政治を斬る!

高齢世代の立憲民主党 vs 現役世代の国民・れいわ〜増税vs減税の対立軸がくっきり 自民党はどっちつかず〜最新世論調査を分析

NHK3月世論調査の政党支持率を見ると、世代ごとに顕著な違いが浮かび上がる。特に、高齢者に支持される立憲民主党と、現役世代に支持を広げる国民民主党、さらにはれいわ新選組の支持層の偏りが明確になっている。これらのデータをもとに、日本の政治がどのような方向に向かうのかを考えてみたい。

高齢者に支持される立憲民主党

立憲民主党の支持率は、以下のようになっている。

  • 18歳〜39歳:2.4%
  • 40代:1.9%
  • 50代:6.5%
  • 60代:5.4%
  • 70代:14.7%
  • 80歳以上:10.8%

この数字を見ると、立憲民主党の支持は高齢世代に強く偏っていることが分かる。逆に、若年層では支持が極めて低い。

立憲民主党は、社会保障の拡充を強く打ち出し、高齢世代の生活を守る姿勢を明確にしている。そのため、年金や医療制度の安定を求める高齢者からの支持が厚いのだろう。一方で、社会保障負担を懸念する現役世代には、立憲の政策は負担増のリスクとして映る可能性が高い。

現役世代に食い込む国民民主党

国民民主党の支持率は次のようになっている。

  • 18歳〜39歳:16.7%
  • 40代:17.4%
  • 50代:10.6%
  • 60代:7.0%
  • 70代:4.9%
  • 80歳以上:1.4%

国民民主党の支持率は、若年〜中年層に集中している。特に40代の現役・子育て世代の支持が最も高く、高齢世代になると急落していることがわかる。

その理由は明確で、国民民主党は、所得税減税や経済成長を重視し、現役世代の生活を直接的に支える政策を掲げているからだ。例えば、年金制度の改革についても、現役世代の負担増を避ける立場を取っており、「手取りを増やす」というスローガンを前面に出している。この方針が、特に働き盛りの世代に響いているのだろう。

れいわ新選組はどこに支持されているのか?

れいわ新選組の支持率は次の通りだ。

  • 18歳〜39歳:6.0%
  • 40代:6.2%
  • 50代:2.4%
  • 60代:4.8%
  • 70代:0.4%
  • 80歳以上:データなし(実質0%)

れいわ新選組の支持は、国民民主党と同じく若年層にある程度浸透している。しかし、その支持率は国民民主党よりもやや低く、また幅広い年齢層でまばらに分布している。

れいわ新選組は、積極財政を訴え、消費税廃止を旗印に掲げる政党である。若年層の間では、経済格差の是正や社会的弱者への支援を求める声が一定数あるため、その層に食い込んでいるのだろう。しかし、70代以上ではほぼ支持されておらず、特に80歳以上では完全にゼロになっている。これは、高齢層にとって、れいわ新選組の財政政策が社会保障削減につながるリスクと見なされている可能性がある。

自民党の苦しい立場

ここで注目すべきは、自民党がどの世代にも一定の支持を得ているものの、世代間の支持率の開きが大きい点だ。

  • 18歳〜39歳:19.6%
  • 40代:16.8%
  • 50代:22.9%
  • 60代:26.9%
  • 70代:30.8%
  • 80歳以上:53.8%

特に80歳以上では圧倒的な支持を得ており、50%以上が自民党を支持している。しかし、若年層では支持率が20%を下回るなど、低迷が続いている。これは、「自民党しか知らない」という高齢者の習慣的な支持と、「自民党に不満はあるが、政権与党に頼るしかない」という現実的な支持の両面が影響している。

一方で、自民党は高齢者票を確保しつつも、国民民主党やれいわ新選組に食い込まれつつある若年層をどう取り込むかが大きな課題となっている。年金制度の改革や経済政策で、どちらの世代にも配慮しようとする姿勢が見えるが、それが逆に「どっちつかず」の印象を与えてしまっているのが現状だ。

今後の政治はどう動く?

こうしたデータから、日本の政治の対立軸が「保守 vs 革新」ではなく、「高齢世代 vs 現役世代」へとシフトしつつあることが見えてくる。

  • 立憲民主党 → 高齢世代に依存。社会保障維持を訴え支持を確保
  • 国民民主党 → 現役世代の生活向上を掲げ、支持を拡大
  • れいわ新選組 → 若年層に支持されるが、高齢層の拒否感が強い
  • 自民党 → どちらにも支持を得ようとするが、世代間の板挟みに

この対立が続けば、将来的には「高齢者優遇 vs 若年層の負担軽減」という政策の二極化が進む可能性が高い。参院選を前に、各党がどの世代にアピールするのか、注目したいところだ。