている。むしろ立憲と連携すれば看板の減税政策のイメージが薄れて逆効果と考えている。
維新は企業団体献金の全面禁止法案を国会に提出する方針を決めた。「会社、労働組合、職員団体、その他団体は政治活動に関する寄付をしてはならない」と明記する内容だ。立憲民主党案は「政治団体を除く」として抜け道をつくる、労組が政治団体をつくって献金する仕組みを温存する構えである。立憲と差別化を図るため、企業団体献金の全面禁止に踏み込み、参院選の売りにする戦略が透けて見える。
やはり国民も維新も参院選で立憲を「連携相手」というよりは「ライバル」とみているのだ。
これはれいわ新選組や共産党も同じである。安易に野党一本化に乗れば、立憲に選挙区を譲れと迫られるだけに終わることを野党第二党以下はいずれも警戒している。
この不信感を払拭して野党一本化を進めるには、野党第一党として強い立場にある立憲が候補者調整でも共通公約でも譲歩するほかない。そのかわりに首相指名選挙では野党第一党の党首に投票してもらうというバーターしか、野党連立政権は誕生しない。
自民党は実際、公明党に譲歩を重ねることで連立政権を維持してきた。
しかし野田代表にはその気配が見えない。その理由は、野党共闘による政権交代よりも、自民党との大連立による政権入り(政策実現)を模索しているからだ。
参院選後の自民党との大連立協議を優位に進めるためには、立憲の議席をできるだけ増やしておく必要がある。維新や国民など他の野党の議席が増えるのは、大連立にはかえってマイナスだ。
野党第一党がこのような姿勢では、とても野党共闘は進まない。野党共闘を阻む最大の障壁は、維新や国民ではなく、立憲民主党自身にあることは確認しておく必要がある。