政治を斬る!

円安加速161円台に、割安日本が外国に買い叩かれていく!株や不動産を持つ大企業や富裕層ばかりにメリット、貧富の格差はどんどん拡大、それでも政治は無為無策〜東京大脱出こそ、搾取される若者の最強のレジスタンス

円安が加速している。1ドル161円台の歴史的水準に突入した。対ドルだけではなく、対ユーロなどほとんどの通貨に対して弱くなっている。「円一弱」の状況だ。

マスコミには日本の低金利政策による日米金利差に理由を求める向きが大勢だ。しかしより本質的な問題は、日本経済が弱体化し、海外からみて魅力的な投資先ではなくなったということだろう。

日本のモノやサービスは「単に安いから」という理由で買われることが多くなった。株価や不動産価格が高騰しているのは、その典型だ。日本企業や日本の街が投資先として魅力的というよりも、割安感があるからにすぎない。株や不動産が「安く買い叩かれている」というのが実態だ。

日経新聞によると、日本の輸出産業の一位は自動車だが、2位についにインバウンド(訪日旅行客向けのビジネス)が上昇してきた。モノは安いだけでは売れない時代になっている。日本の観光は安いうえに満足度も国際競争力があるということかもしれない。たたそれも「割安感」が最大の要因であるのは間違いない。

日本は経済大国時代に「品質の良いものを高く売る」モデルに転換できなかった。、この30年のデフレ時代にとにかく安く売ることに明け暮れた結果、低価格でしか国際競争力を維持することができず、どんどん安くつくって安く売ることを繰り返した。その結果、円安でなければ競争できない経済構造に陥ってしまったといっていい。

日本の経済力が凋落した最大の理由は、人口減である。少子高齢化が進み、移民を受け入れなければ、人口が減って、経済圏が縮小するのは間違いない。社会構造の変化に対応せず、目先の利権ばかりを追求してきた政官財界のこの30年の無為無策のツケが一気に回ってきた格好だ。

株や不動産を持つ大企業や富裕層は円安で国内では潤っている。一方、株や不動産を持たない庶民層の生活は物価高で苦しくなるばかりだ。急激な円安が貧富の格差をどんどん広げている。そこへ金利上昇が追い討ちをかければ、さらに拡大していくだろう。

円安の恩恵を受けた大企業に課税し、庶民に現金給付で還元する。そのようなわかりやすい富の再分配こそいますぐに必要な政策だ。ところが、与党からも野党からもそうした声がほとんどあがらないのは、政治家たちが既得権に守られ、庶民の暮らしからどんどん離れていることを物語っているだろう。

東京都知事選では、小池百合子知事も蓮舫氏も子育て支援に力を入れている。しかし子をつくることができる世帯は東京では勝ち組だ(夫妻とも高学歴で大企業に勤めているパターン)。生活基盤が安定せず、結婚したくてもできない行き詰まった若者が多数いる。この底上げをしないかぎり、勝ち組にだけ補助金をばらまいていも少子化対策にはならない。貧富の格差を拡大させるだけだろう。

東京の物価高の暮らしに行き詰まった若者たちは、とっとと東京を見切って地方へ移住したほうがいい。東京にいると、大企業や富裕層に搾取されて疲弊するだけだ。地方移住を支援し、彼らを自由に解放する支援策が必要だ。

若者たちが東京を大脱出すれば、東京は間違いなく、労働力不足に陥る。それで困るのは大企業や富裕層だ。そこではじめて若者支援を強めるだろう。東京大脱出こそ、若者が取るべき最強のレジスタンスである。

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